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2021年9月30日 (木)

8月の鉱工業生産指数(IIP)と商業販売統計はともに大きなマイナスを記録!!!

本日、経済産業省から8月の鉱工業生産指数(IIP)商業販売統計が、それぞれ公表されています。IIPのヘッドラインとなる生産指数は季節調整済みの系列で前月から▲3.2%の減産でした。また、商業販売統計のヘッドラインとなる小売販売額は季節調整していない原系列の統計で前年同月比▲3.2%減の12兆180億円、季節調整済み指数でも前月から▲4.1%の減少を記録しています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じた記事を手短かに引用すると以下の通りです。

8月の鉱工業生産、前月比3.2%低下 9月予測は0.2%上昇
経済産業省が30日発表した8月の鉱工業生産指数(2015年=100、季節調整済み)速報値は、前月比3.2%低下の95.0だった。低下は2カ月連続。生産の基調判断は「持ち直している」から「足踏みをしている」に変更した。QUICKがまとめた民間予測の中央値は前月比0.5%低下だった。
出荷指数は3.8%低下の92.7で、在庫指数は0.3%低下の94.7。在庫率指数は3.4%上昇の113.3だった。
同時に発表した製造工業生産予測調査では9月が0.2%上昇、10月は6.8%上昇を見込んでいる。
8月の小売販売額、3.2%減
経済産業省が30日発表した8月の商業動態統計(速報)によると、小売販売額は前年同月比3.2%減の12兆180億円だった。減少は6カ月ぶり。季節調整済みの前月比は4.1%減だった。
大型小売店の販売額については、百貨店とスーパーの合計が4.8%減の1兆6079億円だった。既存店ベースでは4.7%減だった。
コンビニエンスストアの販売額は1.2%減の1兆191億円だった。

やや長くなりましたが、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、鉱工業生産と出荷のグラフは下の通りです。上のパネルは2015年=100となる鉱工業生産指数そのものであり、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷のそれぞれの指数です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は景気後退期なんですが、2020年5月を直近の景気の谷として暫定的にこのブログのローカルルールで同定しています。

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まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスによれギリギリ下限近くという結果でした。加えて、足元の9月については、製造工業生産予測指数で見て+0.2%の増産を予測していますが、バイアスを補正すると▲1.3%の減産ですから、3か月連続の減産はかなり確度が高いと覚悟すべきです。このため、引用した記事にもある通り、統計作成官庁である経済産業省では基調判断を「持ち直している」から「足踏みをしている」に明確に1ノッチ引き下げています。ただし、10月は+6.8%の増産が見込まれています。基本的に、広く報じられているように、9月の減産は半導体の供給制約などによる自動車の減産に起因しています。ですから、自動車工業は前月比で▲15.2%の減産とマイナス寄与がもっとも大きくなっています。これに次ぐのが電気・情報通信機械工業の▲10.6%減です。我が国のリーディング・インダストリーといえます。今後の生産の行方は半導体の供給制約次第という面はありますが、大雑把には、内需に依存する部分の大きい非製造業とは違って、世界経済の回復とともに製造業の生産は緩やかに回復方向にあるのは間違いないと私も考えていますが、半導体の供給制約に加えて、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)のパンデミック次第で、それほど単純な道のりではない、と考えるべきです。

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続いて、商業販売統計のヘッドラインとなる小売販売額のグラフは上の通りです。上のパネルは季節調整していない小売販売額の前年同月比増減率を、下は季節調整指数をそのままを、それぞれプロットしています。前のIIPのグラフと同じで、影を付けた部分は景気後退期であり、直近の2020年5月を景気の谷として暫定的にこのブログのローカルルールで同定しています。繰り返しになりますが、通常、この統計のヘッドラインとなる小売販売額は季節調整していない原系列の統計で見ていて、そ前年同月比も、ついでに、季節調整済み指数の前月比も、かなり大きなマイナスなのですが、経済産業省のリポートでは、季節調整済み指数の後方3か月移動平均で基調判断を示しているようで、8月の移動平均指数は前月から0.0%の横ばいとなっており、基調判断は「横ばい傾向」で据え置いています。ただし、いつもの注意点ですが、商用販売統計は物販が主であり、サービスは含まれていないことから、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の経済的影響は過小評価されている可能性が高い、と考えるべきです。すなわち、飲食や宿泊のような対人接触型のサービスが緊急事態宣言で受けるネガティブな影響は、商業販売統計には十分には現れないことが予想され、実際の日本経済の先行きについてはこの統計よりも悲観的に見るべきであると私は考えています。

明日は、注目ながら方向感に欠ける日銀短観に加えて、失業率や有効求人倍率などの雇用統計も公表される予定です。それなりに、注目かもしれません。

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2021年9月29日 (水)

リクルートによる8月のアルバイト・パートと派遣スタッフの募集時平均時給やいかに?

明後日の雇用統計の公表を前に、ごく簡単に、リクルートによる8月のアルバイト・パートと派遣スタッフの募集時平均時給の調査結果を取り上げておきたいと思います。まず、いつものグラフは以下の通りです。

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アルバイト・パートの時給の方は、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響などにより、停滞感ありながら底堅い印象で、5月+1.5%増、6月+1.5%、7月+1.1%増に続いて、8月も+1.4%増となっています。ただし、伸び率が+2.0%を下回るのは、2020年10月から1年近くの11か月連続です。他方、派遣スタッフの方は昨年2020年5月以降のデータが跳ねていたのですが、今年2021年5月からはそのリバウンドで元に戻っています。上のグラフの通り、今年2021年8月は+1.8%を記録しています。
まず、アルバイト・パートの平均時給の前年同月比上昇率は、繰り返しになりますが、5~6月には+1.5%増の伸びまで縮小し、7月も+1.1%増にとどまった後、8月は小幅にリバウンドして+1.4%を記録しています。人手不足がメディアで盛んに報じられていた一昨年2019年暮れから昨年2020年年初のコロナ初期の+3%を超える伸び率から比べるとかなり低下してきているのが実感です。三大都市圏の8月度平均時給は前年同月より+1.4%、+15円増加の1,099円を記録しています。職種別では「事務系」(+32円、+2.8%)、「専門職系」(+22円、+1.8%)、「フード系」(+15円、+1.5%)、「営業系」(+18円、+1.4%)、「販売・サービス系」(+14円、+1.3%)、「製造・物流・清掃系」(+11円、+1.0%)とすべての職種で増加を示しています。地域別でも関東・東海・関西のすべての地域でプラスとなっています。
続いて、三大都市圏全体の派遣スタッフの平均時給は、8月は+31円増加、+1.8%増の1,735円に達しています。職種別では、「オフィスワーク系」(+65円、+4.3%)、「営業・販売・サービス系」(+39円、+3.5%)、「IT・技術系」(+57円、+2.7%)、「クリエイティブ系」(+43円、+2.4%)はプラスを記録した一方で、「医療介護・教育系」(▲4円、▲0.3%)だけが小幅なマイナスとなっています。派遣スタッフを詳しく見ると、「オフィスワーク系」のOAオペレータ、また、「IT・技術系」のOAインストラクターが前年同月比▲100円を超えて大きなマイナスです。地域別では関東・東海・関西のすべての地域でプラスを記録したのですが、関東が前年同月比で+0.1%増、東海も+0.2%増と渋かったのに対して、関西だけは+3.4%増となっています。

派遣スタッフ、アルバイト・パートともに時給上昇率はジワジワと停滞し始めていますが、まだまだ底堅い印象も十分あります。新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の経済的な影響は昨年2020年5月ころに底を打ったように見えることから、雇用については典型的には失業率などで景気動向に遅行するケースが少なくないとはいえ、人工動態から見た人手不足も解消されているわけではなく、それだけに、アルバイト・パートや派遣スタッフのお給料もまだ底堅さが残っている気がします。

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2021年9月28日 (火)

失礼ながら死に体の広島に完封負け!!!

  RHE
広  島000110000 270
阪  神000000000 022

秋山投手の好投虚しく、広島に完封負けでした。
2安打で完封されたわけですから、ほとんど何も出来なかったのかというと、そんなことはありません。それなりに塁上に走者を賑わしていながら、いつもの決定打不足です。広島4番の鈴木誠也選手が先制ホームランをかっ飛ばしたのに対して、阪神4番の大山悠輔選手は6回のチャンスにピーゴロでした。このあたりの差のような気がします。何とか、大山選手と、さらに、佐藤輝選手にも当たりが戻って欲しい今日このごろです。

明日は、
がんばれタイガース!

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まちまちな見通しの日銀短観予想はどうのような結果に落ち着くか?

今週金曜日10月1日の公表を控えて、シンクタンクから9月調査の日銀短観予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って、大企業製造業/非製造業の業況判断DIと全規模全産業の設備投資計画を取りまとめると下のテーブルの通りです。設備投資計画は今年度2021年度です。ただ、全規模全産業の設備投資計画の予想を出していないシンクタンクについては、適宜代替の予想を取っています。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しましたが、可能な範囲で、残りの2021年度も含めた先行き経済動向に注目しました。短観では先行きの業況判断なども調査していますが、ワクチン接種や新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の終息次第という面があり、シンクタンクにより大きく見方が異なることになってしまいました。それでも、より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開くか、ダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあってリポートが読めるかもしれません。

機関名大企業製造業
大企業非製造業
<設備投資計画>
ヘッドライン
6月調査 (最近)+14
+1
<+7.1>
n.a.
日本総研+14
▲1
<+6.7%>
先行き(2021年12月調査)は、全規模・全産業で9月調査対比+3%ポイントの改善を予想。
ワクチン接種が加速するなかで、行動制限の緩和への期待感などが景況感を押し上げる見通し。
大和総研+15
+1
<+7.9%>
9 月日銀短観では、大企業製造業の業況判断DI(先行き)は+16%pt(最近からの変化幅: +1%pt)、大企業非製造業は+6%pt(同: +5%pt)といずれも改善を予想する。
大企業非製造業では、緊急事態宣言等の解除に伴う経済活動の活性化への期待感が、「小売」、「対個人サービス」、「宿泊・飲食サービス」といった業種を中心に先行きの業況判断 DI を押し上げよう。対照的に、大企業製造業では資源価格の上昇が一服していることを受け、素材業種の業況判断 DI(先行き)の改善ペースは鈍化するとみられる。加工業種に関しては、全体として世界的な景気回復に伴う需要の拡大が業況判断 DI(先行き)を小幅に改善させるとみられる。ただし、資源高に遅行する形で投入コストが増加することや、半導体不足や感染拡大に起因する供給制約による影響には警戒が必要だ。
みずほリサーチ&テクノロジーズ+10
+2
<+6.8%>
製造業・業況判断DIの先行きは1ポイントの小幅な改善を予測する。東南アジアでの感染拡大の影響が徐々に縮小するとみられることから、自動車は改善が見込まれる。また、大幅な改善は見込みづらいものの、半導体や資本財への堅調な需要を背景に電気機械や生産用機械、はん用機械のDIは高水準で推移するだろう。
非製造業・業況判断DIの先行きは6ポイントの改善を見込む。リモートワークの恒常化に伴うソフトウェア投資増加等を受けて、通信や情報サービスのDIは高水準で推移するだろう。また、宿泊・飲食サービスや対個人サービス、運輸・郵便は改善が見込まれる。緊急事態宣言の解除が見込まれることに加えて、ワクチン接種者や陰性者への行動制限緩和に伴う需要増加への期待が業況を押し上げるだろう。ただし、当面インバウンドの回復が見込めないことや感染予防策継続の必要性など、経済活動の完全な正常化には至らないことから、これらの業種のDIはマイナス圏(「悪い」超)での推移が続く見通しだ。
ニッセイ基礎研+17
+2
<+7.3%>
先行きの景況感については総じて横ばい圏に留まると予想。国内外でワクチンの普及に伴う経済活動の回復が期待されるものの、冬場に向けて感染力の強い変異株の拡大やブレークスルー感染によるコロナ感染の再拡大も懸念されるため、楽観に傾きにくい。原材料価格の高止まり懸念も燻るだろう。菅政権辞任表明に伴う自民党総裁の交代劇については、結果や影響が不透明であることから、景況感への影響も限られると見ている。
なお、中小企業非製造業については、もともと先行きを慎重に見る傾向が強く、先行きにかけて景況感の改善が示されることが極めて稀であるだけに、今回も小幅な悪化が示されると予想している。
第一生命経済研+18
▲1
<大企業製造業+12.0%>
先行きは、10・11月にもコロナ禍での行動制限緩和が予定されていて、そこでの需要回復が期待される。先行きの業況DIは少し上向く予想である。
三菱総研+17
0
<+6.1%>
先行きの業況判断DI(大企業)は、製造業が+19%ポイント(9月時点の業況判断から2%ポイント上昇)、非製造業は+4%ポイント(9月時点の業況判断から 4%ポイント上昇)と、いずれも改善を予測する。国内のワクチン接種は11月には希望する国民への接種が完了する見込みであり、政府は行動制限緩和に向けた議論も開始している。これらの動きは、経済活動正常化に向けた明るい材料であり、先行き判断の改善につながるとみる。特に防疫措置の長期化で、現状の業況判断が非常に厳しい飲食・宿泊サービスなど外出関連業種では、先行き判断の改善が見込まれる。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+17
+2
<大企業全産業+9.4%>
日銀短観(2021年9月調査)の業況判断DI(最近)は、大企業製造業では、前回調査(2021年6月調査)から3ポイント改善の17と予測する。回復が遅れていた素材業種の改善幅は大きいが、加工業種の改善が鈍く、コロナ禍からの回復は続くものの、そのペースは鈍化するとみられる。先行きは多くの業種で慎重な見方が示され、2ポイント改善の19となろう。

上のテーブルを見れば明らかなのですが、予想は業況判断DIも設備投資計画もいずれも両方向が示されており、決して同じ方向ではなさそうです。すなわち、大企業製造業の業況判断DIについては、おおむね改善を見込んでいますが、みずほリサーチ&テクノロジーズのように悪化を見込むシンクタンクもあります。同じように、非製造業の業況判断DIについても、改善・悪化とも小幅ながら、両方向の予想が示されています。我が家で購読している朝日新聞でも、「日銀短観9月調査、景気『足踏み』か 民間14社予想」と題した記事を見かけました。いくつかの要因が重なり合って、先行き不透明な印象です。まず、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)のワクチン接種が進んだ先進国では、やや遅れを見せた我が国と違って、景気の足取りが順調な拡大局面に達している国もあり、外需は堅調ですから輸出に助けられる製造業などで景況感は改善を見せる可能性があります。ただし、先進国と違って、やや遅れてCOVID-19パンデミックがまだ続いていてワクチン接種も進んでいない新興国や途上国もあり、製造業の部品生産などでサプライ・チェーンが細っている産業もあります。我が国リーディング・インダストリーの自動車がそうだったりしますし、そういった産業・企業では景況感が悪化していても不思議ではありません。非製造業でも回答時期によりCOVID-19の新規感染者数がどのようになっていたかによりビミョーに景況感に影響が出た可能性もあります。設備投資計画も含めて、まあ、総じて見るに「方向感がない」という表現がピッタリなんではないかという気もします。
下のグラフは、日本総研のリポートから引用しています。

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2021年9月27日 (月)

6か月連続の前年比プラスを記録した企業向けサービス価格指数(SPPI)の動向をどう見るか?

