「改善」続く4月の景気動向指数をどう見るか?
本日、内閣府から4月の景気動向指数公表されています。CI先行指数が前月から+0.6ポイント上昇して103.0を示し、CI一致指数も前月から2.6ポイント上昇して95.5を記録しています。統計のヘッドラインを報じる記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。
4月の景気一致指数、2.6ポイント上昇 基調判断は据え置き
内閣府が7日発表した4月の景気動向指数(CI、2015年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比2.6ポイント上昇の95.5となった。QUICKがまとめた市場予想の中央値は2.6ポイント上昇だった。数カ月後の景気を示す先行指数は0.6ポイント上昇の103.0だった。
内閣府は、一致指数の動きから機械的に求める景気の基調判断を「改善」に据え置いた。
CIは指数を構成する経済指標の動きを統合して算出する。月ごとの景気変動の大きさやテンポを示す。
短いながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、景気動向指数のグラフは下の通りです。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しているんですが、直近の2020年5月を景気の谷として暫定的にこのブログのローカルルールで勝手に同定しています。
ということで、引用した記事にもあるように、統計作成官庁である内閣府では、先月基調判断を「改善」に上方改定して今月も据え置きとしています。基準として上げられているのは、3か月後方移動平均が3か月連続して上昇していて、当月の前月差の符号がプラスですから、これを満たしたことになります。もちろん、シンクタンクの2次QE予想を先週のブログで取り上げましたが、足元の4~6月期のGDPもマイナス成長と見込むエコノミストも少なくないわけで、やや機械的な判断という批判が出るかもしれません。まあ、判断基準がとても透明性高いので仕方ありません。
4月統計について、CI一致指数を詳しく見ると、投資財出荷指数(除輸送機械)、商業販売額(小売業)(前年同月比)、 商業販売額(卸売業)(前年同月比)、生産指数(鉱工業)などのプラス寄与が大きくなっています。ただし、4月については、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)のパンデミックに対応した緊急事態宣言が4月25日からという遅い時期でしたので、5月については引き続き「拡大」の基調判断が続くかどうかは不透明です。特に、景気動向指数と連動性の高い鉱工業生産指数(IIP)の製造工業生産予測指数は5月にはマイナスを示していますし、場合によっては、基調判断の「拡大」は2か月で終わってしまう可能性すらあると私は考えています。
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