2か月連続で下降した12月統計の景気動向指数をどう見るか?
本日、内閣府から昨年2020年12月の景気動向指数が公表されています。CI先行指数は前月から▲1.2ポイント下降の94.9を、また、CI一致指数も前月から▲1.2ポイント下降の87.8を、それぞれ記録しています。昨年2020年5月を底に上昇を続けてきたCI一致指数は先月統計に続いて2か月連続の下降なんですが、統計作成官庁である内閣府による基調判断は、5か月連続で「下げ止まり」に据え置かれています。まず、統計のヘッドラインを手短に報じる記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。
2020年12月の景気指数 1.2ポイント低下、2カ月連続下げ
内閣府が5日公表した2020年12月の景気動向指数(CI、2015年=100)の速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比1.2ポイント低い87.8となった。低下は2カ月連続で、下落幅は11月の0.4ポイントから拡大した。
一致指数は生産や雇用、商業販売額など10項目から算出する。12月には速報段階で集計済みの8項目のうち、卸売業の商業販売額を除く7項目が下がった。投資財や耐久消費財、鉱工業用生産財などの出荷指数が大きく低下し、全体を押し下げた。これまで持ち直しをけん引してきた生産や出荷に一服感がみられるという。
一致指数の動きから機械的に算出する景気の基調判断は「下げ止まり」で据え置いた。5カ月連続で「下げ止まり」となった。
数カ月先の景気の動きを表すとされる先行指数は7カ月ぶりに低下した。モノの出荷や消費者心理が悪化した。内閣府は「消費者心理は新型コロナウイルスの感染者数に敏感に反応する。12月の指数悪化は感染拡大による一時的なものとみているが、今後の動向にも注視する」としている。
いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、景気動向指数のグラフは下の通りです。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しているんですが、直近の2020年5月を景気の谷として暫定的にこのブログのローカルルールで勝手に同定しています。

CI一致指数を個別系列の寄与度に従って少し詳しく見ておくと、ほぼ軒並みマイナスとなっていて、マイナス寄与の絶対値の大きい順に、投資財出荷指数(除輸送機械)▲0.48ポイント、耐久消費財出荷指数▲0.42ポイント、生産指数(鉱工業)▲0.21ポイント、などとなっています。他方、プラス寄与は商業販売額(卸売業)(前年同月比)+0.29ポイントだけとなっています。国内でもCOVID-19の感染拡大による非常事態宣言が続いており、景気の先行きが楽観視できるわけもありません。それなりのボリューム感も表現しているCIですが、一致指数はCOVID-19パンデミック前の2019年12月の水準が94.2、昨年2020年1月でも94.6です。この90台半ばの指数値は、実は、2019年10月の消費税率引上げにより、かなりの低下を見た後の統計なんですが、10~12月のCI一致指数でもまだ90を割っていて、今年2021年1月は感染拡大が進んでさらに低下することが明らかですから、まだまだ景気回復には時間がかかると覚悟すべきです。上のグラフでは、私のこのブログのローカルルールで、2020年5月を景気の底に暫定的に同定していますが、場合によっては2番底をつける可能性も十分あります。それでも、ここは景気を犠牲にしてでも感染拡大を防止して、国民生活を守るのがむしろ景気回復への早道である、と私は考えています。この点は、何度でも繰り返します。
| 固定リンク
コメント