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2021年4月20日 (火)

リクルートワークス研によるコロナショック下における雇用調整に関する分析結果やいかに?

昨日4月19日付けのコラムですが、リクルートワークス研から今回のコロナ・ショックと2008年のリーマン・ショックにおけるGDPと雇用の変化についての分析結果が明らかにされています。

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まず、上のグラフはリクルートワークス研のサイトから引用していて、見れば判る通り、3枚の折れ線グラフを結合しています。実質GDP/雇用者/失業率のそれぞれの基準点からの変動をプロットしています。基準点は、リーマン・ショックでは2008年4~6月期、コロナ・ショックでは2019年10~12月期としています。まあ、妥当なところです。コロナ・ショックにおける実質GDP/雇用者/失業率の3変数の変動については、失業率こそリーマン・ショックときのワーストのレベルまで悪化していませんが、失業率以外の実質GDPと雇用者はコロナ・ショックの際の悪化の方がリーマン・ショックを上回っており、ショックの大きさとしてはより深刻といえます。ただ、最悪期からの回復については、まだ、コロナ・ショック後の足元で1年4四半期くらいしかデータが観察されていませんので、確実なところは何ともいえませんが、直感的な印象として、コロナ・ショックはリーマン・ショックよりも悪化のペースも立ち直りのペースも、いずれもスピードとしては速いとの印象を持つのは私だけではないでしょう。もちろん、業種別のショックの大きさが違うでしょうし、リクルートワークス研では特に分析をしていませんが、不良債権の積み上がりの有無が影響しているのではないか、と私は考えています。

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そして、コロナ・ショックとリーマン・ショックにおける業種別のダメージと並んで重視すべきは、雇用形態別のダメージです。ということで、上のグラフはリクルートワークス研のサイトから引用していて、2枚の棒グラフを結合しています。雇用者数減少の内訳について、正規雇用者、アルバイト・パート、派遣社員、その他非正規雇用者に分類して積み上げています。リーマン・ショック後の雇用者の減少は、比較的初期から、さらに、2年8四半期を経過したころから顕著に、正規雇用者+派遣社員が減少する一方で、アルバイト・パート+その他非正規雇用者が増加するというパターンでした。しかし、コロナ・ショック後の現在の足元では、逆に、アルバイト・パート+派遣社員+その他非正規雇用者の非正規雇用者全般が減少する一方で、正規雇用者は増加しています。リクルートワークス研では、第1に、コロナ・ショックでは飲食・宿泊業などのもともとがパート・アルバイトの比率の高い業界のダメージが大きい、第2に、ショックが短期に終了する可能性、第3に、人手不足の深刻化、の3点を上げています。第2の点は先ほどの議論と共通しています。また、パート・アルバイトがその昔の労働経済学的にいって中核ではない縁辺労働力ばかりともいえない現状があり、非正規雇用者が減って正規雇用者が増えるのがいい、とは必ずしもいえない点は確認しておく必要があります。

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