本日、日銀から8月の企業向けサービス価格指数 (SPPI)が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、ヘッドラインSPPIの前年同月比上昇率は+1.0%を記録し、変動の大きな国際運輸を除く平均も+0.9%の上昇を示しています。新型コロナウィルス感染症(COVID-19)パンデミックに対応した緊急事態宣言が8月中は首都圏や関西圏などで続いていましたが、昨年の4~6月期が経済活動の底でしたので、その反動の影響がやや薄れつつある印象です。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

8月の企業向けサービス価格、前月比0.1%下落 3カ月ぶりマイナス
日銀が27日発表した8月の企業向けサービス価格指数(2015年平均=100)は105.0と、前月から0.1%下落した。前月比でマイナスとなるのは3カ月ぶり。テレビ広告などの価格が軟調だった。
同指数は輸送や通信など企業間で取引するサービスの価格水準を総合的に示す。テレビ広告では東京五輪の裏番組を中心に企業の出稿意欲が減退し、価格が下がった。一方、外航貨物輸送はオーストラリア産鉄鉱石の好調な荷動きを背景に上昇。強弱材料が交錯し、全体での下げ幅は限定的だった。
前年同月比では1.0%上昇し、6カ月連続のプラスだった。日銀は「(新型コロナウイルスの)ワクチン接種の進捗などで経済活動が再開すると、サービス需要の回復が期待される」と分析している。
調査の対象となる146品目のうち価格が前年同月比で上昇したのは79品目、下落は28品目だった。

いつもながらよく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、企業向けサービス物価指数(SPPI)のグラフは下の通りです。上のパネルはヘッドラインのサービス物価(SPPI)上昇率及び変動の大きな国際運輸を除くコアSPPI上昇率とともに、企業物価(PPI)の国内物価上昇率もプロットしてあり、下のパネルは日銀の公表資料の1枚目のグラフをマネして、国内価格のとサービス価格のそれぞれの指数水準をそのままプロットしています。企業向けサービス物価指数(SPPI)が着実に上昇トレンドにあるのが見て取れます。いずれも、影を付けた部分は景気後退期なんですが、このブログのローカルルールで直近の2020年5月を景気の谷として暫定的に同定しています。

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上のグラフで見ても明らかな通り、企業向けサービス価格指数(SPPI)の前年同月比上昇率は、2019年10月の消費税率引上げの効果が剥落した昨年2020年10月からマイナスに陥っていましたが、今年2021年2月統計では保合いになり、3月統計でプラスに転じました。直近で利用可能な8月統計では+1.0%の上昇を記録しています。基本的には、石油をはじめとする国際商品市況の上昇がサービスにも波及していると私は考えていますし、加えて、昨年2020年4~6月期が我が国では第1次の緊急事態宣言の中で経済活動の水準がほぼ底だったため、その反動で今年2021年5~6月くらいまでは前年同月比上昇率が上がっていて、特に、前年同月比上昇率は今年2021年5月の+1.5%で直近のピークを付け、その後、緩やかに上昇率は低下しているものの、+1.0%を記録した8月統計にもその影響が残っている、という動向ではないかと私は受け止めています。もう少し詳しく、SPPIの大類別に基づく前年同月比上昇率と8月統計のヘッドライン上昇率+1.0%への寄与度で見ると、景気に敏感なテレビ広告をはじめとする広告が+0.40%、石油価格の影響が強い運輸・郵便が+0.28%、宿泊サービスや土木建築サービスなどの諸サービスが+0.25%、などとなっています。前年同月比上昇率でも、特に、広告はテレビ広告の+16.4%、雑誌広告+13.6%、インターネット広告+10.8%などをはじめとして広告全体で+9.4%の上昇を示しています。昨年のCOVID-19による経済への影響の反動が含まれているとはいえ、景気に敏感な広告の上昇率が高いのはひとつの特徴かと考えています。逆に見て、いわゆる人手不足要因とは必ずしも考えられないともいえます。ただし、繰り返しになりますが、先月統計から前年同月比上昇率は少し鈍化していますし、引用した記事のタイトルでも、前月比マイナスが強調されている点は忘れるべきではありません。

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2021年9月26日 (日)

東京ドームで2勝1分けとして巨人を圧倒!!!

  RHE
阪  神001030000 440
読  売000001020 370

終盤8回はややヤキモキしましたが、結局、2勝1分けで巨人を圧倒しました。
大山選手の先制弾は「一番搾り直撃」だったんでしょうか。5回にはフォアボール3人の走者を糸井選手が一掃するツーベースで返してくれました。投手陣は、先発ガンケル投手は相変わらずの安定したピッチングで6回1失点のQS、後を継いだ及川投手は外連味なく抑え切り、8回の岩崎投手が失点したものの同点には至らず、最終回のスアレス投手は「1点差とは思えない」と日テレ解説者が舌を巻くほどの安定感でした。後は、これで佐藤輝選手がに当たりが戻れば阪神ファンとしては願ったり叶ったりということで...

甲子園に戻っても、
がんばれタイガース!

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2021年9月25日 (土)

高橋遥人投手、見事な完封勝利おめでとう!!!

  RHE
阪  神000000120 361
読  売000000000 050

高橋遥人投手の見事な完封勝利でした。誠に、おめでとうございます。中盤までは菅野投手との投手戦でしたが、7回に糸原選手の先制ソロホームラン、8回にもルーキー中野選手のタイムリーで3点差をつけ、最終回は少しハラハラさせられましたが、見事に逃げ切りました。後は、ナイターで中日にがんばってもらうだけです。

明日は2タテ目指して、
がんばれタイガース!

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今週の読書はデータのまやかしに関する専門書とミステリも2冊ずつあって計6冊!!!

今週の読書は、データのまやかしに関する専門書、まあ、経済書と私はみなしていますが、同じ方向を向いた本が2冊、東野圭吾のガリレオ・シリーズ最新刊に加えて、新書や文庫本など計6冊です。そして、いつもお示ししている本年の読書の進行ですが、このブログで取り上げた新刊書だけで、1~3月期に56冊、4~6月も同じく56冊、本日取り上げた6冊を含めて7~9月で65冊、これらを合計して177冊になりました。9月については、明日からも9月ではありますが、本日から先は10月カウントということにしようと考えています。今年2021年の新刊書読書はほぼほぼ確実に200冊を超えるものと予想しています。なお、来週から授業が始まりますので、読書の方は少し後回しになるかもしれません。

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まず、カール T. バーグストローム & ジェヴィン D. ウエスト『デタラメ』(日本経済新聞出版) とピーター・シュライバー『統計データの落とし穴』(ニュートンプレス) です。です。著者は、まず、『デタラメ』の方は、ともに米国ワシントン大学の研究者であり、専門は必ずしも同じではないのですが、データ関係に強い分野を研究しています。そして、『統計データの落とし穴』の方は、カナダのカルガリー市の都市計画官だそうです。いずれも、統計やデータに惑わされないようにという目的で書かれた教養書であり、冒頭のグッドハートの法則から始めているという共通点があります。グッドハートの法則とは、「指標が目的になると、その指標は機能しなくなる」というものなんですが、私はこれには懐疑的です。すなわち、経済分野においてはGDP、あるいは、その成長率、また、物価指数、または、その増加率であるインフレ率、失業率などなどの代表的なマクロ経済の指標については、まさにそれを目標とする政策運営がなされていて、今のところ、批判が少なくないとはいえ、こういった経済指標が機能しなくなっているとはとても思えないからです。私のこのブログもそうですが、シンクタンクや金融機関の調査部なんかで、こういった経済指標の解説を一所懸命にやっている人はいっぱいいます。ただ、もちろん、『デタラメ』で指摘しているように、相関関係を因果関係であるかのように誤解させかねない表現を用いたり、ランダムなサンプルではなく特定の目的に合致するようなサンプル構成のバイアスがあったりするのは事実ですし、『統計データの落とし穴』で取り上げているように、モロのデータ改竄が横行しているという事実も見逃せません。ただ、いずれにしても、こういったデータに関するリテラシーを高める必要があるのは、基本的に、経済学を学ぶ必要と同じで、データに、あるいは、データを扱う人に騙されないようにするためです。経済学については古くからロビンソン教授の名言 "The purpose of studying economics is not to acquire a set of ready-made answers to economic questions, but to learn how to avoid being deceived by economists." が妥当しますし、データ・サイエンスについても同様な気がします。ともかく、何を知りたくて、それを直接知ることが出来ないから、何を代理変数(PROXY)にして計測するのか、そして、その結果をどのように解釈すべきなのか。決定論的か、あるいは、確率変数なのか。本書でも、"Garbage In, Garbage Out" というのは出て来ますが、ホントに正しい結果を得ようとすれば、正しいデータを入れて、正しく処理=プロセスしなければなりません。インプットするデータが正しくなかったり、あるいは、処理=プロセスが正しくなかったりすれば、正しい結果は得られません。その上、我々一般国民を欺いて、騙して、引っかけて、どういう表現でもいいですが、エコノミストからすれば、本来の選好に歪みを生じさせて選択させようとする輩がやたらと多いのも事実です。さらに、時折、というかかなり頻繁に、我々自身が「本来の選好」というものを見失っていることも事実だったりします。でも、そこまで行くと不可知論に陥ってしまいそうですから、あくまで、本来の正しい選好というものがあるという前提で、それを歪めようという試みに世の中は満ちていて、それを排除する必要も高まっていることも事実です。ですから、こういったデータについての教養書も必要とされるゆえんです。

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次に、東野圭吾『透明な螺旋』(文藝春秋) です。著者は、国内でも有数の売れているミステリ作家ではないかと思います。本作品は、著者の代表作であるガリレオ・シリーズの最新作で、書き下ろしの長編です。とはいっても、実は、ミステリとしての肝である謎解きとしては、それほど大したことはありません。結婚前の同棲段階ながら、DV男が殺されるという犯罪なのですが、犯人や手口は、まあ、何と申しましょうかで、実は、本作品のメインではないのかもしれません。では、何が本作品のメインかというと、ガリレオこと、湯川教授の家族を含めた実像、ということなのかもしれません。というのは、出版社のサイトでは、「シリーズ第10弾」はまあいいとしても、「今、明かされる『ガリレオの真実』」という謳い文句が踊っています。大学の同級生だった草薙係長が湯川教授を訪ねて行くのは、横須賀にある湯川教授の両親の住む実家っだったりします。ただし、別に、湯川教授の実の母親がいたりもします。そして、その実の母親がDV男の被害を受けていた女性をかばっての逃避行に同行し、湯川教授から警察情報を得ていたりします。その上で、私はこの著者の法律遵守の精神や倫理観が極めて固くて、例えば、伊坂幸太郎なんかと比べて、やや面白みに欠けるような印象を持っていましたが、この作品では、湯川教授が偽りの証言を教唆したりしています。ガリレオ・シリーズの従来路線から、かなりの印象の違いを生じているわけですが、私は賛否両論あるような気がします。当然、謎めいたガリレオこと、湯川教授の実像、というか、出版社の謳い文句からすれば「ガリレオの真実」に迫りたいという読者の要望は、私は十分理解できます。しかし、他方で、個人としての湯川教授に関する情報は必要最小限で十分であり、名門大学の理系の教授職にあって、警視庁の刑事の大学の同級生、そして、何よりも合理的な思考を最優先する合理主義者、ここまで判っていれば、後は謎のままに残されていいという意見もあり得ます。私はどちらかといわなくても、圧倒的に後者です。ガリレオこと、湯川教授の家族や私生活はそれほど興味なく、ホームズのように時折コカインをキメていたりすれば話は別ですが、表現は悪いかもしれませんが、ゴルゴ13のように出生や育ちは謎のままであっても何ら問題ない、というか、その方が謎めいていて大いに結構、という気がします。さて、本作品以降のシリーズがどのように進むのか、とても興味ありながら、ちょっとスライスしたカナ、というのが私の印象です。私のように、ガリレオ・シリーズを愛読・完読している読者はいいのですが、それ以外の読者にはそれほどオススメできません。

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次に、鈴木宣弘『農業消滅』(平凡社新書) です。著者は、農水官僚から学界に転じた農業経済学の研究者です。本書では、基本的に、我が国の農政が失敗したために食料自給率が低下し、食料安全保障の観点からも好ましくない、という内容なんですが、日本の農政がどうして失敗だったのかの大きな要因として、対米従属下の米国企業への配慮、というか米国企業の利益増進に屈服したことが取り上げられていて、日本の政治が大きく歪められている対米従属のもっとも重大な影響が出ているのが農政である点は私も賛成です。本来、日本人の安心・安全のためになされている食品に関する規制についても、米国企業の要求を幅広く受け入れる形で歪められている点が明らかにされています。特に、欧州が米国の要求に屈しないのに比べて、日本の対米従属の姿が浮き彫りにされています。ただ、私がもっとも重要と考えたのが農家に対する補助のあり方です。この点については対米従属から少し離れますが、欧米先進国の農政がかなり手厚い農家保護を実施ている一方で、我が国ではほとんど農家保護がなされておらず、農政の失政がもっともよく現れている点だと私は認識しています。農家への所得保障などとともに、貿易自由化が自動車をはじめとする工業製品の輸出促進に偏重している一方で、農産物の保護が置き去りにされ、農家経営とともに国民の健康や安全が軽視されています。やや陰謀論的な趣きは感じられますが、説得力ある議論が展開されています。

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次に、小原嘉明『本能』(中公新書) です。著者は、東京農工大学名誉教授の進化生物学の研究者です。本書では、学習して獲得された能力に対する本能について論じています。すなわち、草食動物は生まれた途端に足で立って歩いたり、走ったりすることが出来ますし、鳥のヒナは親に教わらなくても飛ぶことが出来ますし、こういった生まれてすぐの赤ちゃんの行動から、私のような専門外の人間でも本能が感じられます。特に、本書の著者は進化生物学者ですから、雄と雌の生殖活動や子育てなんかにも目が行き届いています。というか、そちらが主たる内容になっています。例えば、雄と雌の生殖については、弱い雄もそれなりの知恵を働かせて子孫を残す行動に出たりしますし、力の強い雄が弱い雄を圧倒して駆逐するわけではない点は、なるほどと思わせる説得力がありました。婚外生殖についても、雌が婚外生殖を行っても子孫の数には大きな変化ないのに対して、雄が婚外生殖を行うと子孫の増加につながる可能性が大きくなる、など、人間社会でも通用しそうな観点が提供されています。もっとも、「人間サマ」ほど高度に発達してしまうと、そこまで「本能的」な進化生物学的観点から行動しているわけではないと私は考えますので、不倫を正当化しようとは思いません。その点から、第8章最終章の人間の本能の章は面白く読めました。

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最後に、M.W. クレイヴン『ストーンサークルの殺人』(ハヤカワ・ミステリ文庫) です。著者は、英国のミステリ作家であり、本書は著者の第3作目にして、ワシントン・ポーを主人公とするシリーズ第1作であり、2019年の英国推理作家協会最優秀長編章(ゴールド・ダガー)受賞作品です。英語の原題は The Puppet Show であり、2018年の出版です。邦訳タイトルの通り、ストーン・サークルで連続殺人があり、その中に死体にワシントン・ポーの名を刻んだものが含まれていたことから、休職中のポー刑事が捜査に駆り出されます。ワシントン・ポーは国家犯罪対策庁(NCA)の重大犯罪対策課(SCAS)に所属する刑事であり、情報の漏洩に関してミスがあって停職中でした。ポーの捜査は、天才分析官のティリー・ブラッドショーとペアを組んで始められ、当然ながら、真犯人を突き止めるのですが、その昔の児童保護施設におけるおぞましい人身売買などの過去につながって、全容が解き明かされます。それほど読後感はいいわけではありませんし、特に、謎解きに感心するわけではありませんが、推理小説としてはとても上質なものを感じられると思います。文庫本で600ページ近い大作ですので、細かい点までよく留意された秀作です。

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2021年9月24日 (金)

最終回に追いついて勝ちに等しい引き分けを拾う!!!

  RHE
阪  神201020001 670
読  売005100000 6130

ジャイアンツと引き分けでした。最終回に絶不調だったサンズ選手の同点ツーベースで追いつきましたから、ほぼほぼ勝ちに等しい引き分けです。まあ、昨日の負けに近い引き分けと合わせてトントンかもしれません。この東京ドームの3連戦は1勝1敗1引き分け、というラインが見えてきた気がします。
今夜は打線こそ活発に得点を上げましたが、西投手がサッパリです。ハッキリいって、藤浪投手より悪いくらいなのですから、そろそろ、ローテーションも考え時ではないでしょうか。打線が得点を上げたとはいえ、マルテ選手だけが打っている印象で、4番に戻った大山選手はイマイチですし、佐藤輝選手はサッパリといえます。

明日は、
がんばれタイガース!

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前年比横ばいを記録した消費者物価指数(CPI)上昇率はこのまま上昇に転じるか?

