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2021年1月 4日 (月)

東洋経済オンライン「人のために働く職業ほど低賃金」な根深い理由に見る市場価格の大きな歪み!!!

昨日1月3日付けの東洋経済オンラインで、英国ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのグレーバー教授の著書『ブルシット・ジョブ』(岩波書店)を引いて、「人のために働く職業ほど低賃金」な根深い理由に関する記事がポストされています。この本は、私もすでに図書館の予約を入れてあり、あと1ト月ほどで受け取れるんではないかと期待していますが、取りあえず、「根深い理由」の方はともかく、貢献度を計算できるもののうちもっとも社会的に価値のある労働者とか、社会的投資収益率分析に基づく職の外部経済効果とかについて、以下のような例示が示されています。webサイトの画面をキャプチャしています。

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上の画像の社会的に価値ある労働でマイナス記号の▲が付されているのは、当然ながら、マイナスの価値を生み出している「ブルシット・ジョブ」なわけです。下の画像で、社会的価値を破壊している上の3つの職業も同様です。そして、記事にも明記されていますが、これらの「ブルシット・ジョブ」の定量的な評価はグレーバー教授のオリジナルな研究成果ではなく、グレーバー教授の著書『ブルシット・ジョブ』に引用されている既存研究の成果です。まあ、ハッキリいえば、この東洋経済の記事は孫引きなわけで、オリジナルの研究は私の知る限り以下の通りです。

なお、後者の New Economics Foundation のリポート A Bit Rich はpfdのリンクを示しておきましたが、財団のBLOGサイトもあり、ソチラのほうが要領よく取りまとめてあって判りやすいかもしれません。
その昔に、宇沢教授が外部経済も含めて、シャドウ・プライスを駆使して自動車の社会的費用を計算した研究結果を、岩波新書から『自動車の社会的費用』として明らかにしていますが、それほどまでに市場の価格付けは不正確で歪んでいるという事実は、知っておいてソンはありません。特に、通常の市場財であればともかく、公共財的な性格を有する財、あるいは、人間労働の価格たる賃金はさらに市場価格の歪みが大きいと、直感的に理解出来るのではないでしょうか。マルクス主義経済学では別の表現をしますが、要するに、市場価格の賃金をそのまま受け入れるのは、私には大きなためらいがあります。ですから、市場原理主義的な右派エコノミストの市場信奉は、誠に残念ながら、それほど根拠ある科学かどうか、疑わしいと理解すべきです。

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