企業向けサービス価格指数(SPPI)上昇率は7月+1.1%と4か月連続で+1%台の順調な上昇を続ける!!!
本日、日銀から7月の企業向けサービス価格指数 (SPPI)が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、ヘッドラインSPPIの前年同月比上昇率は+1.1%を記録し、変動の大きな国際運輸を除く平均も+0.9%の上昇を示しています。新型コロナウィルス感染症(COVID-19)パンデミックに対応した緊急事態宣言が5月中は首都圏などで続いていましたが、昨年の4~6月期が経済活動の底でしたが、その反動の影響がやや薄れつつある印象です。まず、ロイターのサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。
企業向けサービス価格、7月は1.1%上昇 五輪裏番組の広告意欲鈍る
日銀が26日公表した7月の企業向けサービス価格指数は前年比1.1%上昇となり、5カ月連続で上昇した。新型コロナウイルスの感染拡大で落ち込んだ前年の反動で、「広告」が指数を押し上げる構図が続いているものの、伸び率は前月の1.3%から縮小した。
「広告」は前月の13.3%上昇から9.2%上昇に伸び率が縮小。テレビ広告は18.1%上昇となり、前月の33.7%上昇を大きく下回った。東京五輪開催に伴い、五輪中継の裏番組の低視聴率を予想した企業の出稿意欲が鈍った。
一方、「諸サービス」は前月の0.4%上昇から0.8%上昇に伸び率を拡大。指数を0.29%ポイント押し上げた。宿泊サービスは10.8%上昇で2015年10月以来の高い伸び。五輪関係者の需要が高まった。もっとも、新型コロナウイルスの感染拡大で需要が低迷する中、指数は79.0で引き続き低水準。日銀の担当者によると、一時的な需要増にとどまるとの声が出ているという。
146品目中、上昇は79品目、下落は37品目だった。
いつもながらよく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、企業向けサービス物価指数(SPPI)のグラフは下の通りです。上のパネルはヘッドラインのサービス物価(SPPI)上昇率及び変動の大きな国際運輸を除くコアSPPI上昇率とともに、企業物価(PPI)の国内物価上昇率もプロットしてあり、下のパネルは日銀の公表資料の1枚目のグラフをマネして、国内価格のとサービス価格のそれぞれの指数水準をそのままプロットしています。企業向けサービス物価指数(SPPI)が着実に上昇トレンドにあるのが見て取れます。いずれも、影を付けた部分は景気後退期なんですが、このブログのローカルルールで直近の2020年5月を景気の谷として暫定的に同定しています。

上のグラフで見ても明らかな通り、企業向けサービス価格指数(SPPI)の前年同月比上昇率は、2019年10月の消費税率引上げの効果が剥落した昨年2020年10月からマイナスに陥っていましたが、今年2021年2月統計では保合いになり、3月統計でプラスに転じました。直近で利用可能な7月統計では+1.1%の上昇を記録しています。基本的には、石油をはじめとする国際商品市況の上昇がサービスにも波及していると私は考えていますし、加えて、昨年2020年4~6月期が我が国では第1次の緊急事態宣言の中で経済活動の水準がほぼ底だったため、その反動で今年2021年5~6月くらいまでは前年同月比上昇率が上がっていて、7月統計にもその影響が残っている、という面も否定できません。少し詳しく、SPPIの大類別に基づく前年同月比上昇率とヘッドライン上昇率+1.1%への寄与度で見ると、テレビ広告をはじめとする広告が+0.41%、宿泊サービスや土木建築サービスなどの諸サービスが+0.29%、運輸・郵便が+0.24%、などとなっています。前年同月比上昇率でも、特に、広告はテレビ広告の+18.1%、インターネット広告の+10.9%などをはじめとして広告全体で+9.2%の上昇を示しています。ただし、引用した記事にもあるように、先月統計から上昇率は大幅に鈍化しています。いずれにせよ、強行開催した東京オリンピックの効果なのかもしれないわけで、景気敏感な広告の価格上昇なんですが、景気要因だけとは限らないような気もします。
| 固定リンク
« 紀要論文 "Mathematical Analytics of Lewisian Dual-Economy Model" を書き終える!!! | トップページ | 投打がかみ合って横浜に大勝!!! »
コメント