本日、総務省統計局から8月の消費者物価指数 (CPI) が公表されています。CPIのうち生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPI上昇率は、季節調整していない原系列の統計で見て、前年から横ばいを記録しています。また、生鮮食品とエネルギーを除く総合で定義されるコアコアCPI上昇率は▲0.5%と下落しています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

消費者物価、8月は横ばい 13カ月ぶり下げ止まり
総務省が24日発表した8月の消費者物価指数(CPI、2020年=100)によると、変動の大きい生鮮食品を除く総合指数は99.8と前年同月に比べて横ばいだった。前月まで12カ月連続でマイナスだったが、下げ止まった。携帯電話の通信料が下がったが、前年の観光需要喚起策「Go To トラベル」の反動で宿泊料が上昇した。
特殊な政策要因を除いた物価の上昇基調は弱く、デフレからの本格脱却は見通せない。
品目別にみると宿泊料は46.6%上がった。20年7月下旬にGo To トラベルが始まり、同8月以降、本格的に利用された。現在は一時停止しているため消費者の負担が増え、21年8月は反動で上昇した。巣ごもり需要によりルームエアコンも10.6%上がった。
エネルギー全体では5.5%上昇した。灯油は20.0%、ガソリンは16.9%上がった。電気代は0.9%上昇し、1年11カ月ぶりにプラスとなった。
携帯大手の格安プラン販売などにより、携帯電話の通信料は44.8%低下した。天候不良で20年は供給が不足し価格が上がっていた生鮮野菜も、その反動で21年8月は18.0%下がった。
総務省は7月発表分の指数から算出基準を5年ぶりに改定した。5月、6月分の速報値ではプラスと公表したが、新たな基準を遡って適用した結果、7月まで12カ月連続マイナスとなっていた。

いつものように、よく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、消費者物価(CPI)上昇率のグラフは下の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIと生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPI、それぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフはコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。寄与度はエネルギーと生鮮食品とサービスとコア財の4分割です。加えて、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1ケタの指数を基に私の方で算出しています。丸めずに有効数字桁数の大きい指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。統計局の公表数値を入手したい向きには、総務省統計局のサイトから引用することをオススメします。

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まず、引用した記事にもあるように、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは横ばいの予想でしたので、ジャストミートしています。国際商品市況における石油価格の上昇に伴って、ガソリン・灯油などのエネルギー価格が前年同月比で+5.5%の上昇を見せて、ヘッドライン上昇率に対して+0.39%の寄与を示した一方で、政策要因に近い通信料(携帯電話)が大きなマイナス寄与を示しており、前年同月比▲44.8%の下落で、▲1.23%の寄与となっています。コアCPIの前年同月比は横ばいながら、ヘッドラインは▲0.4%の下落ですので、政府からの強い圧力で値下げを余儀なくされた携帯電話通信料がヘッドラインCPIを引き下げているわけですもちろん、家計からすれば携帯電話通信料の引き下げは好ましいのかもしれませんが、マクロ経済のデフレ脱却の観点から見れば、インフレ目標に向けた日銀金融政策の足を引っ張っている可能性はあります。
いずれにせよ、2020年=100への基準改定で、コアCPI上昇率は一時的にマイナスとなったものの、早くも8月統計では横ばいとなり、先行きの物価動向を考えると、国内外の景気回復とともに緩やかな上昇に転じていくものと私は考えています。例えば、日銀から公表されている企業物価指数の国内物価も、最近時点では+5%超の前年同月比上昇率を示しています。物価は上昇基調にあると考えるべきです。もっとも、もうひとつの政策要因として、引用した記事にもやや違う形で言及されている「Go To トラベル」が、今後、またしてもデフレ脱却の障害になる可能性は指摘しておかねばなりません。

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2021年9月23日 (木)

大学院の修了式に出席する!!!

今日は、世間一般には祝日のお休みなのですが、私は朝から大学院の学位授与式と修了式に出席してきました。
私自身は大学院教育は受けていませんし、通常の学卒の学士しか学位は持ち合わせず、修士や、ましてや、博士の学位などは持っているわけではなく、そのために、同僚教員から嫌味をいわれて、気分が落ち込む思いをしたりするわけですが、なぜか、修士論文指導をしていたりします。しかも、途上国や新興国から来日している外国人院生に対して英語で授業をしていたりするわけです。
今日の式典では、伝統的に、出席した教員すべてが祝辞を述べることとなっており、いつも後ろに座るくせがある私は最後になってしまい、ほぼほぼお話するトピックが尽くされて、適当な話題を取り上げておきました。すなわち、経済格差のトピックです。卒業した院生諸君は帰国して格差社会の中で、トップクラスの地位について所得も多くなるのだろうが、自分1人の能力で達成できたと考えてはいけない、少し前に読んだ山形浩生『経済の「トリセツ」』から勝手に引用して、Googleの極めて高賃金なプログラマの中にはスタバのコーヒーがないと生産性が上がらないという人もいたりする、日本ではスタバのバリスタは非正規雇用の低賃金かもしれないが、高生産性のGoogleプログラマはこういった人達に支えられているわけで、もちろん、Googleのオフィスを清潔に保っているのはエッセンシャル・ワーカーである、といった趣旨です。まあ、人生の絶頂期のひとつにある卒業生の耳にどこまで届いたかは不明です。
下の記念写真は、指導した院生をはさんで、右が私で主任指導教員、左が副主任教員となっています。

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2021年9月22日 (水)

中日に惜敗して首位をヤクルトに明け渡す!!!

  RHE
阪  神000000010 180
中  日10000100x 280

中日に惜敗して首位陥落でした。
打線がまったくふるいません。竜虎同盟の精神に則って、中日は無失点の先発松葉投手を6回限りで降板させたのですが、終盤8回の1得点に終わりました。マイナスのゲーム差で勝率に基づいてヤクルトに首位を明け渡しました。明日は佐藤輝選手が1軍復帰だそうですから、打線の起爆剤となってくれることを願っています。

明日は、
がんばれタイガース!

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2021年9月21日 (火)

引き締まった投手戦で粘る中日を土壇場で突き放す!!!

  RHE
阪  神002000001 361
中  日000002000 270

見ごたえある投手戦でしたが、土壇場で突き放して中日に勝利でした。序盤の3回に先制し、中盤の6回に秋山投手をつないだリリーフ陣が打たれて追いつかれましたが、木浪選手の決勝犠牲フライで逃げ切りました。それにしても、外国人選手3人でノーヒットですから、ファームで調整中の佐藤輝選手やスタメン落ちの大山選手などとともに、打撃陣は重症かもしれません。ここは投手陣の踏ん張りどころです。

明日も、
がんばれタイガース!

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2021年9月20日 (月)

関西と首都圏の違い - その1 服装編

昨年、京都に引越して1年半ほど経過しました。ヒマにあかせて、関西と首都圏の違いを考えてみたいと思います。特に、服装編です。ただし、コロナのまだない東京のサラリーマンから、コロナのパンデミックが続く関西圏の教員/研究者になりましたので、単純な皮革は困難なのですが、感じている点は2点あります。
第1に、サングラスに関する見方が関西圏ではかなり遅れています。「遅れている」という表現は反発する人もいるかも知れませんが、私の実感です。というのも、東京でも30~35年まえは、やっぱり、サングラスに対する偏見というものはあって、真面目な公務員とか教員はサングラスはしないものだと考えている人が少なくありませんでした。役所で働き始めて、私は特段何の考えもなく、眩しいからサングラスをするという単純な態度でしたし、特に、テニスをする時はサングラスが欠かせませんでした。後に、ゴルフも同様です。役所への出勤時にサングラスをしていると、ハッキリとそういった旨の注意を受けた場合もあります。まあ、私がまだ若かったせいもあります。60歳を過ぎて関西圏に引越して、ほぼほぼサングラスは見かけません。私がサングラスをしていると偏見丸出しの見方をする同僚教員もいます。これは東京では見かけません。おそらく、30~40年前の東京と同じなんではないかという気がします。少なくとも今でも、自転車に乗る時は私にはサングラスは必要不可欠です。しかも、オリンピックのソフトボールを観戦していると、夜間の試合でクリアグラスのサングラスをしている選手が少なくなかったことから、私も急遽買い求めました。でも、まだ、夜の自転車に乗ったことはありません。
第2に、高齢者が、高齢者しか着ない服装をしている場合がままあります。私は今日くらいの30度に達するかどうかくらいの気温だと、長袖のネルシャツにブルーではないもののジーンズ、という組み合わせにしました。足元はクロックスのサンダルです。おそらく、中高生から大学生はもちろん、20代から60代まで幅広い年代の男性が着られる服装だと思います。女性でもおかしくないでしょう。でも、京都の身近で観察される高齢者を見ていると、特に少し前のワクチン接種会場なんかでは、デザインはさすがに一般的としても、時折、なんですが、色使いとか、全体の雰囲気とかで、絶対に中高生や大学生は着ないだろう、高齢者しか着ないんではないかと思われる服装をしている人がいます。もちろん、高齢者全員ではありませんし、多数ですらありません。でも、時折います。どこで売っているのかも私には不思議です。足元も雪駄を履いている高齢者がいたりします。私も東京で浴衣を着る機会がなくもなかったんですが、足元は下駄であって、雪駄はとてもめずらしい履物でした。ひょっとしたら、年齢で服装に断層があるのかもしれません。

次はいつになるか判りませんが、その2は電車編を予定しています。空いた電車に乗っているにもかかわらず、足を組んでいる人がとても少ない印象を持っています。その他です。

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2021年9月19日 (日)

ジャイアンツにボロ負けしてセ・リーグはますます混戦模様!!!

  RHE
読  売070000100 8130
阪  神100000000 161

先発ガンケル投手があえなく轟沈して、ジャイアンツにボロ負けでした。セ・リーグはますます混戦模様です。
9月も中旬を過ぎようとしていて、例年の「9月の失速」がないだけまだマシな気もしますが、それでも、先発投手陣が序盤に大崩れする試合が目立ちます。もともと打力がないだけに、序盤で大差がつけばそのまま敗戦となる確率が高いわけですから、試合がまばらになるこの時期は先発投手の選択に監督采配の妙を見せて欲しいところです。

次の中日戦は、
がんばれタイガース!

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いいお天気で自転車を街乗りして東寺と伏見稲荷に行く!!!

昨日の台風14号も東に抜けて今日はいいお天気になり、久しぶりに朝から自転車を街乗りして東寺と伏見稲荷の写真を撮ってきました。東寺の五重塔も伏見稲荷の鳥居と参道も、どちらも前を通って写真を撮ってきただけです。東寺の五重塔は九条大宮の交差点から撮りましたので、かなり巨大です。また、伏見稲荷なんて学生時代から40年ほどお参りしたことがないように記憶しています。

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9月1日にも書きましたが、街乗りで私が最大限重視しているのは「カッコをつける」ことです。有り体にいえば、街乗りではカッコよく自転車に乗ることがもっとも重要です。ですから、自転車競技とはまったく違っていて、ハード面では、早く走るという機能よりも、私は自転車の見た目を重視して選んでいます。服装にしてはもっとで、自転車競技のサイクリング・ジャージは私の目にはカッコいいとはとても見えません。ヘルメットも独自の観点から選んでいます。カバンも実用性を無視して、斜めがけのメッセンジャーバッグですから、長く自転車に乗っていると左側に落ちてきます。ソフト面では、スポーツバイク、少なくとも、ロードバイクが歩道を走るのはどうかという気がします。歩道を走りたい、というか、走らざるを得ないのであれば、スポーツバイクではない選択肢もあるんではなかろうか、と思います。私はロードバイクではなくてクロスバイクですが、自動車が渋滞している左側をすり抜けるのがはばかられる時に歩道をゆっくりと走るような例外的な場合のほかは、基本的に車道を走っています。でも、京都では、3台に1台くらいはロードバイクが歩道を走っています。また、必ずしも、カッコをつけるという意味ではなく、眼球の保護も含めてサングラスは必ず使います。今日は、オークリーに似せたまがい物の色の濃いサングラスだったのですが、大宮通りを南下してJR線の下をくぐる際に、やや色が濃すぎて一瞬視界が暗くなってしまいました。今後、気をつけたいと思います。関西に戻って東京都の違いを感じたことのひとつに、サングラスに対する見方の差があります。また、日を改めて、関西、京都と東京の違いについて感じたままに取り上げたおと思います。

今日はお天気もよくて、なかなかに充実した1日でした。これで、阪神が巨人に勝てばいうことはない気がします。果たして、今夜の野球の結果やいかに?

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2021年9月18日 (土)

高橋遥人投手が7回2安打無失点のナイスピッチングで今季初勝利おめでとう!!!

  RHE
中  日000000000 040
阪  神00000100x 160

高橋遥人投手が7回2安打無失点のナイスピッチングで、今季初勝利でした。おめでとうございます。
しかし、打線も中日大野投手に抑え込まれて、6安打1得点でした。終盤の8回と9回は岩崎投手~スアレス投手のリレーで、いつものように「盤石」とはいえず、ややヒヤヒヤしながらも中日打線をゼロに抑え切って、何とか逃げ切りました。サウスポーの大野投手に対して、1番から3番まで左打者を並べたとはいえ、その1-3番で得点したのですから、采配の妙かもしれませんが、それにしても、今後の打線の奮起を期待します。

明日からのジャイアンツ戦は、
がんばれタイガース!

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今週の読書はいろいろ読んで計6冊!!!

今週の読書は、昨日ポストした森達也[編著]『定点観測 新型コロナウイルスと私たちの社会 2021年前半』(論創社)も含めて、経済書が2冊、小説が1冊、新書が3冊の計6冊ですが、昨日1冊取り上げていますので、恒例の土曜日の読書感想文で本日紹介するのは以下の5冊となります。そして、いつもお示ししている本年の読書の進行ですが、このブログで取り上げた新刊書だけで、1~3月期に56冊、4~6月も同じく56冊、昨日と今日に取り上げた5冊を含めて7~9月で59冊、これらを合計して171冊になりました。今年2021年の新刊書読書はほぼほぼ確実に200冊を超えるものと予想しています。なお、来週の読書は、経済書を差し置いて、東野圭吾『透明な螺旋』、ガリレオ・シリーズの最新巻をすでに購入してありますので楽しみです。

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まず、山形浩生『経済のトリセツ』(亜紀書房) です。著者は、クルーグマン教授らの著作の邦訳者として有名なんですが、他方で、本書の冒頭にもあるように、途上国や新興国の経済開発のコンサルタントでもあり、というか、ソチラが本業となっています。本書はご本人のブログ、その名も「山形浩生の『経済のトリセツ』」やその他のメディアで明らかにされてきた小論を取りまとめています。そして、エコノミストとして、というか、経済学の観点からは、本書の著者はクルーグマン教授の影響もあって、完全にリフレ派ですし、財政政策についても反緊縮の考えを展開しています。もっとも、最近のバズワードである「反緊縮」という言葉は使っていなかったように記憶しています。特に、成長と格差については秀逸な指摘があります。私は日本はまだまだ経済大国である必要があると授業などで力説するのですが、そのココロは伝統的に米国がラテンアメリカの地域利益を代表し、時に、欧州がアフリカの利益を代弁するのに対して、我が日本はアジア、特に東南アジアのまだ外交力が十分でない国に代わって国際舞台で外交力を発揮する必要があるからです。余計なお世話かもしれませんが、中国が東南アジアの利益を代弁するどころか、東南アジアに対して海洋進出をしているような現況では、まだまだ、日本が成長をストップさせて国際舞台の後景に退くべきではないと考えています。まあ、大国主義というか、覇権主義的な趣きがあるような気がするのは否定しませんが、そうだったとしても、たとえそうだったとしても、少なくとも軍事力や何やではなく、経済規模が日本のもっとも大きな外交力のバックグラウンドとなっている点は忘れるべきではありません。その点は本書でも視点を共有しているような気がします。加えて、格差についても、Googleの生産性高くてお給料も高いSEでも、自分1人で生産性を高めているわけではないと本書でも主張されています。スタバのコーヒーが生産性の基だったりしますし、時には、ジョークながら、メイド喫茶で気分転換を図るのも高生産性を支えているかもしれません。いうまでもなく、清潔で快適なオフィス環境は、おそらく低賃金なエッセンシャルワーカーが支えています。こういったスピルオーバーの大きな、というか、それだけではないにしても、生産性高くてお給料も高い人は、低賃金労働者によって支えられているわけであり、現在のような格差は私にも容認できません。その点でも秀逸な「雑文集」だという気がします。

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次に、ジョン・コナリー『キャクストン私設図書館』(東京創元社) です。著者は、アイルランド出身のホラー/ファンタジー小説家で、邦訳作品はかなり少ないのではないかと思います。本書の英語の原題 Night Music: Nocturnes Volume 2 はであり、2015年の出版です。英語のタイトルに"2"がついていますが、この前作の『失われたものたちの本』除くへ、というか、スピンオフ作品のようです。前作は私も読んでいて、ホラー、というか、冒険譚の色彩の強いファンタジーであるのに対して、本書はホラーの要素はそれほど強くない短編集です。特に本書のタイトルとなっている短編「キャクストン私設図書館」はフィクションである小説の登場人物が実在する図書館、あるいは、アーカイブという設定です。図書館に、アンナ・カレーニナ、オリヴァー・ツイスト、ハムレットなどが暮らしているわけです。もちろん、タイトル通りに、本にまつわるトピックが満載であり、私のような読書好き、本好き、物語好きにはとても心地よい仕上がりになっています。日本の古い物語ですが、「うらしまたろう」なんて、玉手箱を開けておじいさんになった後、どうなるのだろうか、と小さいころに気にかかった記憶がありますが、「うらしまたろう」に限らず、完璧に物語が終わることはあり得ないわけで、物語や小説の「その先」というのは常に気にかかるところです。最後に置かれた短編の「ホームズの活躍: キャクストン私設図書館での出来事」は、とても不可思議なできごとのひとつとして紹介されていて、名探偵シャーロック・ホームズを中心にした作品です。もちろん、相棒のワトソンも出てきて、ホームズとワトスンが実体化したがゆえに、図書館がピンチに陥る、というストーリーです。その間に置かれた「裂かれた地図書 - 五つの断片」はややホラー色を持っていて、それ故に、ブラム・ストーカー賞も受賞しているそうです。繰り返しになりますが、本や小説に関わる物語が多く収録されていて、それでも、決してありえないようなファンタジーないし怪奇小説の趣あるものもあり、日本の日常を離れて非日常の世界に遊ぶことの出来る短編集です。やや、とりとめなく収録されているのは気にかかりますが、短編集としてオススメです。

