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2021年4月14日 (水)

基調判断が下方修正された機械受注の先行きをどう見るか?

本日、内閣府から2月の機械受注が公表されています。変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注は、季節調整済みの系列で見て前月比▲8.5%減の7698億円と、2か月連続で前月比マイナスを記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

2月の機械受注、前月比8.5%減 市場予想は2.8%増
内閣府が14日発表した2月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の受注額(季節調整済み)は前月比8.5%減の7698億円だった。QUICKがまとめた民間予測の中央値は2.8%増だった。
うち製造業は5.5%減、非製造業は10.9%減だった。前年同月比での「船舶・電力を除く民需」受注額(原数値)は7.1%減だった。
内閣府は基調判断を「持ち直しの動きに足踏みがみられる」に変更した。
機械受注は機械メーカー280社が受注した生産設備用機械の金額を集計した統計。受注した機械は6カ月ほど後に納入されて設備投資額に計上されるため、設備投資の先行きを示す指標となる。

続いて、機械受注のグラフは上の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影を付けた部分は景気後退期なんですが、貿易統計のグラフと同じで、このブログのローカルルールにより勝手に直近の2020年5月を景気の谷として暫定的に同定しています。

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日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスによれば、船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注で見て、前月比で+2.3%増、予想レンジの下限でも▲1.9%減でしたので、実績の▲8.5%減という結果は、この振れの大きい統計から考えても、かなりのサプライズと受け止められています。ですので、引用した記事にもあるように、統計作成官庁である内閣府でも基調判断を「持ち直している」から、「持ち直しの動きに足踏みがみられる」に半ノッチ下方修正しています。ただし、上のグラフを見ても分かる通り、6か月後方移動平均の太線ではまだ下方に屈折したというわけではありません。その意味で、基調判断も半ノッチの下方修正にとどめているのであろうと、私は想像しています。
コア機械受注は1~2月と前月比マイナスが続き、しかも、製造業、コア非製造業ともマイナスです。当然ながら、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)パンデミックの影響を受けているわけで、製造業よりも船舶と電力を除く非製造業のマイナス幅の方が大きくなっています。ただ、世界的な半導体の供給不足で自動車メーカーには生産調整の計画もあり、今後の動向は不透明です。なお、先行きの設備投資を占う上ではコア機械受注が指標となりますが、他方で、外需がその先行指標となっているのも事実です。その外需は、上のグラフに見られるように、2月に大きくジャンプしています。前月比+76.2%増の1兆8061億円に上りました。コア機械受注の2倍を超えるわけです。このため、コアだけではない機械受注総額は前月比+26.4%増の3兆312億円に達しています。バイデン政権の積極的な財政政策に支えられた米国などの景気回復はかなり本格的ですし、またまた、機械受注も外需主導の増加を示しているといえます。

ワクチン接種政策はひどいもので、財政政策もダメ、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染拡大を一方的に国民の気の緩みに押し付けている政府や地方公共団体のどうしようもない失策のために、経済も足踏みするしかないのかもしれません。

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