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2021年2月19日 (金)

1月統計の消費者物価指数(CPI)上昇率は石油価格の下落などにより6か月連続のマイナス!!!

本日、総務省統計局から1月の消費者物価指数 (CPI) が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、CPIのうち生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPI上昇率は▲0.6%の下落と、6か月連続の下落を示した一方で、生鮮食品とエネルギーを除く総合で定義されるコアコアCPI上昇率は+0.1%とプラスに転じました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

1月の消費者物価0.6%下落 電気・ガス代が押し下げ
総務省が19日発表した1月の消費者物価指数(CPI、2015年=100)は、変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が101.4と前年同月比0.6%下がった。下落は6カ月連続。電気代やガス代などエネルギー関連の項目が全体を押し下げた。宿泊料を割り引く政府の観光需要喚起策「Go To トラベル」の停止でCPIの下げ幅は前月の1.0%より縮んだ。
エネルギー関連の項目は軒並み低下が続いた。電気代が8.2%、都市ガス代は10.7%、ガソリンは9.5%下がった。原油価格は足元で上がっているが、電気代などはまだ20年の原油安を反映して低迷している。
「Go To トラベル」の停止で宿泊料の下落率は前月の33.5%から2.1%に縮んだ。
一方、家電製品は上昇が目立った。空気清浄機が21.5%、電子レンジは12.2%、ルームエアコンは7.2%上がった。新型コロナウイルス禍により「在宅が増えて家電は全般的に買い替えが進んでいる」(総務省の担当者)という。
生鮮食品に加えてエネルギー関連の項目も除いた総合指数は0.1%高い102.0となった。上昇は6カ月ぶりとなる。

いつものように、よく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、消費者物価(CPI)上昇率のグラフは下の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIと生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPI、それぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフはコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。寄与度はエネルギーと生鮮食品とサービスとコア財の4分割です。加えて、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1ケタの指数を基に私の方で算出しています。丸めずに有効数字桁数の大きい指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。統計局の公表数値を入手したい向きには、総務省統計局のサイトから引用することをオススメします。

photo

まず、引用した記事にもあるように、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは▲0.7%の下落でしたので、ジャストミートではないとしても、大きなサプライズはありませんでした。CPIの下落が続いていることについては、一昨年2019年10月からの消費税率引上げの効果の剥落もさることながら、エネルギーや政策要因の幼児向け教育あるいは高等教育の無償化などに伴う部分が小さくありません。すなわち、CPIヘッドラインの前年同月比の下落▲0.6%への寄与で見て、国際商品市況における石油価格の変動に伴ってエネルギーが▲0.68%の寄与があり、1月統計よりもマイナス幅が▲0.04%拡大しています。これだけで総合CPIの下落を超えてしまいます。我が勤務先ながら、大学授業料(私立)はさすがにウェイト小さく▲0.04%の寄与にとどまるものの、エネルギーと大学授業料(私立)の合計寄与度でヘッドラインCPIの下落幅である▲0.6%を超えます。まあ、何と申しましょうかで、逆に、引用した記事にもあるように、GoToトラベル事業の停止で、宿泊料のマイナス幅も大きく縮小しています。すなわち、昨年2020年12月には▲33.5%の下落で、ヘッドラインCPIに対する寄与度が▲0.40%あったんですが、本日公表の1月統計では▲2.1%の下落で寄与度も▲0.02%まで縮小しています。まあ、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響を考えれば、「こんなもん」という気がします。いずれにせよ、これらを総合的に考えると、エネルギーと生鮮食品を除くコアコアCPI上昇率がプラスに転じていることもあり、日銀金融政策の力不足を否定するものではありませんが、こういった国際要因や政策要因もあるわけですから、日銀だけに物価目標が達成されない責任を問うにはやや厳し過ぎるような気がするのは、私だけではないと思います。

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