緊急事態宣言の影響で悪化した2月の景気動向指数をどう見るか?
本日、内閣府から2月の景気動向指数公表されています。CI先行指数が前月から+1.2ポイント上昇して99.7を示した一方で、CI一致指数は前月から▲1.3ポイント上昇して89.0を記録しています。統計のヘッドラインを報じる記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。
2月の景気一致指数、1.3ポイント低下
内閣府が7日発表した2月の景気動向指数(CI、2015年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比1.3ポイント低下の89.0となった。数カ月後の景気を示す先行指数は1.2ポイント上昇の99.7だった。
内閣府は、一致指数の動きから機械的に求める景気の基調判断を「上方への局面変化」で据え置いた。
CIは指数を構成する経済指標の動きを統合して算出する。月ごとの景気変動の大きさやテンポを示す。
短いながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。意図的に短めの記事を選びはしたものの、統計を3種類並べると長くなるのは仕方ありません。次に、景気動向指数のグラフは下の通りです。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しているんですが、直近の2020年5月を景気の谷として暫定的にこのブログのローカルルールで勝手に同定しています。

まず、CI先行指数については、消費者態度指数と日経商品指数(42種総合)が大きなプラス寄与を示しています。消費者態度指数は明らかにマインド指標ですし、日経商品指数もそういえなくもありません。ということで、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)のワクチン普及への期待もあって、先行きはかなり見通しが明るくなった気がします。本日公表の日銀「生活意識に関するアンケート調査」(第85回)でも同様のマインドがうかがわれ、足元の改善はそれほどでもないんですが、1年後の先行きはレベルとしてはまだマイナスというものの、かなり改善が進むというマインドが示されています。他方で、CI一致指数のマイナス寄与は、耐久消費財出荷指数、輸出数量指数、生産指数(鉱工業)、鉱工業用生産財出荷指数などで大きくなっています。2月時点での足元は、緊急事態宣言が首都圏で解除されていなかったこともあって、家計も企業も経済活動はまだ回復が進んでいませんでした。しかし、基調判断の基準となる7か月後方移動平均や3か月後方移動平均はまだ余裕でプラスなので、引用した記事にもある通り、「上方への局面変化」の判断は維持されています。
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