6月統計の企業向けサービス価格指数(SPPI)は+1%代半ばまで上昇率が拡大!!!
本日、日銀から6月の企業向けサービス価格指数 (SPPI)が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、ヘッドラインSPPIの前年同月比上昇率は+1.4%まで上昇幅を拡大しし、変動の大きな国際運輸を除く平均も+1.1%の上昇を示しています。新型コロナウィルス感染症(COVID-19)パンデミックに対応した緊急事態宣言が5月中は首都圏などで続いていましたが、昨年の4~6月期が経済活動の底でしたが、その反動が現れています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。
6月の企業向けサービス価格、前年比1.4%上昇 広告や輸送が値上がり
日銀が27日発表した6月の企業向けサービス価格指数(2015年平均=100)は105.0と、前年同月比で1.4%上昇した。前年比のプラスは4カ月連続。テレビ広告や国際輸送などの価格が上昇した。
テレビ広告では飲料、情報通信などの出稿が戻り、価格を押し上げた。また6月は「東京五輪に備え、出稿を早める動きが一部(の業種)にあったと聞いている」(日銀)という。
国際航空旅客・貨物輸送では、燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)の改定により価格が上昇した。
同指数は輸送や通信など企業間で取引するサービスの価格水準を総合的に示す。前月比では0.1%上昇した。
調査の対象となる146品目のうち価格が前年同月比で上昇したのは78品目、下落は40品目だった。
いつもながらよく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、企業向けサービス物価指数(SPPI)のグラフは下の通りです。上のパネルはヘッドラインのサービス物価(SPPI)上昇率及び変動の大きな国際運輸を除くコアSPPI上昇率とともに、企業物価(PPI)の国内物価上昇率もプロットしてあり、下のパネルは日銀の公表資料の1枚目のグラフをマネして、国内価格のとサービス価格のそれぞれの指数水準をそのままプロットしています。企業向けサービス物価指数(SPPI)が着実に上昇トレンドにあるのが見て取れます。いずれも、影を付けた部分は景気後退期なんですが、このブログのローカルルールで直近の2020年5月を景気の谷として暫定的に同定しています。

上のグラフで見ても明らかな通り、企業向けサービス価格指数(SPPI)の前年同月比上昇率は、2019年10月の消費税率引上げの効果が剥落した昨年2020年10月からマイナスに陥っていましたが、今年2021年2月統計では保合いになり、3月統計でプラスに転じました。直近で利用可能な6月統計では+1.4%まで上昇幅を拡大しています。基本的には、石油をはじめとする国際商品市況の上昇がサービスにも波及していると私は考えていますし、加えて、昨年2020年4~6月期が我が国では第1次の緊急事態宣言の中で経済活動の水準がほぼ底だったため、その反動で今年はこの時期の前年同月比上昇率が上がっている、という面も否定できません。少し詳しく、SPPIの大類別に基づく前年同月比上昇率とヘッドライン上昇率+1.4%への寄与度で見ると、テレビ広告やインターネット広告などの広告が+0.58%、不動産が+0.24%、運輸・郵便が+0.21%、諸サービスが+0.18%となっています。引用した記事にあるように、東京オリンピックに関連する広告需要があったかもしれません。
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