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2021年1月26日 (火)

2020年12月の企業向けサービス価格指数(SPPI)はやや下落幅を縮小させる!!!

本日、日銀から昨年2020年12月の企業向けサービス価格指数 (SPPI)が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、ヘッドラインSPPIの前年同月比上昇率は▲0.4%の下落でした。変動の大きな国際運輸を除くと▲0.2%の下落と、いずれもややマイナス幅を縮小させています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

20年12月の企業向けサービス価格、前年比0.4%下落 広告持ち直し
日銀が26日発表した2020年12月の企業向けサービス価格指数(2015年平均=100)は104.6と、前年同月比で0.4%下落した。下落は3カ月連続だが、広告価格の持ち直しを背景に11月と比べると下落幅は縮小した。
テレビ広告で企業に年内の予算を消化する動きがみられ、前年比のマイナス幅が縮小した。インターネット広告では自動車やキャッシュレス決済、動画配信サービスの広告需要が堅調との声があった。
一方、新型コロナウイルスの感染再拡大や、政府の需要喚起策「Go To トラベル」の中断を受け、宿泊サービスは前月から下げ幅を拡大した。
日銀は足元の感染再拡大で「一部に価格の下落圧力が強まる兆しがみられる」とし、今後も影響を注視する姿勢を示した。
20年の企業向けサービス価格指数は前年比0.8%上昇した。上昇は7年連続。伸び率は19年(1.1%)から縮小した。
企業向けサービス価格指数は輸送や通信など企業間で取引するサービスの価格水準を総合的に示す。

いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、企業向けサービス物価指数(SPPI)のグラフは下の通りです。上のパネルはヘッドラインのサービス物価(SPPI)上昇率及び変動の大きな国際運輸を除くコアSPPI上昇率とともに、企業物価(PPI)の国内物価上昇率もプロットしてあり、下のパネルは日銀の公表資料の1枚目のグラフをマネして、国内価格のとサービス価格のそれぞれの指数水準をそのままプロットしています。財の企業物価指数(PPI)の国内物価よりも企業向けサービス物価指数(SPPI)の方が下がり方の勾配が小さいと見るのは私だけではないような気がします。いずれも、影を付けた部分は景気後退期なんですが、このブログのローカルルールで直近の2020年5月を景気の谷として暫定的に同定しています。

photo

ということで、引用した記事にもある通り、前年同月比で見て広告の下げ幅縮小が寄与しています。すなわち、テレビ広告やインターネット広告を始めとする広告が11月△4.3%下落から12月には△1.6までマイナスを縮小させています。確かに、広告は景気に敏感な項目であり、景気悪化に歯止めがかかりつつある可能性を示唆しているわけですが、他方で、まだ前年同月比マイナスである点は忘れるべきではありません。大類別の前年同月比で見ても、広告こそマイナス幅を縮小させていますが、金融・保険、不動産、情報通信、リース・レンタルなど、軒並みマイナス幅が拡大しています。小類別として様々なコンポーネントを含む諸サービスは11月、12月ともに+0.2%の上昇を示しましたが、人手不足を反映した労働者派遣サービスや土木建築サービスはプラスを記録している一方で、GoToトラベル事業の影響で宿泊サービスは大きなマイナスとなっています。人手不足は新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響をいくぶんなりとも緩和する方向に働いているのかもしれません。ただし、引用した記事にもあるように、第3波のCOVID-19感染拡大は価格の下押し要因になることは明らかです。物価目標を達成するために日銀は複雑なオペレーションを強いられることとなりそうです。

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