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2021年1月 8日 (金)

6か月振りに下降した2020年11月の景気動向指数から何が読み取れるか?

本日、内閣府から11月の景気動向指数が公表されています。CI先行指数は前月から+2.3ポイント上昇の96.6を、また、CI一致指数も前月から▲0.3ポイント下降の89.1を、それぞれ記録しています。昨年2020年5月を底に上昇を続けてきたCI一致指数は6か月振りの下降なんですが、統計作成官庁である内閣府による基調判断は、「下げ止まり」に据え置かれています。まず、統計のヘッドラインを手短に報じる記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。

20年11月の景気一致指数、6カ月ぶり悪化 基調判断は据え置き
内閣府が8日発表した2020年11月の景気動向指数(CI、2015年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比0.3ポイント低下の89.1となった。悪化は6カ月ぶり。「商業販売額(小売業)」や「耐久消費財出荷指数」などが伸び悩んだ。内閣府が一致指数の動きから機械的に求める景気動向指数の基調判断は、4カ月連続で「下げ止まり」となった。
数カ月後の景気を示す先行指数は前月比2.3ポイント上昇の96.6と、18年12月以来の水準となった。「新規求人数(除学卒)」の持ち直しなどが指数を押し上げた。景気の現状に数カ月遅れて動く遅行指数は前月比1.4ポイント低下の89.8だった。
CIは指数を構成する経済指標の動きを統合して算出する。月ごとの景気動向の大きさやテンポを表し、景気の現状を暫定的に示す。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、景気動向指数のグラフは下の通りです。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しているんですが、直近の2020年5月を景気の谷として暫定的にこのブログのローカルルールで勝手に認定しています。

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CI一致指数を個別系列の寄与度に従って少し詳しく見ておくと、マイナス寄与では 商業販売額(小売業)(前年同月比)が▲0.48ポイントともっとも大きなマイナスを示そており、次いで、 耐久消費財出荷指数が▲0.37ポイントとなっています。要するに、家計消費が振るわなかったわけです。他方、プラス寄与に目を転じると、輸出数量指数が+0.34ポイント、有効求人倍率(除学卒)が+0.25となっています。先月統計でも輸出数量指数はそこそこ大きなプラス寄与度を示していましたので、やっぱり、海外景気の外需に牽引される形での景気回復になりそうな気もします。もっとも、欧州では新型コロナウィルス感染症(COVID-19)のパンデミックにより二度三度のロックダウンに入っている国も少なくないわけで、どれほどまでの海外経済のサステイナビリティなのかは現時点では不明です。いずれにせよ、国内でもCOVID-19の感染拡大による非常事態宣言ですので、CI先行指数が上昇したからといって景気の先行きが楽観視できるわけもありません。それなりのボリューム感も表現しているCIですが、一致指数はCOVID-19パンデミック前の2019年12月の水準が94.2、昨年2020年1月でも94.6です。この90台半ばの指数値は、実は、2019年10月の消費税率引上げにより、かなりの低下を見た後の統計なんですが、10~11月のCI一致指数でもまだ90を割っていて、12月は感染拡大が進んで11月統計よりも低下することが明らかですから、まだまだ景気回復には時間がかかると覚悟すべきです。上のグラフでは、私のこのブログのローカルルールで、2020年5月を景気の底に暫定的に同定していますが、場合によっては2番底をつける可能性も十分あります。それでも、ここは景気を犠牲にしてでも感染拡大を防止して、国民生活を守るのがむしろ景気回復への早道である、と私は考えています。

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