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2021年7月12日 (月)

拡大続く機械受注と上昇続く企業物価指数(PPI)!!!

本日、内閣府から5月の機械受注が、また、日銀から6月の企業物価 (PPI) がそれぞれ公表されています。機械受注では変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注は、季節調整済みの系列で見て前月比+7.8%増の8657億円を示しており、他方、企業物価指数(PPI)のヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は+5.0%を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

5月の機械受注、前月比7.8%増 市場予想は2.6%増
内閣府が12日発表した5月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の受注額(季節調整済み)は前月比7.8%増の8657億円だった。QUICKがまとめた民間予測の中央値は2.6%増だった。
製造業は2.8%増、非製造業は10.0%増だった。前年同月比での「船舶・電力を除く民需」受注額(原数値)は12.2%増だった。内閣府は基調判断を「持ち直しの動きに足踏みがみられる」から「持ち直しの動きがみられる」に変更した。
機械受注は機械メーカー280社が受注した生産設備用機械の金額を集計した統計。受注した機械は6カ月ほど後に納入されて設備投資額に計上されるため、設備投資の先行きを示す指標となる。
6月の企業物価指数、前年比5.0%上昇 前月比0.6%上昇
日銀が12日発表した6月の国内企業物価指数(2015年平均=100)は104.6で前年同月比で5.0%上昇、前月比で0.6%上昇した。市場予想の中心は前年比4.7%上昇だった。
円ベースで輸出物価は前年比11.3%上昇、前月比で1.0%上昇した。輸入物価は前年比28.0%上昇、前月比で2.3%上昇した。

とてもコンパクトに取りまとめられています。続いて、機械受注のグラフは上の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影を付けた部分は景気後退期なんですが、このブログのローカルルールにより勝手に直近の2020年5月を景気の谷として暫定的に同定しています。

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日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスによれば、船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注で見て、前月比で+2.6%増でしたし、予測レンジの上限が+6.4%でしたので、この上限を超える大きなプラスでした。従って、引用した記事にもある通り、統計作成官庁である内閣府の基調判断は「持ち直しの動きに足踏みがみられる」から「持ち直しの動きがみられる」に変更されています。先月統計では、米中をはじめとする世界経済回復の追い風を受ける製造業と停滞したままの内需に依存する非製造業の違いは大きいと感じたのですが、今月統計では、むしろ、非製造業の伸びが高まっています。すなわち、先月4月統計では製造業+10.9%増、船舶と電力を除く非製造業が▲11.0%減となっていたのですが、5月統計では製造業が+2.8%と引き続き堅調に推移しただけではなく、コア非製造業も+10.0%増を記録しています。非製造業では、情報通信業+36.7%増、不動産業+9.9%増、金融業・保険業+6.6%増などが高い伸びを示しています。加えて、コア機械受注の先行指標である外需が5月統計では+11.4%増の伸びを示し、1兆円超えの高い水準にありますので、振れが激しくてやや予測が難しい指標ながら、今後も緩やかな伸びが期待できると私は考えています。

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続いて、企業物価(PPI)上昇率のグラフは上の通りです。上のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率を、下は需要段階別の上昇率を、それぞれプロットしています。また、影を付けた部分は景気後退期であり、2020年5月を直近の景気の谷として暫定的にこのブログのローカルルールで同定しています。このところ、順調に足元で物価が下げ止まりつつあると私は評価していますが、まさに、その通りの展開と受け止めています。引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスではPPIのヘッドラインとなる国内物価の前年同月比で+4.8%の上昇と見込まれており、レンジの上限でも+5.1%でしたから、やや上振れた印象です。国際商品市況における石油をはじめとする資源価格の上昇に起因するとはいえ、このところ、順調に物価上昇率が拡大していると私は受け止めています。国内物価について品目別で前年同月比を詳しく見ると、石油・石炭製品が+42.0%、非鉄金属が+37.6%、木材・木製品が+18.6%、化学製品+9.7%、鉄鋼+9.3%などとなっています。ただし、石油・石炭製品と非鉄金属については、6月統計の上昇率は5月統計を下回っており、前年同月比上昇率で見ればピークアウトした可能性があります。また、季節調整していない原系列の統計ながら、前月比も+0.6%の上昇を示しており、品目別で寄与度の大きい順に見て、石油・石炭製品が+0.19%、鉄鋼が+0.09%、国財・木製品が+0.06%、電力・都市ガス・水道も+0.06%などとなっています。基本的に、国際商品市況における石油ほかの1次産品価格の上昇とともに、中国をはじめとする新興国における景気回復が背景にあるものと考えるべきです。

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