マイナス幅を縮小させる企業向けサービス価格指数(SPPI)の先行きやいかに?
本日、日銀から2月の企業向けサービス価格指数 (SPPI)が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、ヘッドラインSPPIの前年同月比上昇率は▲0.1%の下落でしたが、変動の大きな国際運輸を除くと保合いでした。新型コロナウィルス感染症(COVID-19)パンデミックに対応した緊急事態宣言が首都圏などで続く中、マイナス幅を徐々に縮小させています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。
2月の企業向けサービス価格、前年比0.1%下落 広告は持ち直し
日銀が24日発表した2月の企業向けサービス価格指数(2015年平均=100)は104.5と、前年同月比で0.1%下落した。前月比では0.2%上昇し、2カ月ぶりの上昇となった。広告など持ち直す分野もあった。
宿泊サービスは新型コロナウイルスの感染再拡大を受けた緊急事態宣言の発令を受け、需要が減少。依然として価格の下押し圧力となった。
広告では年度末に向けた企業による予算消化の動きが見られた。テレビ広告では、携帯各社の新料金プラン開始に伴う出稿が多かった。インターネット広告ではキャッシュレスやエンタメ関連の出稿が堅調だった。
日銀は新型コロナの影響が続くもとで、「ウィズコロナ・ポストコロナの企業間サービスを探る動きが加速してくるのではないか」とみている。
同指数は輸送や通信など企業間で取引するサービスの価格水準を総合的に示す。対象の146品目のうち価格が前年同月比で上昇したのは58品目、下落は54品目だった。
いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、企業向けサービス物価指数(SPPI)のグラフは下の通りです。上のパネルはヘッドラインのサービス物価(SPPI)上昇率及び変動の大きな国際運輸を除くコアSPPI上昇率とともに、企業物価(PPI)の国内物価上昇率もプロットしてあり、下のパネルは日銀の公表資料の1枚目のグラフをマネして、国内価格のとサービス価格のそれぞれの指数水準をそのままプロットしています。企業向けサービス物価指数(SPPI)が着実に上昇トレンドにあるのが見て取れます。いずれも、影を付けた部分は景気後退期なんですが、このブログのローカルルールで直近の2020年5月を景気の谷として暫定的に同定しています。

上のグラフで見ても、企業向けサービス価格指数(SPPI)の前年同月比上昇率は、2019年10月の消費税率引上げの効果が剥落した昨年2020年10月からマイナスに陥っていて、それでもまだ、企業物価指数(PPI)のヘッドラインとなる国内物価上昇率よりは、人手不足の影響などから、マイナス幅は小さくなっています。SPPIの大類別に基づくヘッドライン上昇率への寄与度で見ると、景気に敏感な広告が+0.02%、ソフトウェア開発などの情報通信も+0.02%、労働者派遣サービスなどの諸サービスが+0.01%とプラスを記録しているんですが、他方、リース・レンタルが▲0.05%、運輸・郵便も▲0.04%、不動産も▲0.02%などがマイナス寄与となっています。ただし、引用した記事にもあるように、季節調整していない原系列の統計ながら、前月比では+0.2%の上昇を記録しており、需要の回復とともに徐々に物価も上昇の方向に向かうんではないかと期待しています。何はさておき、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染拡大とそれを防止するワクチン接種次第で、先行きの物価や経済動向は決まるのかもしれません。
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