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次に、井上文則『シルクロードとローマ帝国の興亡』(文春新書) です。著者は、早大の歴史研究者です。紀元前後のローマ帝国や中国の漢も含めて、シルクロードからその興亡や歴史的な変遷を説き起こしています。歴史研究者の中には、古くからの支配層の交代の歴史を重視する向きも少なくありませんが、本書は、ある意味でマルクス主義的な観点かもしれませんが、経済や公益を重視して、それが「上部構造」である文化や政治を決める、に近い視点を持って歴史を解説しています。すなわち、当時のシルクロードの両端は、繰り返しになりますが、ローマと漢であったわけですが、通常の歴史で注目されるこの両国が当時の先進国であったわけでも何でもなく、ペルシャのような西アジアこそが当時の先進地域であり、漢の中国は先進地域に輸出するものが絹と金銀しかなく、前者はシルクロードの語源となり、後者の貴金属の流出により漢が、というか、その後の中国が経済を衰退させて、いわゆる暗黒の中世の時代に入っていった、と指摘しています。他方、ローマについては、やはり、貴金属の流出もあったとはいえ、ササン朝ペルシャの勃興により、シルクロードの交易がもうからなくなり、国家としての関税収入も減少し、傭兵に支払う年金の原資が細ったことが「蛮族」の反乱を招いた、と主張しています。本書でも触れているように、ローマ帝国の滅亡はイスラム勢力によって商業が衰退して農業に頼らざるを得ないアウタルキー経済に陥った、すなわち、「マホメットなくしてシャルルマーニュなし」とするピレンヌ・テーゼが有名なのですが、私は本書の指摘はそのバリエーションの一つという受け止めている一方で、著者は異なる主張のように考えているようです。いずれにせよ、イスラム勢力の関与の程度に差はあるとはいえ、ローマ帝国の興亡が、漢と同じく、シルクロードに依存していることは興味ある主張だという気がします。

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次に、小塩海平『花粉症と人類』(岩波新書) です。著者は、医学ではなく能楽の研究者であり、専門は植物生理学だそうです。タイトルの並列されたうちの「人類」のサイドの専門家ではなく、「花粉」の方の専門家といえます。本書は岩波書店の月刊誌『世界』の連載を新書で出版しています。ということで、私自身は15年前の40代後半に花粉症を発症して、年々重篤化して現在ではほぼほぼ通年性の花粉症、すなわち、2月から4月までのスギとヒノキに限定せずに、他の多くの植物の花粉にアレルギーを持つに至っています。知り合いの医者によれば、年齢とともに免疫作用が低下して、同時に花粉症も軽症化するといいますが、花粉症の影響を逃れるのは95歳くらい、と聞き及んでおり、そこまで私は長生きする自信がありません。歴史を振り返ると、上の画像にもあるように、ネアンデルタール人は現生人類であるホモサピエンスではないのですが、すでに花粉症を患っていた可能性を本書では指摘しています。ただ、日本では、せいぜいが1980年代から花粉症が広く認識され始めたに過ぎないようですが、ギリシア・ローマの古典古代からそれらしき症状はあった、という歴史がひもとかれています。日本ではせいぜいさかのぼっても、1961年にブタクサ花粉症、1964年にスギ花粉症が報告されているに過ぎないと本書では指摘しています。そして、歴史的な観点からは、英国が全盛期を迎えたヴィクトリア朝のころには、むしろ、貴族のステータス・シンボルとみなされていたらしく、私もそのころに生きていれば今と違って尊敬を勝ち得たかもしれないと、ついつい、考えてしまいました。花粉症リゾートを楽しんでいたかもしれません。また、我が阪神タイガースの田淵選手の引退も花粉症が原因のひとつであった、と指摘しています。そうかもしれません。

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最後に、加藤久典『インドネシア』(ちくま新書) です。著者は、中央大学の研究者です。我が家は2000年から2003年まで、一家4人でジャカルタの海外生活を送っていたことがあり、いろんな意味で関係の深い国であろうと考えて読んでみました。ただ、上の表紙画像にも見られるように、副題が「世界最大のイスラームの国」となっていて、ほぼほぼイスラム教の観点からだけ取りまとめられていて、とてもがっかりさせられました。インドネシアという国は本書冒頭にもあるように、とても多様性に富んだ国なのですが、その多様性を少なくとも宗教に関してはまったく無視して、イスラム教からだけインドネシアを論じていて、私から見れば、とても残念です。そして、極めて単純化すれば、イスラム教発祥の地である中東のイスラム教は、神政主義国家もあったりして原理主義に近くて、まあ、何と申しましょうかで、ある意味で、先鋭的であるのに対して、インドネシアのイスラム教はマイルドで穏健である、という結論に終止しているような気がします。それはそうでいいのかもしれませんが、インドネシアを取り上げる際の着眼点として、イスラム教の一本足打法でいいのかどうか、私には疑問です。気候や国民性、産業や日本との関係、などなど、宗教以外にも、あるいは、宗教でもイスラム教以外にも、いろんな着眼点があるにもかかわらず、イスラム教一本槍の本書は誠に残念極まりありません。

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2021年9月17日 (金)

ご寄贈いただいた『定点観測 新型コロナウイルスと私たちの社会 2021年前半』(論創社)を読む!!!

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『定点観測 新型コロナウイルスと私たちの社会 2021年前半』(論創社) をご寄贈いただきました。何人かの執筆陣の中に同僚教員が入っていて、その方からのご寄贈です。もっとも、「定点観測」と銘打っていて、その第3弾なのですが、不勉強にして第1弾と第2弾を読んでいないものですから、中途半端な理解で終わっているような気もします。ただ、経済については、第1段と第2弾についても簡単に振り返り、というか、おさらいがありましたので、その分、やたらとページ数が長くなっているきらいはあるものの、その経済編について中心に感想文を残しておきたいと思います。といいつつ、まずは、収録されている分野執筆陣については以下の通りです。

  • [医療]「変異株の蔓延とワクチン接種の遅れ」斎藤環
  • [貧困]「貧困の現場から見えてきたもの 3」雨宮処凛
  • [ジェンダー]「コロナ禍とジェンター 3」上野千鶴子
  • [メディア]「危機の時代のジャーナリズム」大治朋子
  • [労働]「コロナ禍の労働現場 3」今野晴貴
  • [文学・論壇]「コロナと五輪と戦争のアナロジー」斎藤美奈子
  • [ネット社会]「職場で一人の女性が死んだ」CDB
  • [日本社会]「コロナ禍中脱力ニュース(2021年前半)」辛酸なめ子
  • [日本社会「続々・アベノマスク論」武田砂鉄
  • [哲学]「コロナ禍と哲学 3」仲正昌樹
  • [教育]「子どもと学生の生きづらさ」前川喜平
  • [アメリカ]「新型コロナ日記 イン アメリカ 3」町山智浩
  • [経済]「まだまだ進むコロナショックドクトリン」松尾匡
  • [東アジア]「コロナ禍と東アジア(ポスト)冷戦 3」丸川哲史
  • [日本社会]「甘ったるくてポエジーで楽観的な未来への視点を修正する」森達也
  • [ヘイト・差別]「コロナ禍のヘイトを考える 2」安田浩一
  • [おまけ]「論創社のコロナ日記」谷川茂

ということで、タイトルの最後に「3」とあったり、「続々」がついているものは。まさに、第3段ということなのでしょうから、不勉強な私は不十分な理解で終わっていますが、前2弾のおさらいのある経済編は「コロナショックドクトリン」をひとつのテーマにしていて、まさに、ナオミ・クラインの『ショック・ドクトリン』を踏まえたタイトルになっています。このクライン女史のエッセイでは、ハリケーン「カトリーナ」の被害によるニュー・オーリンズの低所得者向け住宅や公立学校の一掃に関する取材から始まって、自然災害や政変など、経済学的には不連続と見なされる微分不可能点で政策が一変され、惨事に便乗して市場原理主義的な政策に変更される手法について論じていますが、これを新型コロナウィルス感染症(COVID-19)パンデミックに適用しているわけです。そして、零細企業淘汰の東京財団=アトキンソン路線を批判しつつ、大きな政府や反緊縮路線を目指す動きを紹介し、さらに、経済産業省が打ち出した「経済産業政策の新機軸 ~新たな産業政策への挑戦~」にも、批判的な観点を含めて言及しています。この経済産業省のリポートは、6月の産業構造審議会総会において公表されたものであり、明らかに「ガバメントリーチの拡張」を目指しています。リポートでは、中米欧の政策動向を同じラインにあるものと紹介したり、ロドリック教授やスティグリッツ教授などのアカデミアの議論も取り上げています。国内でも、例えば、ダイヤモンド・オンラインでも「コロナ禍の今、経済産業省が『大きな政府』に大転換した "切実な理由"」なんぞと、注目されたりもしています。
私は、半面で、産業政策的には、こういった保護主義的な産業政策や貿易政策、あるいは、食料安全保障も視野に入れた農業政策などが必要であり、そのために、大きな政府というか、財政拡大が求められており、同時に、需要を拡大させるような「高圧経済」を目指す政策、すなわち、需給ギャップを埋めるどころか、需給ギャップを需要超過に持っていくような政策が必要という点ではまったく同意します。ただ、残る半面では、格差についても目を向けて欲しい気がします。例えば、明日の読書感想文で取り上げる予定の山形浩生『経済のトリセツ』にもあるように、高所得層がすべてを自己能力や自助努力で高生産性を実現しているわけではなく、Googleに働く高所得者は、スタバの低賃金な非正規労働者が提供するコーヒーがなければ生産性が上がらない場合もあるわけですし、彼らの清潔なオフィス環境はエッセンシャルワーカーによって支えられている部分もあるわけです。そして、「自助、共助、公助」を掲げた政権は退陣するわけですし、公助を支えるのが大きな政府ではあっても、米国バイデン政権が企業や個人富裕層への増税を目指し、OECDで企業課税に関して base erosion and profit shifting (BEPS) の議論も活発になっていますので、反緊縮の財政支出拡大の一方で、歳入面を通じた分配にも目が届く政策の必要性がもっと認識されるべきであると考えています。

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2021年9月16日 (木)

大きな赤字を記録した8月貿易統計の先行きを考える!!!

本日、財務省から8月の貿易統計が公表されています。統計のヘッドラインは、季節調整していない原系列で見て、輸出額が前年同月比+26.2%増の6兆6057億円、輸入額も+44.7%増の7兆2411億円、差引き貿易収支は+▲6353億円の赤字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから統計について報じた記事を引用すると以下の通りです。

8月の貿易収支、3カ月ぶり赤字 輸出は26.2%増
財務省が16日発表した8月の貿易統計速報によると、輸出から輸入を差し引いた貿易収支は6353億円の赤字だった。貿易赤字は3カ月ぶり。米国やアジア向け輸出が堅調だった一方、原油高で輸入額が急増した。
輸出額は前年同月比26.2%増の6兆6057億円だった。鉄鋼や半導体などの製造装置、自動車部品などが伸びた。輸出は6カ月連続の増加となった。新型コロナウイルスの感染が広がる前の19年8月と比べても7.6%多かった。
輸入は44.7%増の7兆2411億円だった。原油の輸入額が2倍超になった影響が大きい。数量ベースでは約2割の増加だった。コロナワクチンの輸入拡大で医薬品は75.9%増えた。
地域別にみると米国への輸出が1兆1505億円と22.8%伸びた。船舶用エンジンなどの原動機や自動車部品が増えた半面、自動車は12.4%の減少に転じた。半導体不足のほか、東南アジアでのコロナ感染拡大で自動車各社が減産を強いられている影響が出た可能性がある。
欧州連合(EU)向けは29.9%増の6187億円、中国向けは12.6%増の1兆4210億円だった。アジア向けは鉄鋼や半導体などの製造装置が大きく伸びて、26.1%増の3兆8825億円だった。

いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスで貿易収支は約▲500億円の赤字で、レンジの下限が▲3111億円の赤字でしたので、この下限を下回る大きな貿易赤字でした。季節調整済みの系列はもちろん、季節調整していない原系列のデータでも、輸出入ともに増加のトレンドにあり、それほど大きな悲観材料とはならないように私は受け止めています。特に、輸入についてはワクチン輸入という特殊要因もあるとはいえ、石油価格の前年からの上昇が我が国輸入額の増加に寄与している印象です。なお、ワクチンを含む医薬品の輸入額は季節調整していない原系列の前年同月比で+75.9%増を記録しています。いずれにせよ、主として欧米の景気回復に従って我が国の輸出は今後とも増加基調を続けるものと私は予想しています。ただし、中国は別としても、特に東南アジアで新型コロナウィルス感染症(COVID-19)のデルタ株による感染拡大が深刻となってきている点については注意が必要です。そして、この東南アジアにおけるCOVID-19感染拡大とも関連して、半導体の供給制約から自動車生産が停滞しており、この先の輸出に一定の影響を及ぼす可能性が大きくなっています。8月統計では、季節調整していない原系列の統計で見て、自動車は数量ベースで前年同月比▲1.1%減、金額ベースで+4.0%増となっており、昨年2020年がCOVID-19の影響でかなり落ち込んでいた点を考慮すると、かなり停滞している印象を私は持っています。例えば、一般機械+31.8%増や電気機械+17.1%増と比べて、我が国のリーディング・インダストリーであり、競争力も十分な自動車が+4.0%増というのは、いかにも伸び率が小幅な気がします。この自動車の動向に加えて、先進各国におけるデルタ株の感染拡大とともに、我が国の輸出への影響は無視できないと考えられますが、このあたりは、COVID-19の経済的影響が今一度大きくなっていて、私のようなエコノミストの守備範囲を超えているような気がします。

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2021年9月15日 (水)

ヤクルト小川投手に抑え込まれて完封負け!!!

  RHE
阪  神000000000 061
ヤクルト10000000x 170

ヤクルト小川投手に抑え込まれて完封負けでした。
6回、8回と2度に渡って満塁の好機にサンズ選手が凡退して、ホームが遠かったです。今後の奮起を期待します。

甲子園に戻っての中日戦は、
がんばれタイガース!

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横ばいないしややプラスが続く機械受注の先行きをどう見るか?

本日、内閣府から7月の機械受注が公表されています。統計のヘッドラインとなる変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注が、季節調整済みの系列で見て前月比+0.9%増の8597億円を示しています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じた記事を引用すると以下の通りです。

7月の機械受注0.9%増 半導体関連が好調
内閣府が15日発表した7月の機械受注統計によると、設備投資の先行指標となる「船舶・電力を除く民需」(季節調整済み)は前月比0.9%増の8597億円となり、2カ月ぶりのプラスだった。半導体関連の需要などが増えた製造業で設備投資への意欲が底堅く、全体をけん引した。
製造業は6.7%増の4311億円で、4カ月連続の増加となった。半導体製造装置の需要が拡大している電気機械が33.5%増、自動車製造装置に使われるコンピューター機器やシステム関連部品などの引き合いが増えた自動車・同付属品が11.0%増と好調だった。
一方、非製造業は9.5%減の4259億円と3カ月ぶりにマイナスとなった。建設業や卸売業・小売業、運輸業・郵便業などが前月の反動で落ち込んだ。
内閣府は基調判断を「持ち直しの動きがみられる」に据え置いた。足元ではアジアでの新型コロナウイルスの感染拡大で自動車部品などのサプライチェーンの停滞が懸念されている。内閣府の担当者は「自動車関連の設備投資の動きは弱くないが、先行きではリスクに気をつけなければならない」と警戒感を示した。

いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、機械受注のグラフは下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影を付けた部分は景気後退期なんですが、このブログのローカルルールにより勝手に直近の2020年5月を景気の谷として暫定的に同定しています。

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引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスによれば、船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注で見て、前月比で+3.1%増でしたので、実績はやや下振れた印象がありますが、レンジの下限はマイナスでしたので、大きなサプライズはありませんでした。特に2か月前の5月+7.8%増の後で6月▲1.5%減とリバウンド小さく、直近で利用可能な7月も+0.9%増ですから、まあ、何と申しましょうかで、横ばいないしややプラス、といったところでしょう。上のグラフのうちの上のパネルの移動平均の太線から見ても、横ばいないしややプラスと思います。ただし、業種別のばらつきがあって、国内需要に依存する割合の大きな非製造業が前月比で▲9.5%となった一方で、輸出に牽引される割合の高い製造業は+6.7%増を記録しています。加えて、上のグラフのうちの下のパネルで見ても外需の伸びが大きくなっています。もちろん、海外景気の牽引されての動きですが、機械受注統計の場合、外需が先行指標となりますので、外需の伸びに伴って少し遅れて機械受注全体が伸びる方向にある可能性も十分あります。目先の懸念は半導体の供給制約による自動車生産の停滞の影響なのですが、その供給制約の原因を作っている「半導体製造装置」と「電子計算機」の合計である「電子計算機等」は、季節調整済みの系列は入手できませんでしたが、ここ2-3か月で季節調整していない原系列の受注額の伸びがかなり大きくなっています。すなわち、5月31.2%増、6月22.6%増、そして、直近の7月73.5%増となっています。自動車の動向は気にかかりますが、もう少し長い目で見るとペンとアップの挽回生産も含めて、増加に寄与する可能性が十分あると私は考えています。

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2021年9月14日 (火)

ヤクルトに土壇場で追いついて首位の貫禄を見せつける!!!

