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2021年1月19日 (火)

労働政策研究・研修機構(JILPT)による「新型コロナウイルス感染拡大の仕事や生活への影響に関する調査(第3回)」やいかに?

昨日1月18日、労働政策研究・研修機構(JILPT)から「新型コロナウイルス感染拡大の仕事や生活への影響に関する調査(第3回)」の結果が公表されています。民間企業の雇用者とフリーランスで働く者に分けた調査なんですが、前者の民間企業雇用者に関する調査結果の要約をリポートから引用すると以下の通りです。

「民間企業の雇用者」に対する調査結果より
  • 新型コロナウイルス感染症に関連した影響の中心は、「収入の減少」へ
  • 4人に1人超が(前年はあったが)冬季賞与が減額、支給無しまたは未定に
  • 5人に1人が在宅勤務・テレワークを「3~5月(新型コロナウイルス感染拡大期)に初めて経験」するも、その半数超は12月には既に「行っていない」か、直近1ヶ月の日数が「減少」と回答
  • (現状では)約2/3が、在宅勤務・テレワークによる仕事の生産性・効率性は「低下する」と回答。効果的な実施が課題に

ということで、30ページのボリュームあるリポートなんですが、私の興味の範囲に従って、いくつかグラフを引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、上のグラフは、リポートからから 図表3 新型コロナウイルス感染症に関連した自身の雇用や収入にかかわる影響についての4・5・8・12月調査の定点比較 を引用しています。新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の雇用や収入への影響につては、まったくないというのも考えにくいんですが、25%から30%近い回答がそうなっています。「大いに」と「ある程度」を合わせた影響があった回答は約40%を占め、あまり影響がなかったとの回答が30%余りとの結果です。この回答の比率については、感染拡大防止のための緊急事態宣言が初めて出された4月を別にすれば、5月以降はそれほど大きな変化はなかったんですが、どうも、その影響の中身が少し注目すべき変化を生じているようです。すなわち、影響の中心が、勤務日数や労働時間の減少から収入の減少へ着実にシフトしてきています。2020年前半の時期にはまだ雇用調整助成金などの措置もあって、勤務日数や労働時間が減少しても、企業からの給与は大きな減少がなかった一方で、徐々にお給料が減リ始めている、ということなんだろうと思います。とくに、年末12月にはボーナスの支給月なんですが、2019年まで支給されていた年末ボーナスが2020年には支給無し、支給は未定、わからないの合計で10%を越えています。

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次、上のグラフは、リポートからから 図表8 「在宅勤務・テレワーク」の4~11月における実施日数の変化 を引用しています。新型コロナウィルス感染症(COVID-19)感染拡大防止のための在宅勤務やテレワークについては、4月の緊急事態宣言から5月にかけて急速に拡大した後、7~8月にかけて揺り戻しがあり、7月以降はほぼ変化なしとなっています。8月にやや増えているのは、猛暑の影響ではないかとの分析が示されています。週1日以上の在宅勤務・テレワークを行っている割合が約55%と、リポートでは「定常状態」と呼んでいたりします。現在の緊急事態宣言では在宅勤務・テレワーク7割といわれていますので、週に3日以上で7割くらいが必要とされそうな気がしますが、その後の推移はどうなっているのか、気にかかるところです。

やはり、気がかりなのは最初のグラフから推測される所得への影響であり、緊急事態宣言を出すのであれば、もう一度、特定給付金を必要とする可能性を強く示唆した調査結果だと私は受け止めています。

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