東京商工リサーチ「上場企業2220社 2021年3月期決算『女性役員比率』調査」やいかに?
先週金曜日7月16日、東京商工リサーチから「上場企業2220社 2021年3月期決算『女性役員比率』調査」の結果が明らかにされています。メディアで広く報じられ、また、今年2021年4月2日付けのこのブログでも、世界経済フォーラム(WEF)の「ジェンダー・ギャップ指数2021」のリポートに着目したところですが、そこでも、我が国の男女間格差は教育や健康では大きくないものの、政治・経済の分野でかなり大きい、と結論されていました。東京商工リサーチのリポートから経営における女性役員の占める比率を簡単に見ておきたいと思います。
まず、上のグラフはリポートから、3月期決算 上場企業2,220社 女性役員比率 の最近5年間の推移のグラフを引用しています。上場企業2,220社の役員総数は2万4,777人で、このうち女性役員数は1,835人と、前年から+20.8%増加し、女性役員比率も7.4%と、前年から+1.4%ポイント上昇しています。他方、女性役員ゼロの企業は965社と、前年から▲15.3%減少したものの、それでも上場企業のうち43.4%と半数に近い企業では女性役員がゼロとなっています。女性役員は人数でも比率でも右肩上がりで上昇しているわけですが、現在の数字をどう評価するかはややビミョーなところです。
次に、上のグラフはリポートから、2021年3月期決算上場企業2,220社 産業別女性役員比率 のグラフを引用しています。東京商工リサーチの分類による全10産業ですべて女性役員比率は上昇しています。しかし、比率の高い業界でも、電気・ガス業と金融・保険業でわずかに10%を超えているだけです。本来でしたら、30%とか、40%とかを超えていてもいいんでしょうし、もちろん、50%超えなんてのも個別企業によってはあり得るんでしょうが、これまた、前年から改善しているからといって、決して、胸を張って強調できる数字ではないと考えるべきです。
最後に、役員ですから、官庁にはない数字だったんですが、管理職であれば、ひょっとしたら、官庁よりも上場企業の方が割合が高いかもしれません。定年まで公務員だった私の実感として、官庁は上場企業よりも、決して進んでいるわけではありません。
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