リクルート「Works Index 2020」に見る日本の働き方の変化と厚生労働省における最低賃金に関する議論やいかに?
雇用や労働に関して、少し遅ればせながら、2つほど話題を取り上げておきたいと思います。第1に、リクルートワークス研から、日本の働き方について最近5年の変遷をまとめた「Works Index 2020」が公表されています。もちろん、pdfの全文リポートもアップされています。この Works Index は、Ⅰ就業の安定、Ⅱ生計の自立、Ⅲワークライフ バランス、Ⅳ学習・訓練、Ⅴディーセントワーク、の5つのIndexの下に、それぞれのIndexに対していくつかのIndicatorが設定されるという構成になっています。ですから、以下のような五角形で総合的に結果が表されることになります。
ということで、上のグラフはリポートp.8から引用しています。見れば明らかなんですが、Works Index 2016 と Works Index 2020 を比較しています。2016年から2020年にかけて、多くのIndexで改善が見られていますが、Ⅳ学習・訓練だけは悪化となっています。すなわち、目に見えるところで、労働時間が短縮されたり、非正規の処遇改善がなされたり、といった形でワークライフバランスは大きく改善されたのですが、OJT、Off-JT、自己啓発を実施した割合で見て、すべての就業者において学びが減少していたり、あるいは、難易度の低い単調な仕事が増えたりといった点で、Ⅳ学習・訓練のIndexが悪化しています。ほかにも、業務負荷が増大したり、ハラスメントが表面化したりといった動きも進んでいるとリポートは指摘しています。
次に、上の2枚のグラフは最低賃金に関する議論のため、令和3年度中央最低賃金審議会(目安に関する小委員会第2回)資料として提出されたうち、資料4 賃金分布に関する資料から引用しています。その名の通り、時間あたり賃金分布が示されています。基となる統計は賃金構造基本統計調査、いわゆる賃金センサスと呼ばれる統計です。すべての都道府県の賃金分布のグラフが示されているんですが、私の住む京都府だけを取り出しています。上下とも賃金分布なんですが、対象が異なります。上のグラフは短時間労働者、いわゆるパートタイマーで、下は一般労働者、フルタイマーです。パートの時給がかなりの程度に最低賃金である時給909円から、せいぜいが1000円までの低いレベルに集中しているのに対して、フルタイム雇用者は最低賃金ではなく時給1500円まで幅広く分布していることが理解できようかと思います。同一労働同一賃金を目標に掲げながら、実態がこのようなものであるのは、何とも理解に苦しみますが、それでも、「Works Index 2020」によれば非正規の処遇改善が進んでいるという結論のようです。もっと、画期的に正規雇用と非正規雇用の格差是正に取り組む必要性を痛感しています。
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