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2021年7月16日 (金)

日銀「展望リポート」では物価見通しが上方改定される!!!

昨日から開催されていた日銀金融政策決定会合が終了し、「展望リポート」が公表されています。報道などでは、気候変動対応の新制度が注目されていますが、金融政策決定会合の本旨である金融政策では、短期金利を▲0.1%、長期金利の指標になる10年物国債利回りを0%程度に誘導する長短金利操作=イールドカーブ・コントロールの維持を決定しています。加えて、私は経済見通しにより興味があります。ということで、2021~2023年度の政策委員の大勢見通しのテーブルを引用すると以下の通りです。なお、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で、引用元である日銀の「展望リポート」からお願いします。

  実質GDP消費者物価指数
(除く生鮮食品)
 2021年度+3.5 ~ +4.0
<+3.8>
+0.3 ~ +0.6
<+0.6>
 4月時点の見通し+3.6 ~ +4.4
<+4.0>
0.0 ~ +0.2
<+0.1>
 2022年度+2.6 ~ +2.9
<+2.7>
+0.8 ~ +1.0
<+0.9>
 4月時点の見通し+2.1 ~ +2.5
<+2.4>
+0.5 ~ +0.9
<+0.8>
 2023年度+1.2 ~ +1.4
<+1.3>
+0.9 ~ +1.1
<+1.0>
 4月時点の見通し+1.2 ~ +1.5
<+1.3>
+0.7 ~ +1.0
<+1.0>

見れば明らかな通り、足元の2021年度については成長率見通しを引き下げた一方で、物価見通しは上方改定されています。フィリップス曲線的には不整合な動きといえますが、この背景には、国内でのワクチン接種の遅れに加えて、海外、というか、国際商品市況における石油などの資源価格の上昇があります。金融政策よりも、資源価格の方が国内物価への影響が大きいわけですから、金融政策当局の舵取りもタイヘンです。また、「展望リポート 2021年7月」から、政策委員の経済・物価見通しとリスク評価のグラフを引用すると以下の通りであり、少し前までリスクは下方にあったように記憶していますが、現時点でほぼほぼリスクはニュートラルといえます。

photo

私自身も、先行き経済や物価の見通しについては、基本的に、日銀と同じ方向感覚を共有しており、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響が終息すれば、所得と需要の好循環が復活する可能性が十分あると考えています。しかし、最大のリスクは政府要因です。すなわち、大前提となるコロナ終息なんですが、ワクチン供給をはじめとして、現内閣にコロナ終息の能力がまったくないように私には見えます。東京に第4次の緊急事態宣言を出した一方で、オリンピック・パラリンピックに関しては、中止すべきと私は従来から考えていますが、強行開催されようとしています。また、財政政策の方向についても私には懸念があります。例えば、先週7月6日に開催された経済財政諮問会議において、有識者委員から「今後のマクロ経済政策運営について」と題するメモが提出され、来年度2022年度の予算編成について、「財政規模の縮小自体が景気回復の足かせとならないよう、景気動向を注視し、躊躇なく機動的なマクロ経済財政運営を実施すべき」との指摘がなされていて、釘を差された形になっています。ホントにこのメモにあるように、機動的なマクロ経済財政運営がなされるかどうか、緊縮財政に陥ることがないよう、注視する必要がありそうです。

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