  RHE
阪  神000000103 490
ヤクルト010101010 490

土壇場9回にマルテ選手のスリーランで追いついてヤクルトと引き分けでした。首位の貫禄を見せつけた形になりました。しかしながら、序盤中盤に何度か満塁のチャンスがありながら、5番大山選手がことごとく三振や凡打に終わっています。今後の奮起を期待します。

明日はスッキリ勝つべく、
がんばれタイガース!

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今日は私の誕生日!!!

今日は、私の誕生日です。
なお、先月8月29日は下の倅の誕生日でした。すっかり忘れていました。痛恨の極みです。
60歳の還暦をとっくに超えて、でも、ワクチン接種などで優遇される65歳には達しないという中途半端な年齢帯が続いています。2年半後にはもう一度定年を迎えます。私の勤務する大学では定年後5年間、すなわち、70歳になるまで特任教授という形での継続雇用ができるのですが、私自身は出来るだけ早く引退したいと願っています。もっとも、カミさんはもっと働かせたいと願っているかもしれません。
くす玉のフラッシュ動画のサポートが終了しましたので、ポケモン画像で代替しておきます。

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The death of behavioral economics by Jason Hreha について考える!!!

Jason Hreha という人が The death of behavioral economics と題して、メモを書いてポストしています。一部のエコノミストの間で話題になっています。以下のサイトです。

どういう人かというと、Co-founder of the Walmart Behavioral Science Team や Global Head of Behavioral Sciences at Walmart などのウォルマートの行動科学の研究所や Lead researcher in the Stanford Persuasive Technology Lab の関係者らしいです。私は専門外なので、よく判りません。
私がザッと読んだ印象では、(1) 再現性がなく、(2) ナッジなどの影響力は極めて小さい、という2点が批判の中心になっているように受け止めました。まあ、そもそもが、捏造データに基づくアリエリー教授の研究の発覚に対する批判の一環である可能性はあります。私自身の行動経済学に対する批判は、すでに8月20日の記事で明らかにしていますが、繰り返すと、(1) 学問的な究明よりも、実際の営業担当者のマーケティングの方が経験的に確かであり、実務家の方がデータを持っている、(2) ソーシャル・エンジニアリングなどで設定された目的が社会的に正しいかどうかの検証が不可能、防衛研究が典型ですが、研究費補助次第でどんな目的も正当化されかねない、(3) データがどこまで正確か検証できない、ということになります。私の(3)が「再現性ない」に近いと考えています。もちろん、私にはナッジなどの影響力の大きさは判っていませんでしたので、それはそれで新たな視点かもしれません。
加えて、行動経済学に限定される批判ではありませんが、独自データを取得して進められる研究については、データの検証や再現性について、かなり、幅広く当てはまりかねない批判だという気がします。すなわち、少し前の「小保方問題」なわけです。もっとも、経済学では政府統計などの幅広く検証されたデータが利用可能な一方で、いわゆる理系の自然科学分野では実験データに頼らざるを得ない部分があるのも事実です。そういった分野では、データのチェックはかなり難しい面があるといえます。経済学の場合、独自データを利用するのであれば、例えば、それをどこかにポストして、広く研究者が使えるようにするという手段も考えられます。実際に、東大社研にはデータアーカイブ研究センターが設置され、研究だけでなく、教育目的でも利用可能なデータが大量にポストされています。例えば、結局ヤメにしましたが、私は大学院の授業でマクロミルの Macromill Weekly Index を消費データ分析で利用しようかと真剣に考えたことがあります。こういったアーカイブにデータをポストし、幅広く利用できるようになれば、ピアチェックによってデータの検証や再現性にも有益な気がします。
行動経済学かつ独自データということになれば、捏造データに基づくアリエリー教授の研究までいかなくても、タップリと研究資金さえ得られればどんな研究も可能になる恐ろしい可能性も指摘しておかねばなりません。典型的な例では、6月26日付けの読書感想文で取り上げた瓜生原葉子『行動科学でよりよい社会を作る』です。臓器移植への意識改革と称して、医薬業界から多額の寄付や研究費をせしめれば、まさに、「行動経済学的な」調査票の設定により、かなりの恣意的な結果が得られる可能性が排除できない、と私は恐れています。加えて、独自データに基づく世界にひとつしかない研究成果であれば、ジャーナルの査読に通る可能性も十分あります。そうすると、政治の世界でカネが投票を左右して政権に近づけるのと同じように、学会でもカネで研究成果が買えることになりかねません。防衛研究で特に注意が必要そうな気がするのは私だけでしょうか?

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2021年9月13日 (月)

+5%超の上昇を続ける企業物価(PPI)の国内物価の先行きやいかん?

本日、日銀から8月の企業物価 (PPI) が公表されています。ヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は+5.6%を記録しています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を手短に引用すると以下の通りです。

8月の企業物価指数、前年比5.5%上昇 前月比横ばい
日銀が13日発表した8月の国内企業物価指数(2015年平均=100)は105.8で前年同月比で5.5%上昇、前月比で横ばいだった。市場予想の中心は前年比5.6%上昇だった。
円ベースで輸出物価は前年比10.9%上昇、前月比で0.2%下落した。輸入物価は前年比29.2%上昇、前月比で1.8%上昇した。

とてもコンパクトに取りまとめられています。続いて、企業物価(PPI)上昇率のグラフは下の通りです。上のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率を、下は需要段階別の上昇率を、それぞれプロットしています。また、影を付けた部分は景気後退期であり、2020年5月を直近の景気の谷として暫定的にこのブログのローカルルールで同定しています。

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このところ、順調に足元で物価が下げ止まりつつあると私は評価しています。引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスではPPIのヘッドラインとなる国内物価の前年同月比で+5.6%の上昇と予想されていましたからほぼジャストミートした印象です。国際商品市況における石油をはじめとする資源価格の上昇に起因するとはいえ、このところ、順調に物価上昇率が拡大していると私は受け止めています。もっとも、この動きが一巡すれば上昇率で計測した物価も元に戻ることは覚悟せねばなりません。ということで、国内物価について品目別で前年同月比を少し詳しく見ると、木材・木製品が+40.4%、石油・石炭製品が+31.5%、非鉄金属が+28.0%、鉄鋼+13.1%、化学製品+12.2%などが2ケタ上昇となっています。ただし、鉄鋼と化学製品を除く類別については、直近で利用可能な8月統計の上昇率は前月7月統計を下回っており、前年同月比上昇率で見ればピークアウトしつつある印象を私は持っています。この点については、季節調整していない原系列の統計ながら、前月比が横ばいだったことから明らかであろうと思います。基本的に、国際商品市況における石油ほかの1次産品価格の上昇とともに、中国をはじめとする新興国における景気回復に伴って、基礎的な資源価格の上昇が背景にあると考えるべきです。

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また、本日、財務省から7~9月期の法人企業景気予測調査が公表されています。統計のヘッドラインとなる大企業全産業の景況判断指数(BSI)は足元7~9月期で+3.3、続く10~12月期で+6.8でした。いつものグラフだけ、上の通りです。さて、10月1日に公表される予定の9月調査の日銀短観やいかに?

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2021年9月12日 (日)

やっぱり先発投手が序盤から打ち込まれて横浜に大敗!!!

  RHE
阪  神100000000 161
横  浜20200130x 890

先発ガンケル投手が序盤から崩れて横浜に大敗でした。広島では先発が踏ん張って連勝したのですが、ヤクルト戦に大敗したパターンに逆戻りです。7回からリリーフした馬場投手もフォアボールを連発した挙げ句にホームランを被弾するという最悪のピッチングでした。打線は、1回こそ今永投手を打って1点を先制したのですが、その後はサッパリでした。

明日は、
がんばれタイガース!

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2021年9月11日 (土)

秋山投手のナイスピッチングで広島に連勝!!!

  RHE
阪  神000003010 4130
広  島000000100 000

秋山投手のナイスピッチングで広島に連勝でした。糸井選手が300盗塁を達成しています。おめでとうございます。
昨日も書きましたが、ヤクルト打線にあれほど打ち込まれた投手陣が嘘のようです。終盤の鉄壁のリリーフ陣もピタリと決まりました。広島打線をわずかに3安打に抑え込み、4番の鈴木選手は3回しか打席に立たせませんでした。打線は相変わらず湿りがちながら13安打を放ち、3得点と効率悪いのはタイガースの伝統かもしれません。

明日は3タテ目指して、
がんばれタイガース!

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今週の読書は経済書中心に充実の計6冊!!!

今週の読書は、ここ2週間ほど続けて経済書がなかった反動なのか、超主流派の重厚な経済書をはじめとして、3冊の経済書を含めて、他に小説もあり計6冊です。最初に取り上げた野口先生の『反緊縮の経済学』は、私が読んだ中では文句なしに今年一番の経済書であり、もしも、今年もどこかの経済週刊誌から今年の経済書の評価を問われれば、本書を上げる可能性が十分あります。なお、いつもお示ししている本年の読書の進行ですが、このブログで取り上げた新刊書だけで、1~3月期に56冊、4~6月も同じく56冊、今日取り上げた6冊を含めて7~9月で53冊、これらを合計して164冊になりました。今年2021年の士官書読書はほぼほぼ確実に200冊を超えるものと予想しています。

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まず、野口旭『反緊縮の経済学』(東洋経済) です。著者は、私とほぼほぼ同年代のリフレ派のエコノミストであり、学界から現在は日銀審議委員に転じています。本書では、ケインズ経済学について議論を展開していて、初期の財政政策一本槍のケインズ経済学Ⅰから、金融政策をマクロ経済安定化の軸に据えたケインズ経済学Ⅱ、そして、財政政策と金融政策を統合した現時点での到達度であるケインズ経済学Ⅲまでを視野に入れつつ、現在の長期停滞論を解き明かそうと試みています。そして、その中で昨年『ニューズウィーク日本語版』で連載されていた記事を基に、とても適切に現在貨幣理論(MMT)にも触れられています。財政については、赤字タカ派(緊縮派)、赤字ハト派(反緊縮派)、赤字フクロウ派(MMT学派)とMMTに従った分類がなされていますが、同時に、謬論としての歴史的位置づけのもとで、真性手形主義や旧日銀理論などにも言及されています。非情にバランス良くマクロ経済学や経済政策について精緻な議論を展開しながらも、小難しい学術書で終止することなく、幅広く一般ビジネスパーソンにも理解しやすいように工夫されています。特に、私にとっては目新しいものではありませんでしたが、MMT学派には財市場の均衡という概念がなく、すなわち、ケインズ経済学におけるIS曲線というものが存在しない、といわれてしまうと、それだけで、とても判りやすい気がします。私もマネしようと思っていしまいました。ただ1点だけ、今年2021年2月27日付けの読書感想文で取り上げたエプシュタイン『MMTは何が間違いなのか?』(東洋経済)では、主流派エコノミストは、米国では民主党リベラルの均衡予算≅緊縮財政、物価安定、中央銀行の独立などのいわゆる新古典派経済学と見なしていて、むしろ、増税回避の観点から共和党は緊縮財政とは親和的ではない、としていましたが、本書の著者は直近のトランプ元大統領を別途すれば、ティーパーティーなどのいわゆる「小さな政府」の支持者などの支援を受ける共和党こそが緊縮財政を思考している、と指摘しています。私も少し混乱しているのかもしれません。いずれにせよ、私が読んだ中では文句なしに今年一番の経済書です。

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次に、小林佳代子『最後通牒ゲームの謎』(日本評論社) です。著者は、南山大学の経済学研究者です。サブタイトルが「進化心理学からみた行動ゲーム理論入門」とされていて、容易に理解されるように、ゲーム理論とか行動経済学が専門のようです。まず、どうでもいいことながら、進化心理学という学問分野は私は従来から少し誤解も含めて、要するに、子孫を残すことを最大限重視するモチベーションから人間心理を解釈する学問であり、従って、ほぼほぼセックスのことに尽きる、と考えていたのですが、少し考え直すことにしました。ということで、タイトルにある最後通牒ゲームとは、一定金額、例えば、1000円をもとに、それを手にしたAさんがとなりのBさんにいくらかを上げるというゲームで、BさんがAさんお提案を受け入れればそのとおりに分配されてOKなるも、BさんがAさんの提案を拒否すれば、2人とも何ももらえない、という結果で終わります。通常、Bさんが合理的な個人であれば、ゼロよりは効用が高いのでAさんからの提案がたとえ最少額の1円であってもOKして受け取る、というのが伝統的な経済学の見方です。でも、実際に実験でやってみると、少額であれば拒否して2人とも何ももらえない、というケースが出てきます。この最後通牒ゲームに加えて、少しだけ独裁者ゲームについても取り入れられています。それはともかく、本書では「謎」としているように、まず、Aさんがどうして1円をオファーしないのか、また、Bさんがどうして少額なら拒否して何も受け取れない結果を志向するのか、といった謎から始まって、ウェイソンの4枚カード問題から、本書で裏切り者と呼んでいて、実際の日本語的な語感からは、ズルをする人に対して、進化の過程で獲得された拒否反応について議論を進めています。すなわち、現代人にも石器人の心があり、進化の過程に動特性の基礎を見出し、お互いの協力関係が進化に役立っている、という点が強調されています。全体として、かなり学術書に近い内容が盛り込まれていて、特に、多数の既存研究がサーベイされている上に、きちんと参考文献リストも整備されている一方で、著者の父親だったか誰かの目から一般読者にも判りやすい内容に仕上がっています。

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次に、カリド・コーザー『移民をどう考えるか』(勁草書房) です。著者は、マーストリヒト大学の研究者であり、専門は難民問題、安全保障だそうです。本書は英国オックスフォード大学出版局から出ている A Very Short Introduction のシリーズの1冊で、英語の原題は International Migration であり、初版が2007年に刊行され、第2版が2017年の出版となっています。ということで、手短に、移民の定義や統計の不備などが明らかにされた後、国際間の移民を生じさせる要因として、人口構造、所得水準の格差、加えて、気候変動や地政学的なリスクなどが上げられています。そして、当然に移民がグローバリゼーションとどのように関係し、移民の国際送金を受ける移民送出し国の経済開発が論じられ、そして、やや私の目からはトリッキーな話題として、違法ないし非正規移民、難民まで幅広く概観されています。特に、明示的に取り上げられているわけではありませんが、移民や非正規移民とテロリズムの関係まで視野に入れているように私には見受けられました。決して、経済問題、特に、雇用や社会保障だけではなく、文化的な多様性の促進という観点も移民は担っており、多種多様な人間が暮らす現代社会の豊かさのひとつの象徴であるという気もします。他方で、都合の悪い場合は移民が外的グループの一員として取り扱われ、何らかの悪い意味で標的になったりもしかねません。コンパクトに取りまとめられている本書ですが、それなりに移民に関するさまざまなトピックを網羅しています。最後に、どうでもいいことながら、私は監訳者が役所の研究所で働いていたころを知っています。少しだけ懐かしく感じました。

