7月の消費者物価指数(CPI)上昇率は基準改定でマイナスに逆戻り!!!
本日、総務省統計局から7月の消費者物価指数 (CPI) が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、CPIのうち生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPI上昇率は、2020年基準への改定により、▲0.2%の下落を記録しています。他方で、生鮮食品とエネルギーを除く総合で定義されるコアコアCPI上昇率は▲0.6%とやはり下落しています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。
7月の全国消費者物価、0.2%下落 下落は12カ月連続
総務省が20日発表した7月の全国消費者物価指数(CPI、2020年=100)は、生鮮食品を除く総合指数が99.8と前年同月比0.2%下落した。下落は12カ月連続。QUICKがまとめた市場予想の中央値は0.4%下落だった。
生鮮食品とエネルギーを除く総合のCPIは99.4と、0.6%下落した。生鮮食品を含む総合は0.3%下落した。
総務省は5年ごとにCPIの基準改定を実施している。今回の発表から、これまでの「2015年基準」から「2020年基準」に切り替わった。
いつものように、よく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、消費者物価(CPI)上昇率のグラフは下の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIと生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPI、それぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフはコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。寄与度はエネルギーと生鮮食品とサービスとコア財の4分割です。加えて、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1ケタの指数を基に私の方で算出しています。丸めずに有効数字桁数の大きい指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。統計局の公表数値を入手したい向きには、総務省統計局のサイトから引用することをオススメします。

まず、引用した記事にもあるように、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは▲0.4%の下落でしたので、やや上振れた印象です。まあ、基準改定1回目の指数の公表ですので、ピタリと予想するのは難しいのかもしれません。当然ながら、基本的なトレンドは2015年基準指数から変わることはなく、国際商品市況における石油価格の上昇に伴って、ガソリン・灯油などのエネルギー価格が前年同月比で+5.8%の上昇を見せて、ヘッドライン上昇率に対して+0.41%の寄与を示した一方で、政策要因に近い通信料(携帯電話)が大きなマイナス寄与を示しており、前年同月比▲39.6%の下落で、▲1.09%の寄与となっています。ヘッドラインの前年同月比上昇率が▲0.3%の下落ですので、その大部分がこの2品目で説明できてしまいます。基準改定で、コアCPI上昇率は一時的にマイナスとなったものの、国内外の景気回復とともに、先行きは緩やかに上昇に転じていくものと私は考えています。
消費者物価指数(CPI)を離れて、とても狭いエコノミストの世界で、経済心理学・行動経済学のアリエリー教授の論文のデータに疑義を呈する匿名の研究者が現れ、少し噂になっています。Data ColadaのEvidence of Fraud in an Influential Field Experiment About Dishonestyという記事なのですが、私は従来からこの分野に大きな疑問を持っています。すなわち、(1)学問的な究明よりも、実際の営業担当者のマーケティングの方が経験的に確かであり、実務家の方がデータを持っている、(2)ソーシャル・エンジニアリングなどで設定された目的が社会的に正しいかどうかの検証が不可能、防衛研究が典型ですが、研究費補助次第でどんな目的も正当化されかねない、(3)データがどこまで正確か検証できない、と考えています。(1)については、学術的に定量的な確認はそれなりに意味あると思いますが、(2)と(3)については私の疑問は解けそうもありません。もちろん、ネオリベな効率性万能主義も疑問が大きいのは確かです。
最後の最後に、昨日、2回めのモデルな製ワクチン接種を受けて、今日は発熱すると覚悟していたのですが、現時点ではまだ平熱です。午後から発熱するかもしれないので、チャチャッと思いつく限り取りまとめてポストしておきます。
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