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2021年2月11日 (木)

少子化の進展の中で大学の進むべき方向やいかに?

後期授業を終えて、定期試験は実施できなかったものの、リポートなどにより受講学生諸君の評価も終え、4月から始まる来年度のシラバスも書き終え、そろそろ、入試の業務も終えつつあります。高校生諸君の大学入試の採点もさることながら、大学院を希望する外国人留学生諸君の選抜もそれなりにタイヘンです。
大学のビジネスモデルとして、あくまで、エコノミスト的にビジネスモデルとして考えると、もしも、少子高齢化が進み、なおかつ、大学進学率がそろそろ頭打ちとなるとすれば、通常の高校から進学する学生諸君だけでなく、大学院への対応も必要とされるかもしれません。もちろん、大学については、収益性だなんだといわずに、本来の教育と研究を柱とする機関であることはいうまでもないものの、私立大学であれば、あるいは、ひょっとしたら、独立法人化された国立大学であっても、それなりのビジネスモデルを考えておく必要がありそうな気がしないでもありません。例えば、高度成長期のような長期雇用と年功賃金に支えられたOJTから、仕事を離れて大学院で学ぶリカレント教育とか、ODAによる奨学金などで学費を高く設定できる途上国留学生の受け入れとか、といった大学院の充実がひとつの選択肢ではないか、と考えないでもありません。

リカレント教育については、かなり旧聞に属する話題ですが、1月26日に内閣府から政策課題分析シリーズとして「リカレント教育による人的資本投資に関する分析」が公表されています。

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上のグラフは、内閣府のリポートから (図表2-3-4 転職を伴う収入の増加へのリカレント教育の影響) を引用しています。転職を伴うとすれば、OJTよりもOff-JTや自己啓発などが有効という結果が出ています。Off-JTにリカレント教育なんかが含まれているんだろうと思います。ただ、ややごまかしがあって、転職を伴わなければ、OJTはOff-JTよりも収入増加につながるという結果もリポートでは同時に明らかにしています。リカレント教育で1~2年、あるいはもっと職場を離れて大学院教育を受けるというのも、それなりの機会費用がかかるような気がしないでもありません。

途上国からの大学院生の受入れもひとつの選択肢です。JICA開発大学院連携のサイトを見ると、関西エリアでは京都大学とともに私の勤務する大学も経済学研究の連携大学院としてリストアップされています。ただし、同僚教員の見方によれば、さすがに、大学院生の受入れでは学部学生とボリューム的に圧倒的、ケタ違いに少なく、単価が10倍以上になるわけではないので、それほどの収益源にはならない、加えて、S/T比が学部学生に比べて小さく教員の負担も小さくない、ということのようです。確かにそうかもしれません。

まあ、まだ大学教員に復帰して1年にもならず、教育と研究については、それなりの見識を持って自分で考えながら進めている一方で、それ以外については、今は学部執行部からの指示に基づいて、アタフタと対応しているに過ぎませんから、大学のビジネスモデルなんてエラそうなことを考えるのは、まだまだ数年は早いのかもしれません。

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