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2021年3月15日 (月)

3か月ぶりに減少した1月統計の機械受注から何を読み取るべきか?

本日、内閣府から1月の機械受注が公表されています。変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注は、季節調整済みの系列で見て前月比▲4.5%減の8417億円と、4か月ぶりに前月比マイナスを記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

1月の機械受注、前月比4.5%減 市場予想は5.5%減
内閣府が15日発表した1月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の受注額(季節調整済み)は前月比4.5%減の8417億円だった。QUICKがまとめた民間予測の中央値は5.5%減だった。
うち製造業は4.2%減、非製造業は8.9%減だった。前年同月比での「船舶・電力を除く民需」受注額(原数値)は1.5%増だった。内閣府は基調判断を「持ち直している」で据え置いた。
機械受注は機械メーカー280社が受注した生産設備用機械の金額を集計した統計。受注した機械は6カ月ほど後に納入されて設備投資額に計上されるため、設備投資の先行きを示す指標となる。

続いて、機械受注のグラフは上の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影を付けた部分は景気後退期なんですが、貿易統計のグラフと同じで、このブログのローカルルールにより勝手に直近の2020年5月を景気の谷として暫定的に同定しています。

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船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注で見て、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスによれば、前月比で▲5.9%減でしたので、実績の▲4.5%減という結果はこの振れの大きい統計から考えれば、まったく何のサプライズもありませんでした。ただ、引用した記事には「QUICKがまとめた民間予測の中央値は5.5%減だった。」とあるのがや不思議です。再集計してビミョーに上方改定されているのかもしれません。いずれにせよ、もともと、先月統計の公表時に、今年2021年1~3月期コア機械受注は前期比▲8.5%減の2兆3,752億円と見込まれていましたので、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染拡大防止のための緊急事態宣言もあって、3か月連続の前月比増の後の減少ですから、「こんなもん」という受け止めが多そうな気がします。上のグラフのうちの上のパネルに見られるように、トレンドを6か月後方移動平均で見ると、まだ伸びている方向にあるようですので、引用した記事にあるように、統計作成官庁である内閣府では基調判断を「持ち直している」で据え置いています。コア機械受注の先行指標である外需も増加しています。
それでも少し詳しく見ておくと、製造業では前月比▲4.2%減となった一方で、船舶と電力を除く非製造業でも▲8.9%減を記録しています。COVID-19の影響が大きい非製造業でマイナス幅が大きいのは当然といえます。非製造業では、もっと詳しい産業別で見ても、ほぼすべての産業からの受注が減少している印象です。先行きについては、COVID-19の感染拡大次第、逆から見て、ワクチン接種の広がり次第、といえます。その点については、先週3月10日に取り上げた経済協力開発機構(OECD)から「OECD 経済見通し中間報告」OECD Economic Outlook, Interim Report と基本的に同じです。ただ、これも「OECD 経済見通し中間報告」と同じで、財政政策による景気拡大策も重要なのですが、1.9兆ドルの対策を打ち出した米国のバイデン政権と違って、日本政府はまったくその気はないように見受けられます。来月、総理が訪米した際に少しネジを巻いて欲しい気すらします。

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