1月の企業物価(PPI)上昇率は前月比プラスなるも前年同月比で大きなマイナスが続く!!!
本日、日銀から1月の企業物価 (PPI) が公表されています。ヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は▲1.6%の下落を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
1月の企業物価指数、前月比0.4%上昇 2カ月連続のプラス
日銀が10日発表した1月の企業物価指数(2015年平均=100)は100.7と、前月比で0.4%上昇した。石油製品や化学製品の値上がりにより、前月比の上昇は2カ月連続となった。一方、前年同月比では1.6%の下落だった。
企業物価指数は企業同士で売買するモノの物価動向を示す。原油市況が20年12月から21年1月にかけて、サウジアラビアの自主的な追加減産の表明や米バイデン政権による追加経済対策の期待を背景に上昇した。南アフリカで新型コロナウイルスの感染が拡大し、貴金属の供給懸念から触媒の相場が上昇したことも価格を押し上げた。
円ベースでの輸出物価は前年同月比1.0%下落、前月比では0.9%上昇した。円ベースでの輸入物価は前年同月比で8.2%下落、前月比で2.3%上昇した。
公表している744品目のうち、前年同月比で上昇したのは285品目、下落したのは358品目だった。
続いて、企業物価(PPI)上昇率のグラフは下の通りです。上のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率を、下は需要段階別の上昇率を、それぞれプロットしています。また、影を付けた部分は景気後退期であり、直近の2020年5月を景気の谷として暫定的にこのブログのローカルルールで同定しています。

まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは、ヘッドラインの国内物価の前年同月比が▲1.6%の下落でしたので、ジャストミートしました。加えて、日経新聞の記事のタイトル「前月比0.4%上昇 2カ月連続のプラス」については、季節調整済みの系列の統計ではありませんので怪しいとしても、昨年2020年11月の△2.3%、12月▲2.0%からジワジワと下げ幅が縮小しているのも事実です。もちろん、まだまだ大きなマイナスですから、一昨年2019年10月からの消費税率引上げ効果の剥落があるとはいえ、日銀の物価目標とは整合的ではないといわざるをえません。加えて、引用した記事にあるように、前月比プラスで+0.5%を記録しましたが、その大部分は国際商品市況における石油価格の上昇に連動していると考えるべきです。すなわち、前月比+0.4%に対する寄与度で見て、ガソリンをはじめとする石油・石炭製品の寄与が+0.24%、キシレンなどの化学製品が+0.11%となっていますので、ほぼほぼこの2類別で国内物価の前へ津比上昇率の9割を説明できてしまいます。ですから、物価の先行き見通しについて、それほど楽観的になれるハズもありません。
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