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次に、川上弘美『わたしの好きな季語』(NHK出版) です。著者は、私と同世代の芥川賞作家であり、本書では俳句の趣味も披露しています。ということで、春夏秋冬に新年を加えた俳句の季語を集めた歳時記です。96の季語を収録しています。すなわち、春が、日永/海苔/北窓開く/絵踏/田螺/雪間/春の風邪/ものの芽/わかめ/針供養/すかんぽ/目刺/朝寝/木蓮/飯蛸/馬刀/躑躅/落とし角/春菊/入学/花/春愁、夏が、薄暑/鯉幟/そらまめ/豆飯/競馬/アカシアの花/新茶/てんとう虫/更衣/鯖/黴/こうもり/ががんぼ/蚯蚓/業平忌/木耳/李/半夏生/団扇/雷鳥/夏館/漆掻/雷/青鬼灯、秋が、天の川/西瓜/枝豆/水引の花/生姜/残暑/つくつくぼうし/燈籠/墓参/瓢/月/良夜/朝顔の種/新米/案山子/鈴虫/夜長妻/濁酒/柿/秋の空/蟷螂/小鳥/きのこ狩/文化の日/花野、冬が、時雨/神の留守/落葉/大根/切干/たくわん/銀杏落葉/冬鷗/河豚/枯枝/ストーブ/炬燵/冬羽織/おでん/鳰/蠟梅/つらら/探梅/春隣、そして、新年が、飾/去年今年/歌留多/福寿草/初鴉/七草となっています。どうでもいいことながら、本書に収録されていないとても現代的な季語に「運動会」があり、私の知る限り、秋の季語です。しかしながら、我が家の子供達が通っていた青山の小学校では、5月に運動会をやっていました。他方で、その小学校というのは中村草田男先生の母校でもあり、「降る雪や 明治は 遠くなりにけり」との句碑が正門を入ったところにあったりしました。8月5日にお亡くなりになっていて、「草田男忌」はこれまた俳句の季語になっています。作者の幼少時の東京杉並の風物などもしのばれて、とてもいい作品に仕上がっています。

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次に、松井玲奈『累々』(集英社) です。著者は、SKE48などでアイドルをしていました。作家としてのデビュー作は『カモフラージュ』であり、私もこの機会に読んでみました。短編集という点ではデビュー作と本作は同じなのですが、前作デビュー作と異なり、本作では一貫して小野小夜という女性が、必ずしも、主人公ないし視点を提供する登場人物ではないにしても、何らかの形で登場しており、いわば、連作短編集の形になっているといっていいかと思います。特に、最後の方の短編では主人公というか、視点を提供した記述者の役割を果たしています。アイドル出身にしては、というか、逆に、アイドル出身だからこそなのかもしれませんが、かなり、生々しいセフレやパパ活や結婚についても、適度にサラリと触れられており、それなりに構成力や表現力も感じさせます。描写はかなり具体的かつ精緻に、しっかりとなされており、決して、おろそかにされていません。逆に、プロット的には、私とは年齢的な開きがあるのも事実ですから、それなりに、現代のアラサーの生活は理解しがたい部分もあるとしか思えませんでした。いずれにせよ、男女のかなり艶めかしい生活実態をとても上手に表現していて、作家としての実力を感じさせるものがあり、次回作が楽しみな気がします。アイドルのお遊びではなく、単に、知名度を生かしただけの駄作ではない作品と私は受け止めました。

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最後に、藤岡陽子『メイド・イン京都』(朝日新聞出版) です。著者は、最近の作品では集英社文庫から出版された『金の角持つ子どもたち』でも有名な小説家です。主人公は30歳を少し超えた美大出身の女性であり、年下の京都のレストランチェーンの御曹司が東京で銀行勤務をしているときに付き合い始め、父親が亡くなって京都のレストラン事業を引き継ぐ際に上京し、結婚式を待つばかりという段階で破局し、デザイン力を生かしてTシャツの制作に取りかかり、1枚1万円近い高付加価値作品を生み出して起業に成功する、というハッキリいって、かなりありきたりなストーリーです。いかにも京都の古い体質を批判しつつ、東京の美大出身者のデザイン力と京都的なテイストの入ったTシャツが起業アイテムとして、どこまでビジネスになるのかという疑問が残りますが、まあ、この小説についても、東京の人には受けるのかもしれません。私は決してオススメしません。

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2021年9月10日 (金)

広島に競り勝って西投手100勝おめでとう!!!

  RHE
阪  神100002010 4140
広  島100000000 191

久しぶりに、投手陣が踏ん張って広島に競り勝ちました。先発の西勇輝投手100勝おめでとうございます。
ヤクルト打線にあれほど打ち込まれた投手陣が嘘のようです。打線は相変わらず湿りがちながら14安打を放ち、それでも、4得点と効率悪かったのですが、ホームでタッチアウトもあって、まあ、こんなもんでしょう。

明日も、
がんばれタイガース!

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電通総研「サステナブル・ライフスタイル意識調査2021」の結果やいかに?

一昨日9月8日付けで、電通総研から「サステナブル・ライフスタイル意識調査2021」の結果が、副題「消費は『私的満足を優先』の日本・欧米と、『公的意義を優先』の中国・ASEAN」とともに、明らかにされています。国連のSDGsについては、なぜか、私の勤務する大学での意識は低いものの、社会的な関心も高く、私もそれなりに研究などに取り入れようという意欲を持っているところ、この12カ国に渡る調査結果についても簡単に取り上げておきたいと思います。まず、電通総研のサイトから12か国比較で見る日本の特徴を7点、引用すると以下の通りです。

12か国比較で見る日本の特徴
  1. 【関心のある社会課題】「少子化・高齢化」が上位に入るのは日本のみ。日本は1位「自然災害」57.2%、2位「少子化・高齢化」45.6%、3位「大気汚染」41.6%
  2. 【リサイクル行動】「エコバッグ」使用率78.8%、「詰め替え商品」購入率67.8%は平均よりも高い
  3. 【社会活動の支援】「署名・寄付などの社会活動」に高関与の人は12か国中で最も低い割合の28.0%
  4. 【社会課題に関心を持つきっかけ】日本は「ニュース・記事」が56.0%、ASEANは「SNS投稿」の方が高い
  5. 【サステナビリティのイメージ】欧米同様に「地球環境」51.8%、「循環型社会・サーキュラーエコノミー」29.2%が上位に入る
  6. 【2030年のイメージ】日本のみ「不安」34.6%が上位に入る
  7. 【経済意識】「今の生活を守ることに精いっぱい」が12か国中で最も高い割合の61.2%

最後の方の第6点目、第7点目あたりでは、いかにも経済が停滞し先行きの暗い日本経済を基盤とする国民生活の姿が浮かび上がっているように考えるエコノミストは、決して私だけではないように思います。いくつか、私なりの興味でグラフをピックアップしたいと思います。

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まず、上のグラフは電通総研のサイトから 図1 関心のある社会課題 について、調査対象の12か国の上位3位までを列挙しています。最初の「12か国比較で見る日本の特徴」にもありましたが、「少子化・高齢化」が上位に入るのは日本だけであり、「自然災害」についても、ドイツやベトナムを除けば、それほど多くの国で課題として上げられているわけではありません。また、日本以外で私が注目したのは米国であり、世界のGDPトップの米国で貧困・飢餓がトップに上げられているのは、格差や不平等の問題が大きいからではないか、と私は受け止めています。

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続いて、上のグラフは電通総研のサイトから 図16 消費は、公的な意義優先か、私的な満足優先か について、調査対象の12か国を、比較できる場合は2010年と直近2021年の結果を並べてプロットしています。ここでは、当然に、2010年から2021年への変化に注目すべきであり、比較ができないドイツ・米国・英国を別にすれば、アジア各国では圧倒的に私的な満足優先から公的な意義優先へとシフトしている一方で、わずかながら、日本では私的な満足優先のシェアが拡大しています。日本では所得が伸び悩んで、それだけ生活に余裕やゆとりがなくなっていることが読み取れます。

最後に、昨日9月9日付けの朝日新聞夕刊の記事「石油・ガス6割『掘ってはいけない』 気温上昇1.5度抑制へ試算」の基となる Nature 掲載の論文は以下の通りです。この論文は、平均気温の上昇を産業革命前と比べて1.5度に抑えるという国際目標を達成するための試算で、2050年時点での確認埋蔵量の石油の58%、ガスの59%、石炭の89%が unextractable reserves である、と結論しています。サステイナビリティの議論に関連して、何らご参考まで。

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2021年9月 9日 (木)

またまた先発投手が序盤から打ち込まれてヤクルトに大敗する!!!

  RHE
ヤクルト510002500 13151
阪  神000300000 382

またまた、ヤクルトに大敗でした。このところ、先発投手が序盤から大量失点する悪い流れが続いています。
小野寺選手の初打点はめでたいものの、先発投手がサッパリで、打線がそれなりに得点を上げているものの、勝ちにつながりようがありません。選手の働きが悪いんだろうとは思いますが、ここはベンチワークの腕の見せどころです。選手の動きがどうであれ、監督の采配で勝つ試合も見てみたい気がします。

次の広島戦も、
がんばれタイガース!

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毎日新聞「『「余暇は無駄』との考え方は幸せを損なう?」の記事の基となる研究論文を調べる!!!

一昨日9月7日付けの毎日新聞の記事「『「余暇は無駄』との考え方は幸せを損なう?」について、ツイッタだか何かのサイトで、基となる学術論文のありかが示されていました。そのツイッタのサイトは失念しましたが、論文のサイトは以下の通りです。

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論文から Fig. 2. Study 3: Enjoyment by Beliefs about Leisure Prime. Note. Error bars represent ±1 standard error を引用すると上の通りです。New York Times のロゴをあしらったフェイクニュース記事3種類、すなわち、"Is Leasure Wasteful? - A recent poll says yes," "Is Leasure Unproductive? - A recent poll says yes," "Is Leasure Productive? - A recent poll says yes" を見せられての実験的な結果なのですが、まあ、常識的な結果かもしれません。

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2021年9月 8日 (水)

ロハス選手と大山選手のホームランでヤクルトに逆転勝ち!!!

  RHE
ヤクルト021000000 380
阪  神01002200x 571

またまた、ヤクルトに逆転勝ちでした。ロハス選手の同点ツーラン、大山選手の逆転ツーランが効きました。
シーズン前半は、先制点を足がかりに、先発投手がQSで相手を抑え、ご自慢のリリーフ陣をつぎ込んで逃げ切る、という先行逃げ切り方の戦いでしたが、先のジャイアンツ戦から先発が崩れはするものの、打線が逆転して勝ちを呼び込む、というパターンに変化しています。おそらく、投手陣のうちで疲れの見え始めたのが、ジャイアンツとスワローズでは中継ぎ以下のリリーフ陣、阪神では先発陣、という違いなんだろうと私は解釈しています。まあ、勝てば何でもいい気はします。最後になりましたが、小川投手の初勝利おめでとうございます。

明日も、
がんばれタイガース!

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1次QEから上方修正されたものの前期からのリバウンドにも達しない4-6月期GDP統計2次QEをどう見るか?

本日、内閣府から今年2021年4~6月期のGDP統計2次QEが公表されています。季節調整済みの前期比成長率は+0.5%、年率では+1.9%と、1次QEから上方修正されています。新たな変異株や高齢者以外へのワクチン接種も含めて、先行きはまだ不透明感が残ります。まず、日経新聞のサイトから長い記事を引用すると以下の通りです。

GDP、年1.9%増に上方修正 4-6月改定値
内閣府が8日発表した4~6月期の国内総生産(GDP)改定値は物価変動の影響を除いた実質で前期比0.5%増、年率1.9%増だった。8月に公表した速報値(前期比0.3%増、年率1.3%増)から上方修正した。企業の設備投資などが上振れしたのが要因だ。
改定値では財務省が1日発表した4~6月期の法人企業統計を設備投資や民間在庫変動に反映した。設備投資は前期比2.3%増で、速報値(1.7%増)から上方修正した。一方、民間在庫変動のGDP押し上げ効果は速報段階のマイナス0.2ポイントからマイナス0.3ポイントに下方修正した。
政府消費は1.3%増で、速報値(0.5%増)から大きく上振れした。速報段階以降に公表された統計で6月の医療費が当初想定より多かったため、全体を押し上げた。
GDPの半分以上を占める個人消費は0.9%増と、速報値(0.8%増)から小幅上方修正した。8月に行われた消費者物価指数の基準改定や一部のサービス関連の統計を踏まえた結果、上向きに見直された。
名目GDPは前期比0.1%減、年率0.5%減で、速報値(前期比0.1%増、年率0.2%増)から下方修正された。消費者物価指数の基準改定によりGDPデフレーターが下振れしたことが押し下げた。
法人企業統計によると4~6月期の全産業の設備投資は前期比3.2%増で、製造業・非製造業ともに増加していた。

ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、項目にアスタリスクを付して、数字がカッコに入っている民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。もちろん、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で最初にお示しした内閣府のリンク先からお願いします。

需要項目2020/4-62020/7-92020/10-122021/1-32021/4-6
1次QE2次QE
国内総生産 (GDP)▲7.9+5.4+2.8▲1.1+0.3+0.5
民間消費▲7.2+2.7+1.9▲0.6+0.8+0.8
民間住宅+0.6▲5.7+0.0+1.0+1.0+2.1
民間設備▲6.0▲2.1+4.3▲1.3+1.7+2.3
民間在庫 *(+0.1)(▲0.2)(▲0.5)(+0.4)(▲0.2)(▲0.3)
公的需要+1.1+2.3+1.7▲1.6+0.1+0.7
内需寄与度 *(▲5.1)(+2.7)(+1.8)(▲0.8)(+0.6)(+0.8)
外需寄与度 *(▲2.9)(+2.6)(+1.0)(▲0.2)(▲0.3)(▲0.3)
輸出▲17.5+7.3+11.7+2.4+2.9+2.8
輸入▲0.7▲8.2+4.8+4.0+5.1+5.0
国内総所得 (GDI)▲6.9+5.3+2.8▲1.7▲0.1+0.1
国民総所得 (GNI)▲7.1+5.1+3.1▲1.6▲0.0+0.1
名目GDP▲7.6+5.4+2.3▲1.1+0.1▲0.1
雇用者報酬▲3.5+0.8+0.9+2.1▲1.4▲0.7
GDPデフレータ+1.4+1.1+0.1▲0.2▲0.7▲1.1
内需デフレータ▲0.1+0.0▲0.8▲0.5+0.6+0.2

上のテーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの前期比成長率に対して積上げ棒グラフが需要項目別の寄与を示しており、左軸の単位はパーセントです。グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された今年2021年1~3月期の最新データでは、前期比成長率が小幅ながらプラス成長を示し、GDPのコンポーネントのうち赤の消費と水色の設備投資のプラス寄与が大きくなっています。

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月曜日のこの私のブログでも1次QE予想を取り上げましたが、小幅な上方改定を予想するシンクタンクが多かったように記憶しています。また、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは年率で+1.7%のプラス成長でしたから、大きなサプライズはないとはいえ、やや上振れした印象を持つエコノミストも少なくない気がします。ただし、1~3月期が前期比で▲1.1%のマイナス成長の後の4~6月期の+0.5%のプラス成長ですから、4~6月期は前期のマイナス成長からのリバウンドも半分にも達しません。ですから、潜在成長率と比較すればそれなりのプラス成長とはいえ、決して力強い成長という評価はできません。昨年2020年後半は2020年7~9月期+5.4%、10~12月期+2.8%のそれなりのプラス成長を2四半期続けたのですが、2021年に入って日本経済は停滞を続けていると私は受け止めています。ただし、今回は何が生じているのか、デフレータの動きがやや不思議な気が私はしています。すなわち、伝統的に物価なので、デフレータだけは季節調整していない原系列の前年同期比を取っていて、季節調整済み系列の前期比をで見る成長率とはベースが異なるので、何ともいえませんが、上のテーブルからも明らかな通り、GDPデフレータ上昇率が1次QEの▲0.7%から2次QEでは▲1.1%に下方修正されており、同様に、内需デフレータ上昇率も+0.6%から+0.2%に修正されています。デフレータが下方修正されていて、名目GDP成長率は1次QEの+0.1%成長から▲0.1%に下方修正されています。ただし、実質値のGDIやGNIは上方修正されています。いずれにせよ、実感により近い名目GDP成長率が下方修正されている点は、実質成長率が上方修正されたとはいえ、日本経済の停滞をより強く印象づけているような気もします。加えて、月曜日の2次QE予想でもありましたが、足元の7~9月期はほぼゼロ成長ではないか、と見込むエコノミストも少なくないと私は受け止めています。

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GDP統計のほか、本日、内閣府から8月の景気ウォッチャーが、また、財務省から7月の経常収支が、それぞれ公表されています。各統計のヘッドラインを見ると、景気ウォッチャーでは季節調整済みの系列の現状判断DIが前月から▲13.7ポイント低下の34.7、先行き判断DIも▲4.7ポイント低下の43.7を記録しています。新型コロナ感染症(COVID-19)パンデミックに対応して、首都圏などに緊急事態宣言の影響もあって、大きな低下を見せています。経常収支は、季節調整していない原系列で+1兆9108億円と+2兆円近いの黒字を計上しています。いつものグラフだけ、上の通り示しておきます。上のパネルの景気ウォッチャーのグラフでは、現状判断DIと先行き判断DIをプロットしており、色分けは凡例の通りです。影を付けた部分は景気後退期なんですが、このブログのローカルルールで直近の2020年5月を景気の谷として暫定的に同定しています。下の経常収支のグラフでは、青い折れ線グラフが経常収支の推移を示し、その内訳が積上げ棒グラフとなっています。色分けは凡例の通りです。いずれも季節調整済みの系列をプロットしています。

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2021年9月 7日 (火)

5か月連続で「拡大」続く景気動向指数の先行きをどう見るか?

