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2021年8月17日 (火)

消費者物価指数の基準改定はどのような影響を及ぼすか?

かなり旧聞に属するトピックながら、先々週の8月16日に総務省統計局から「消費者物価指数2020年基準改定による遡及結果について」と題するメモランダムが示されています。これによれば、今年2021年4~6月期の各月については、ヘッドライン指数の上昇率でも、生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPI上昇率でも、あるいは、生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPI上昇率でも、ほぼほぼ▲0.7%ポイントの下振れが生じています。三菱UFJリサーチ&コンサルティングのリポート「2020年基準への改定で消費者物価はマイナス圏へ」から 基準改定によるコアCPI 前年比変化率への影響 のグラフを引用すると以下の通りです。

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なお、上のグラフを引用した三菱UFJリサーチ&コンサルティングのリポートのほかにも、大和総研のリポート「CPIの2020年基準への改定による影響②」でも、同じく、ほぼほぼ▲0.7%ポイントの下振れという同様の基準改定の影響が報告されています。ただし、8月6日の総務省統計局のメモが出る前の先月7月の段階では、大和総研のリポート「CPIの2020年基準への改定による影響」とか、ニッセイ基礎研のリポート「消費者物価指数基準改定の影響試算」では、▲0.2%ポイントから▲0.3%ポイントの下振れが予想されていました。もともと、我が国のCPIに限らず、多くの物価指数は固定バスケットに基づくラスパイレス指数ですから、基準年から離れるに従って上方バイアスがかかるのは、多くのエコノミストの間の常識でしたが、基準改定による下方改定幅については議論あるところでした。
CPIの基準改定による新旧基準の乖離については、(1)ウェイト効果、(2)リセット効果、(3)品目効果、(4)モデル効果の4つが指摘されており、ウェイト効果とは、そのものズバリで基準改定に伴うウェイトの変更による効果です。リセット効果とは、基準年に指数が100に統一されることによる効果で、上昇・下落の変化率と幅が100を基準としてリセットされるため、下落品目の絶対値での寄与度が大きくなる一方で、上昇品目の寄与度が小さくなります。品目効果では、指数に採用される品目の追加・廃止などによる効果ですが、これは決して大きくないと考えるべきです。最後のモデル効果とは、品質調整のためにヘドニックで推計されている品目などのモデルが変更される効果です。これまた、三菱UFJリサーチ&コンサルティングのリポートに従えば、▲0.7%の下方改定を要因分解すると、(1)ウェイト効果▲0.19%、(2)リセット効果▲0.18%、(3)品目効果▲0.03%、(4)モデル効果▲0.30%、と試算されています。大和総研のリポートでも、グラフが示されており、ウェイト効果とリセット効果とモデル効果が大きくなっている点が確認できます。ウェイト効果とモデル効果では、いずれのリポートでも、携帯電話通信料のウェイトが高まり、大手通信会社の値下げの効果などの影響が大きいと結論しています。

さて、金曜日8月20日公表のCPIの結果やいかに?

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