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2021年7月 7日 (水)

基調判断が「改善」に据え置かれた5月の景気動向指数は改善を示しているか?

本日、内閣府から5月の景気動向指数公表されています。CI先行指数が前月から▲1.2ポイント下降して102.6を示し、CI一致指数も前月から▲2.6ポイント下降して92.7を記録しています。まず、統計のヘッドラインを手短に報じる記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。

5月の景気一致指数、2.6ポイント低下 市場予想2.6ポイント低下
内閣府が7日発表した5月の景気動向指数(CI、2015年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比2.6ポイント低下の92.7となった。QUICKがまとめた市場予想の中央値は2.6ポイント低下だった。数カ月後の景気を示す先行指数は1.2ポイント低下の102.6だった。
内閣府は、一致指数の動きから機械的に求める景気の基調判断を「改善」に据え置いた。
CIは指数を構成する経済指標の動きを統合して算出する。月ごとの景気変動の大きさやテンポを示す。

短いながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、景気動向指数のグラフは下の通りです。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しているんですが、直近の2020年5月を景気の谷として暫定的にこのブログのローカルルールで勝手に同定しています。

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ということで、引用した記事にもあるように、統計作成官庁である内閣府では、3月に基調判断を上方改定して、今月も3か月連続で「改善」に据え置きとなっています。基準がどうなっているかというと、「3か月後方移動平均が3か月連続して上昇していて、当月の前月差の符号がプラス」ですから、後者の当月の前月差はマイナスながら、3か月後方移動平均が3か月連続して上昇しているので「改善」と据え置かれています。逆に、3か月後方移動平均がマイナスとなれば、「足踏み」となるわけです。やや機械的な判断という批判が出るかもしれません。まあ、判断基準がとても透明性高いので仕方ありません。
5月統計について、CI一致指数を詳しく見ると、マイナス寄与が大きい順に、生産指数(鉱工業)、鉱工業用生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数などのマイナス寄与が大きくなっています。新型コロナウィルス感染症(COVID-19)のパンデミックに対応した緊急事態宣言が、東京都と関西圏で4月25日からという遅い時期だったのに対して、5月については丸々1か月間宣言発令中となりますので、その点で経済的な影響も大きかったと考えるべきです。ただし、景気動向指数と連動性の高い鉱工業生産指数(IIP)の製造工業生産予測指数は、自動車向け半導体の供給制約が緩和されることなどから、6月には大きなプラスを示していますし、5月統計でCI一致指数が前月差マイナスであったとしても、目先はともかく、世界経済の順調な拡大に伴って、我が国の輸出や生産が緩やかに増加する可能性が高い、と私は考えています。ですから、IIP関連指標と連動性高いCI一致指数を基準とすれば、引き続き景気は「拡大」局面にとどまる可能性が高く、景気の先行きをそれほど悲観する必要はない、と考えるべきです。実は、この結論は先月から大きく変更しています。新しい統計が出るたびに私は考えを変える場合がありますので、悪しからず。

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