本日、内閣府から7月の景気動向指数公表されています。CI先行指数が前月から▲0..5ポイント下降して104.1を示し、CI一致指数も前月から▲0.1ポイント下降して94.5を記録しています。まず、統計のヘッドラインを手短に報じる記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。

7月の景気一致指数、2カ月ぶり低下 半導体や部品不足響く
内閣府が7日発表した7月の景気動向指数(CI、2015年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比0.1ポイント低下の94.5となった。低下は2カ月ぶり。QUICKがまとめた市場予想の中央値と同じだった。世界的な半導体不足やアジアの新型コロナウイルス感染拡大に伴う部品不足で自動車生産が低調に推移し、指数を押し下げた。
一致指数を構成する10指標で公表済みの8指標のうち、5つがマイナス、3つがプラスに寄与した。自動車工業や電気・情報通信機械工業などが低下し「生産指数(鉱工業)」が2カ月ぶりに低下した。アジアや米国向けの輸出が減少し「輸出数量指数」も2カ月ぶりに低下した。一方、夏物衣料の好調で「商業販売額(小売業)」は上昇した。
一致指数の動きから機械的に求める基調判断は、景気拡張の可能性が高いことを示す「改善」で据え置いた。「改善」の判断は5カ月連続。
数カ月後の景気を示す先行指数は前月比0.5ポイント低下の104.1と、2カ月ぶりに低下した。無機・有機化学工業や電気・情報通信機械工業の出荷の伸びが低調で在庫率が上がり「鉱工業用生産財在庫率指数」が低下した。
景気の現状に数カ月遅れて動く遅行指数は前月比0.2ポイント低下の93.8で、2カ月ぶりに低下した。
CIは指数を構成する経済指標の動きを統合して算出する。月ごとの景気動向の大きさやテンポを表し、景気の現状を暫定的に示す。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、景気動向指数のグラフは下の通りです。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しているんですが、直近の2020年5月を景気の谷として暫定的にこのブログのローカルルールで勝手に同定しています。

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ということで、引用した記事にもあるように、統計作成官庁である内閣府では、3月に基調判断を上方改定して、今月も5か月連続で「改善」に据え置きとなっています。基準がどうなっているかというと、「3か月後方移動平均が3か月連続して上昇していて、当月の前月差の符号がプラス」ですから、後者の当月の前月差はマイナスに転化し、3か月後方移動平均も7月統計ではマイナスとなっているので、やや不思議な気もします。3か月後方移動平均がマイナスになっているのですから、「足踏み」ではないか、と私は考えます。ただし、あくまで「原則」であって、「足踏み」には加えて、「マイナス幅(1か月、2か月または3か月の累積)が1標準偏差分以上」という基準もありますので、マイナス幅がこの標準偏差まで達していないのであろうと考えています。
7月統計について、CI一致指数を詳しく見ると、マイナスの寄与が大きい順に、生産指数(鉱工業)、 輸出数量指数、商業販売額(卸売業)(前年同月比)などのマイナス寄与が大きくなっています。逆に、プラス寄与を見ると、 有効求人倍率(除学卒)、商業販売額(小売業)(前年同月比)、耐久消費財出荷指数が押し上げ要因となっています。すなわち、雇用については人口動態に従って人手不足が続いているようですが、それ以外は、輸出や輸出に牽引される生産が、相変わらず、景気のリード役となっている姿が浮かび上がります。そして、その生産については、半導体の供給制約とアジアにおける新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染拡大に伴う部品不足が自動車工業の先行きに影を落としています。我が国の基幹産業であるだけに今後の動向が注目されます。

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2021年9月 6日 (月)

明後日公表予定の4-6月紀GDP統計速報2次QEはわずかに上方修正か?

必要な統計がほぼ出そろって、今週水曜日の9月8日に4~6月期GDP統計速報2次QEが内閣府より公表される予定となっています。若年層などへのワクチン接種がなかなか進まない中で、東京オリンピック・パラリンピックを強行開催し、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)パンデミックがまたまた拡大して、足元から先行きの経済がとても気にかかるところですが、取りあえず、シンクタンクなどによる2次QE予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、web 上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下の表の通りです。ヘッドラインの欄は私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しています。可能な範囲で、足元の4~6月期から先行きの景気動向について重視して拾おうとしています。緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が出たり解除されたり、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の動向は、ワクチン接種の行く方とともに、極めて不透明となっており、そういった影響も気にかかるところです。伝統的に、2次QEは法人企業統計のオマケで予想されることも少なくなく、ほとんどのシンクタンクで先行きについては取り上げていません。先行きについて明確に数字を上げて言及があるのは、みずほリサーチ&テクノロジーズと第一生命経済研の2機関だけでした。特に、前者のみずほリサーチ&テクノロジーズについては、リポートに詳細な解説があるので、ご興味ある向きは参照できるかと思います。いずれにせよ、詳細な情報にご興味ある向きは一番左の列の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちにAcrobat Reader がインストールしてあってリポートが読めるかもしれません。

機関名実質GDP成長率
(前期比年率)
ヘッドライン
内閣府1次QE+0.3%
(+1.3%)
n.a.
日本総研+0.3%
(+1.4%)
4~6月期の実質GDP(2次QE)は、設備投資が上方修正される見込み。その結果、成長率は前期比年率+1.4%(前期比+0.3%)と、1次QE(前期比年率+1.3%、前期比+0.3%)から小幅に上方修正される見込み。
大和総研+0.4%
(+1.8%)
2021年4-6月期GDP2次速報(9月8日公表予定)では、実質GDP成長率が前期比年率+1.8%と、1次速報(同+1.3%)から上方修正されると予想する。
みずほリサーチ&テクノロジーズ+0.4%
(+1.7%)
7~9月期は、輸出や設備投資の増加基調が続く一方、デルタ型変異株の感染拡大を受けて個人消費が低迷。半導体の供給不足や東南アジアからの部品供給減も下押しし、0%近傍の弱い伸びを予想
ニッセイ基礎研+0.4%
(+1.6%)
9/8公表予定の21年4-6月期GDP2次速報では、実質GDPが前期比0.4%(前期比年率1.6%)となり、1次速報の前期比0.3%(前期比年率1.3%)から上方修正されると予想する。
第一生命経済研+0.4%
(+1.5%)
7-9月期も停滞感の強い状態が継続するとみられる。感染者数の急増と緊急事態宣言の影響を受け、8-9月の個人消費は下振れる可能性が高い。輸出や設備投資の増加が下支えになるものの、消費の落ち込みが響くことで、7-9月期のGDP成長率はゼロ近傍にとどまると現時点で予想している。
伊藤忠総研+0.3%
(+1.0%)
今後は、経済が正常化するにつれて雇用が拡大、労働時間が長期化し、労働需給はタイト化、賃金上昇圧力も高まって、人件費の上昇ペースは加速していくとみられる。こうした動きは、個人消費回復の追い風となろう。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+0.5%
(+2.0%)
2021年4~6月期の実質GDP成長率(2次速報値)は、前期比+0.5%と1次速報値の同+0.3%から上方に修正される見込みである(年率換算では+1.3%から+2.0%に上方修正)。
三菱総研+0.6%
(+2.3%)
2021年4-6月期の実質GDP成長率は、季調済前期比+0.6%(年率+2.3%)と、1次速報値(同+0.3%(年率+1.3%))から上方修正を予測する。

伊藤忠総研だけを例外として、他のシンクタンクは押並べて1次QEから上方修正されると予想しています。基本的には、法人企業統計に従って設備投資が上方改定されるためです。ただ、景気認識として大きな修正は必要ないという点でも、ほぼほぼ一致しているように見受けました。また、4~6月期は一定のプラス成長を記録するとしても、明確な数字を上げていたみずほリサーチ&テクノロジーズと第一生命経済研の2機関は、7~9月期の成長率はゼロ近傍に低下すると見込んでいます。輸出や設備投資が経済を下支えするとしても、COVID-19パンデミックによる緊急事態宣言などにより消費が落ち込むという見方です。これについても、現時点で、エコノミストの間で一定のコンセンサスがあるような気がします。
最後に、下のグラフは、みずほリサーチ&テクノロジーズのリポートから引用しています。

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2021年9月 5日 (日)

6点差を追いついてジャイアンツと引き分け首位キープ!!!

  RHE
読  売300030000 672
阪  神000004200 6130

いやあ、すごい試合でした。6回ウラ、7回ウラと2イニングに渡って敵失を利用して、6点差を追いついて巨人とドローで首位キープでした。
昨夜も今夜も、年にそう何回もある試合ではないと感じさせられました。優勝する年はこんなものなのかもしれないとさえ思わせる阪神の試合運びでした。3タテこそ出来なかったものの、BS朝日の解説の掛布さんが、通常であれば、このあたりで巨人に負け越して、そのままズルズル行くが、今年は違う、といった旨の解説をしていました。そうかもしれません。

次のヤクルト戦も、
がんばれタイガース!

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2021年9月 4日 (土)

大山選手の逆転サヨナラ弾で巨人に連勝!!!

  RHE
読  売000102000 370
阪  神000020002x 461

大山選手のサヨナラ弾で巨人に連勝し、首位を奪還しました。
どこと当たっても、巨人がサッパリ負けてくれませんから、阪神が直接倒すしかない3連戦に連勝です。今夜は配色濃厚は最終回にドラマが待っていました。明日の秋山投手は阪神投手陣の中でももっとも安定したピッチングを展開しています。明日の試合が楽しみです。大山選手は4番に戻すのかな?

明日は3タテ目指して、
がんばれタイガース!

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今週の読書はまたまた経済書なしで新書が多く計4冊!!!

今週の読書も、またまた、経済書なしで教養書と3冊の新書の計4冊だけでした。新書は経済学のテーマのものを含みますが、まあ、学術書ではありません。来週は少し「経済書」と呼べるものを読もうと予定しています。なお、いつもお示ししている本年の読書の進行ですが、このブログで取り上げた新刊書だけで、1~3月期に56冊、4~6月も同じく56冊、今日取り上げた4冊を含めて7~9月で47冊、これらを合計して158冊になりました。

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まず、大塚英志『「暮し」のファシズム』(筑摩書房) です。著者は、国際日本文化研究センターの研究者であり、漫画原作なども上げられています。本書では、現在進行系のコロナ下の「新生活様式」のお話ではなく、先世の近衛内閣のもとでの大政翼賛会によるファシズムの国民生活への浸透について取りまとめています。各章の構成として、「暮しの手帖」の編集者として著名な花森安治、太宰治の「女生徒」、ミニマリスト詩人の尾崎喜八、長谷川町子の「サザエさん」、ガスマスクを装着した女学生、など、国民生活の暮しを担う女性からファシズムの進行について深く掘り下げています。それを、コロナ下の「新生活様式」と同じで、戦争に向かう生活上の方向性を示すプロパガンダとして表面に現れるのではなく、生活上の利便から望ましい姿として提示されるという形が取られています。例えば、今では断捨離となるのかもしれませんが、国民も巻き込んだ総力戦に備えて、簡素で節制を心がけた慎ましい生活、郵便局で国債を買うように勧めるとか、国民生活を戦争に適した形に形作る方向性が示されています。現在のコロナ下の生活についても考えると、マスクの着用やソーシャル・ディスタンスの確保などだけでなく、いわゆる「自粛警察」の活動まで含めて、強力な同調圧力への服従と従わない者への非難と強制が戦前のファシズム体制形成の際のカギカッコ付きの「運動」につながるものであるといえます。今でも、多人数での会食の自粛とか、默食とか、日常生活の細部に至るまで国家の強制ないし強力な推奨が入り込んでいるのが大きな特徴です。しかも、そういった強制ないし推奨が家庭生活を取り仕切る女性を利用したことにも特徴を見出しています。酒を提供する店の閉店、飲食店の営業時間の短縮、テレワークの推進なども、コロナ蔓延防止には効果的なのかもしれませんが、そうであっても、かなり強烈な同調圧力とともに推し進められている印象があり、「コロナ蔓延防止」の掛け声がかかれば何でもアリという気もします。国民の自由が奪われていく方向性を許容すべきではない、という点をしっかりと自覚したいと思います。最後に、表紙にも見えるガスマスクなんですが、何のアイコンなのか、私にはよく理解できませんでした。

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次に、岩田規久男『「日本型格差社会」からの脱出』(光文社新書) です。著者は、日銀副総裁まで努めたリフレ派エコノミストです。ということで、日本経済が誤った日銀金融政策のせいでデフレに陥って、賃金が上がらず国民生活が貧しくなった点から説き始め、お決まりの雇用の流動化の必要性を示し、でも、最後にアベノミクスにかけていた所得再配分の必要性を論じています。私はこの著者にかなり近いと考えていたのですが、やっぱり、本書で「雇用の自由化」と称している雇用の流動化、特に、正規職員の解雇規制の緩和については、私は強烈に反対です。非正規雇用が拡大したのは、小泉政権などで強力に進められた人材派遣の規制緩和や半拡大などではなく、デフレが原因と決めつけていますが、デフレのネガなインパクトを軽視するつもりはありませんが、同時に派遣を拡大したのも非正規雇用の増加につながった点も忘れるべきではありません。特に、最近、メキシコ、人材派遣を原則禁止に」とのタイトルで日経新聞で報じられた記事にもあるように、人材派遣業がロビー活動を通じて労働市場を歪めていることは私の目から見ても明らかです。デフレがもたらした経済格差という面は否定しませんが、ネオリベな政策が格差を許容する方向で作用したことは明らかですし、賃金などの待遇で極端に格差がある上に、雇用の安定性にも大きな違いがあり、社会保障のサステイナビリティを低下させている点は黙殺されています。リベラルな野党の主張はほぼほぼ否定されるだけで、アベノミクスの礼賛で終始しています。

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次に、朝日新聞取材班『自壊する官邸』(朝日新書) です。著者は、そのまんまで官邸をはじめとする朝日新聞の取材班です。安倍内閣のあたりから始まった強い官邸、あるいは、強すぎる官邸の政治シーンの中で、官僚だけでなく政治家も鑑定に対する忖度が募り、友と敵を二分する思考が蔓延し、権力が官邸に集中していく過程をよく分析しています。特に、政治やいわゆる行政だけでなく、国会はもちろん、準司法的な権力である検察まで含めた強力な権力が官邸に集中されています。そのひとつの側面として、ヤンキー政治とか、反知性主義の政治としてクローズアップされています。また、これを支える小選挙区制についても目が行き届いています。そして、オリンピックとパラリンピックを経て、現在の菅政権がコロナのパンデミックに対処できなくなり、ことごとく対応を誤っているために、実際に本書のタイトル通り、官邸が自壊していく過程が始まっている気がします。もっとも、このように官邸権力が強力になる少し前に私は公務員を定年退職しましたし、そもそも、公務員としてさっぱり出世しませんでしたので、官邸に対して距離があったため、それほど「一強」の実感はありません。よく知られたように、安倍内閣のころは、森友学園での国有地払い下げや加計学園の獣医学部特別認可などにおける忖度、あるいは、その他のスキャンダルがあっても、経済の下部構造が強力に国民から支持されて、選挙で連戦連勝したことは明らかですし、その選挙の洗礼を受けていない現在の菅政権に対する審判がどのように下されるのか、政権選択選挙であるだけに私は大いに興味を持って先行きを注視していたのですが、昨日、菅総理が事実上の退陣を表明したことは広く報じられている通りです。

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最後に、田中周紀『実録 脱税の手口』(文春新書) です。著者は、共同通信やテレビ朝日で取材にあたったジャーナリストです。芸能人や起業した会社経営者などが、単なるムチから7日、かなり粗暴な手段で脱税を試みて失敗した事例を多く集めています。基本的に、経費の水増しが多い気がするのですが、繰り返しになるものの、手口がかなり「粗暴」です。ですから、上の表紙画像にあるように「こんなスキームがあったのか?」というのは、やや誇大広告ではないのか、と感じてしまいます。逆に、というか、それだけに、ハッキリと笑えるものも少なくありません。その昔の無記名債券で政治家が脱税、というか、隠し金を作っていたころから、それほど手口は「進化」していないような気がします。ただ、願うべくは、デジタル化やインターネットの普及などに伴う脱税はほぼほぼ含まれていませんし、脱税に従ってイタチごっこのように徴税当局が税制変更を適用していくあたりも、あまり取り上げられていません。それだけに昔ながらの「粗暴」さが際っだっているわけですが、そのあたりをもう少し充実させるのも一安価、という気がしました。でも、そうせずに昔ながらの手口の紹介というやり方もアリだという気もします。

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2021年9月 3日 (金)

米国雇用統計の雇用者増は物足りない数字に終わったか?

