世界経済フォーラムの The Global Risks Report 2021 やいかに?
昨日1月19日に、もうすぐ始まるダボス会議を主催する世界経済フォーラムから The Global Risks Report 2021 が明らかにされています。結局、昨年2020年の最大のリスクとして出現した Infectious diseases については、昨年のリポートでは Likelihood では10位にも入らず、Impact でようやく10番目に顔を出していただけなんですが、今年のリポートでは、当然ながら大きな見直しがあって、2年以内の短期の Clear and present dangers で堂々のトップリスクに上げられていたりします。
まず、上のグラフは、リポートから Global Risks Horizon を引用しています。0~2年の短期、3~5年の中期、5~10年の長期、となっていて、短期は感染症、中期は資産バブル崩壊、長期は大量破壊兵器、がそれぞれトップリスクとされています。エコノミストの目から見て、青いバーチャートの経済的なリスクは短期と長期ではそれほど見当たらず、中期に集中しています。まあ、そうなのかもしれません。中期の経済的リスクとして上げられている資産バブル崩壊ほかについては、実は、現在のCOVID-19への対応として取られている財政支出拡大や低金利の政策が継続されれば、さらにリスクが大きくなることが考えられます。
次に、上のグラフは、リポートから Global Risks Landscape を引用しています。上の画像の右下に小さくリストアップされていますが、リスクが現実化する蓋然性 likelihood の大きな順で並べると、(1) Extreme weather、(2) Human environmental damage、(3) Climate action failure、(4) Infectious diseases、(5) Biodiversity loss、の順となり、実は、緑色の環境関係が感染症以外でトップ5に4項目も入っていたりします。そして、リスクが顕在化した場合のインパクト impact の順では、(1) Infectious diseases、(2) Climate action failure、(3) Weapons of mass destruction、(4) Biodiversity loss、(5) Natural resource crises、の順となります。
ついでながら、1月4日に明らかにされている Eurasia Group の Top Risks for 2021 では、46* がトップに上げられています。すなわち、第46代米国大統領に就任するバイデン氏は asterisk presidency だということらしいです。具体的には、"Biden will emerge with the weakest mandate since Jimmy Carter in 1976. Few observers believe he will run for reelection in 2024." とリポートでは指摘しています。そして、Long COVID が2番めに上げられていて、3番めが Climate となっています。実は、Eurasia Group では、昨年のリポートは3月半ばになって、Coronavirus Edition と題して差替えリポートを明らかにしていたりします。まあ、世界経済フォーラムの昨年のリポートでも、COVID-19のリスクが必ずしも十分に評価されていなかったわけですし、2019年のリポートとか、2020年のリポートくらいまでは、少なくとも likelihood か impact のどちらかのトップ5のリスクに入っていた Natural disaster も忘れ去られようとしているような印象があります。「天災は忘れたころにやってくる」にならなければいいのですが、何とも先行きは見通し難く不透明感が払拭しきれません。
| 固定リンク
« 労働政策研究・研修機構(JILPT)による「新型コロナウイルス感染拡大の仕事や生活への影響に関する調査(第3回)」やいかに? | トップページ | 輸出金額が25か月ぶりに前年同月比プラスを記録した12月の貿易統計をどう見るか? »
コメント