日本時間の今夜、米国労働省から8月の米国雇用統計が公表されています。非農業雇用者数の前月差は今年2021年に入って着実にプラスを記録していたのですが、本日公表の8月統計では+235千人増にとどまっています。ただし、失業率は前月の5.4%から8月には5.2%にわずかに低下しています。まず、長くなりますが、USA Today のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を最初の5パラだけ引用すると以下の通りです。

Economy added 235,000 jobs in August amid COVID cases surge, worker shortage. Unemployment fell to 5.2%
Hiring slowed sharply in August as employers added a disappointing 235,000 jobs, with COVID-19 surges dampening both consumer demand and Americans' willingness to return to work.
Restaurants and bars, which had been driving record employment gains, shed jobs.
The unemployment rate, which is calculated from a different survey, fell from 5.4% to 5.2%, the Labor Department said Friday.
Economists had estimated that 750,000 jobs were added last month, according to a Bloomberg survey.
So far, the U.S. has recovered 17 million, or 76%, of the 22.4 million jobs lost in the spring of last year, leaving the nation 5.3 million jobs below its pre-pandemic level.

長くなりましたが、まずまずよく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルでは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門を、さらに、下は失業率をプロットしています。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。NBERでは今年2020年2月を米国景気の山と認定しています。ともかく、2020年4月の雇用統計からやたらと大きな変動があって縦軸のスケールを変更したため、わけの判らないグラフになって、その前の動向が見えにくくなっています。少し見やすくしたんですが、それでもまだ判りにくさが残っています。

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引用した記事の4パラ目にもあるように、Bloombergによる市場の事前コンセンサスでは+750千人の雇用増が予想されていましたので、+235千人増は記事の最初のパラにあるようにdisappointingな数字と受け止められています。他方で、失業率は今年2021年年初には6%前後だったんですが、最近では5%近くまで低下を示しています。ということで、やはり、8月統計については新型コロナウィルス感染症(COVID-19)パンデミック拡大の影響で雇用改善にブレーキがかかった、というのが大方のエコノミストの見方ではないでしょうか。特に、7月統計の雇用者数が上方修正されて前月差で+100万人超の増加を見ていただけに、落差を大きく感じるのも事実です。新型コロナウィルス感染症(COVID-19)のワクチン接種が進んでいたところに、バイデン政権の大幅な財政拡大があって、雇用改善が進んでいたわけなんですが、やはり、財政政策だけではデルタ株によるCOVID-19のパンデミックには十分ではなかった可能性があります。この先、いくつか考慮すべき事項があり、第1に、労働市場の動向です。9月4日に失業手当の週300ドルの特別加算が終了します。学校が開始されていることから、労働市場に再参入する働きに拍車がかかる可能性が十分あります。第2に、金融政策の動向です。すなわち、先月下旬のいわゆるジャクソン・ホール会議で米国連邦準備制度理事会(FED)のパウエル議長が年内のテーパリング開始を強く示唆したのですが、9月21-22に開催される連邦公開市場委員会(FOMC)で、この米国雇用統計を踏まえてどのような議論がなされるのか、インフレンもにらみつつ、とても気にかかるところです。

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菅総理大臣が9月いっぱいで退陣!!!

広く報じられているように、菅総理大臣が自民党の総裁選への出馬を見送り、事実上、9月いっぱいで総理大臣を退陣することが決定しました。事情は報道以上には私にはよく判りません。総理大臣官邸が見えそうな場所で国家公務員として働いていたころならともかく、関西の片田舎の大学教員には情報は入ってきません。私は政治学や経済学、あるいは、社会学などの社会科学分野では、ロケーションとしての東京プレミアムが存在すると考えるエコノミストの1人なのですが、それを実感しています。
2008年の政権交代の総選挙の折には、私は長崎大学でのんびりしていたのですが、東京に戻って総務省統計局に復帰してからはかなりひどい目にあったと記憶しています。今はもう東京に戻ることもないでしょうから、完全に傍観を決め込んでいます。はてさて、今後、我が国の政局はどう動くのでしょうか?

各メディアの主要な報道は上の通りです。私自身のメモのために集めています。何ら、ご参考まで。

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2021年9月 2日 (木)

日本の社会保障はどうして高齢者優遇なのか?

一昨日の8月31日、国立社会保障・人口問題研究所から「社会保障費用統計」が公表されています。プレスリリースから【集計結果のポイント】7点のうちの最初の3点だけ引用すると以下の通りです。

【集計結果のポイント】
  • 2019年度の「社会支出」(OECD基準)総額は127兆8,996億円で、対前年度増加額は2兆3,982億円、伸び率は1.9%となっている。
  • 2019年度の「社会保障給付費」(ILO 基準)総額は123兆9,241億円で、対前年度増加額は2兆5,254億円、伸び率は2.1%となっている。
  • 1人当たりの「社会支出」は101万3,700円、「社会保障給付費」は98万2,200 円。

この引用にあるように、統計の中で直近の利用可能なデータは2019年度であり、ギリギリ2020年1~3月期を含むんですが、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)への社会支出はそれほど含まれていないと私は受け止めています。ですので、従来からの私の主張である我が国社会保障の弱点、すなわち、余りに高齢者に偏って家族や若年層を軽視しすぎたために少子高齢化が進む一因となっている点を少しデータで検証したいと思います。

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まず、上のグラフは 政策分野別社会支出の推移 を1980年度から2019年度まで積み上げ棒グラフでプロットしています。2011年から高齢区分が段差あるように見えるのは、介護保険サービス等については、2018年度社会保障費用統計まではすべて、介護保険サービス等のうち医療・看護系サービス及び入浴・食事・排泄等のADL(日常生活動作)に関する支援サービスは、「保健」に計上することとし、2011年度まで遡及修正したためであるとされています。まあ、統計区分のテクニカルな修正と私は受け止めています。いずれにせよ、赤の「高齢」区分が青の「家族」を大きく上回って伸びていることが読み取れます。

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次に、その政策分野別社会保障支出の国際比較ですが、上のパネルが 政策分野別社会保障支出の構成割合の国際比較、そして、下が 政策分野別社会保障支出の対GDP比の国際比較 となっています。社会保障支出の中の割合として、日本では40%近くが「高齢」区分に支出されており、他の先進国と比べても見劣りしませんが、「家族」区分はわずかに7%と、米国を例外とすれば大きく見劣りします。しかも、これを対GDP費で見ると、「高齢」が9%近くを占めて、北欧の高福祉国であるスェーデンに近い大盤振る舞いなんですが、「家族」区分が2%に達しないのは、これまた、米国に次いで少なくなっています。従来からの私の主張ですが、スェーデン並みの3%超とはいわないまでも、せめてドイツやフランス並みに対GDP比であと+0.5%か、+1.0%くらい、額にすれば+3兆円から+5兆円くらい「家族」区分に上乗せできないものか、と考えています。

先日、広く報じられたところですが、渋谷の若者向けワクチン接種で大きな混乱がありました。政府CIOポータルによる新型コロナワクチンの接種状況では、65歳以上は8月31日時点で1回目88.95%、2回目86.84%のワクチン接種を終えている一方で、若者へのワクチン接種はあの有り様です。新型コロナウィルス感染症(COVID-19)については、罹患した場合に高齢者の方が死亡率や重篤度が高いとはいえ、それでも、ここまで高齢者を優遇し、若者を冷遇する政府というのは、少子高齢化の大きな要因ではないでしょうか。総選挙でその審判が下されるのを私は待ち望んでいます。

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2021年9月 1日 (水)

伊藤投手のナイスピッチングと大山選手の逆転打で連敗ストップ!!!

  RHE
中  日000100000 151
阪  神000002000 261

僅差のゲームをものにして、ようやく連敗ストップでした。
先発伊藤投手はナイスピッチングでした。7回1失点ですから立派なものです。終盤の岩崎投手とスアレス投手も盤石です。打線は、ようやく大山選手に逆転タイムリーが出ました。第1打席、第2打席とチャンスに凡退していましたから、あの場面では打って欲しいところです。巨人がサッパリ負けてくれませんから、阪神もがんばりどころです。

明日は藤浪投手をもり立てて、
がんばれタイガース!

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久しぶりに京都を自転車で街乗り!!!

頻度でいうと月に1回もないくらいなのですが、今日は久しぶりに京都を自転車で街乗りして来ました。

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どうして思い立ったかというと、悲しくも職場のストレスチェックの結果がひどくて、産業医との面談が必要と通告され、来週、京都にある大学の本部キャンパスに行かねばならず、自転車で出向くフィージビリティを確認したかったからです。ちょうど、お天気も雲が厚く垂れ込めて、猛暑に至らない30度少々の最高気温との予報でしたし、思い切って出かけました。金閣寺の近くですから、我が家からでしたら、15キロはかなりオーバーするものの20キロには達せず、私の脚力なら1時間半から2時間くらい、と見込みました。大雑把にそんなもんでした。せっかく、京都の街に出たからには、大学ということで母校の京都大学にも立ち寄ります。そして、最近、同僚教員とのお話で話題が出ましたので、ちょうどランチタイムころだったこともあり、京大北門前にある進々堂に行ってみましたが、なぜか閉まっていました。私の記憶では火曜日が定休日で、いくつかのグルメサイトでもそのように確認しました。よく判らないながら、緊急事態宣言の影響なのか、あるいは、別の要因なのか、今日は水曜日ですから定休日ではないハズ、と考えています。
ということで、私の自転車は基本的に街乗りで、ツーリングはほとんどしません。京都に引越してからは、大津までポケモンのマンホールを見に行ったのがツーリングになるくらいではないかと思います。私の勝手な見方では、ツーリングは山の中とか人家の少ないところを距離として50キロ以上、場合によっては100キロくらい、あまり途中でどこかに立ち寄ることを目的とするわけではないロングライドであるのに対して、街乗りは文字通り街中を自転車でアチコチ立ち寄って、例えば、書店に入ったり、カフェで休憩したりして、私の場合はせいぜいが20-30キロの中距離を走るもの、と決めています。いずれにせよ、長らく東京で自転車に乗ってきましたが、東京では私くらいの20-30キロの距離感であれば街乗りにならざるを得ませんし、逆に、地方都市によっては5キロも走ると街から出てしまう、という場合もあるような気がします。その点、私が今住んでいるようなところでは、北に舵を取って京都市内に向かえば街乗りで、そうでなければツーリング、ということになるのかもしれません。ですから、自転車競技として著名な「ツール・ド・フランス」などは明らかに名称からしてもツーリングということなんだろうと私は理解しています。
街乗りで私が最大限重視しているのは「カッコをつける」ことです。有り体にいえば、街乗りではカッコよく自転車に乗ることがもっとも重要です。ですから、自転車競技とはまったく違っていて、ハード面では、早く走るという機能よりも私は自転車の見た目を重視して選んでいます。服装にしてはもっとで、自転車競技のサイクリング・ジャージは私の目にはカッコいいとはとても見えません。ソフト面では、スポーツバイク、少なくとも、ロードバイクが歩道を走るのはどうかという気がします。歩道を走りたい、というか、走らざるを得ないのであれば、スポーツバイクではない選択肢もあるんではなかろうか、と思います。

最後に、本来の目的であった自転車で金閣寺近くのキャンパスに出向くことについてのフィージビリティですが、帰り道ですっかりバテてしまい、やや体力的にムリを感じざるを得ない結果となりました。来週はストレス低下を図るべく電車とバスで行きたいと思います。

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法人企業統計に見る設備投資の伸びをどう評価するか?

本日、財務省から4~6月期の法人企業統計が公表されています。法人企業統計のヘッドラインは、季節調整していない原系列の統計で、売上高は2年ぶりの増収で+10.4%増の314兆4060億円、経常利益は2四半期連続の増益となりほぼ倍増の+93.9%増の24兆736億円、特に製造業は2.6倍増だったりします。そして、設備投資は+5.3%増の10兆1465億円を記録しています。GDP統計の基礎となる季節調整済みの系列の設備投資についても前期比+3.2%増の11兆9483億円となっています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を手短かに引用すると以下の通りです。

4-6月期の設備投資、前年同期比5.3%増 法人企業統計
財務省が1日発表した4~6月期の法人企業統計によると、金融業と保険業を除く全産業の設備投資額は前年同期比5.3%増の10兆1465億円だった。プラスは5四半期ぶり。このうち製造業は4.0%増、非製造業は5.9%増だった。
国内総生産(GDP)改定値を算出する基礎となるソフトウエアを除く全産業の設備投資額(金融業、保険業を含む)は、前年同期比で3.7%増だった。
全産業の売上高は前年同期比10.4%増の314兆4060億円で、うち製造業が20.1%増、非製造業は6.8%増。経常利益は93.9%増の24兆736億円で、うち製造業が2.6倍、非製造業は64.2%増だった。
今回の結果は、8日公表の4~6月期のGDP改定値に反映される。

いつもながら、コンパクトによく取りまとめられた記事だという気がしますが、やや長くなってしまいました。次に、法人企業統計のヘッドラインに当たる売上高と経常利益と設備投資をプロットしたのが下のグラフです。色分けは凡例の通りです。ただし、グラフは季節調整済みの系列をプロットしています。季節調整していない原系列で記述された引用記事と少し印象が異なるかもしれません。影を付けた部分は景気後退期なんですが、直近の2020年5月ないし4~6月期を直近の景気の谷として暫定的にこのブログのローカルルールで同定しています。

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ということで、法人企業統計の結果を短く表現すると、企業活動や企業業績はかなりの程度に回復が見られる、ということになろうかと思います。加えて、世界の景気回復の恩恵を受ける製造業と首都圏や関西圏をはじめとする緊急事態宣言を受けた国内景気の停滞の影響が強い非製造業の違いが、従来よりもさらに鮮明になった気がします。引用した記事の季節調整していない原系列の前年同期比の計数とはかなり印象が異なりますが、いずれも季節調整済みの系列やその前期比で見て、売上高は製造業が+2.0%増と4四半期連続の増収であったのに対して、非製造業は▲0.9%と2四半期連続の減収でしたし、経常利益も製造業がこれまた4四半期連続で+7.4%増の増益を記録したのに対して、非製造業は逆に▲1.9%減の減益に陥っています。加えて、非製造業では売上高の減収以上に減益であったのは、非製造業における企業活動の停滞を示唆していると私は受け止めています。ただし、製造業と非製造業を合算した全産業レベルで見て、経常利益水準は1~3月期の20兆6292億円に続いて、4~6月期も20兆9918億円に達して20兆円を超え、景気後退局面に入ったり、COVID-19パンデミックの拡大の前の2019年1~3月期の22兆8391億円や4~6月期の20兆2490億円の水準にほぼほぼ回帰しています。企業活動のひとつの重要な指標である経常利益では景気後退局面入りする前の水準に企業活動水準は復活している点は見落とすべきではありません。さらに、設備投資も今年2021年1~3月期の前期比+0.8%増に続いて、4~6月期も2四半期連続の前期比プラスの+3.2%増と増加が加速しているように見えます。本日公表された法人企業統計だけでなく、例えば、8月5日に明らかにされた日本政策投資銀行の「2021年度設備投資計画」の調査結果でも、2021年度の国内設備投資計画は前年度比+12.6%増となっていて、設備投資の増加傾向が示唆されています。ただ、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響による2020年度の大きな設備投資の落ち込みの反動という面もあり、加えて、注意が必要な点があります。

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続いて、上のグラフは私の方で擬似的に試算した労働分配率及び設備投資とキャッシュフローの比率、さらに、利益剰余金をプロットしています。労働分配率は分子が人件費、分母は経常利益と人件費と減価償却費の和です。特別損益は無視しています。また、キャッシュフローは法人に対する実効税率を50%と仮置きして経常利益の半分と減価償却費の和でキャッシュフローを算出した上で、このキャッシュフローを分母に、分子はいうまでもなく設備投資そのものです。見れば明らかなんですが、労働分配率とともに設備投資/キャッシュフロー比率が大きく低下を示しています。すなわち、設備投資は季節調整済みの前期比で+3.2%増と伸びが加速しているように見えているものの、実は、キャッシュフローほどには設備投資は増加していない点には注意が必要です。他方で、ストック指標なので評価に注意が必要とはいえ、利益剰余金も伸び悩みが続いています。労働分配率が大きく低下していることから、賃金に回しているわけではなく、キャッシュフローほどには設備投資も伸びていない中、やや不思議な現象だと私は受け止めています。

最後に、本日の法人企業統計を受けて、来週9月8日に内閣府から4~6月期のGDP統計速報2次QEが公表される予定となっています。私は1次QEから設備投資を中心に上方修正されるであろうと考えています。2次QE予想については、また、日を改めて取り上げたいと思います。

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