明後日公表予定の4-6月紀GDP統計速報2次QEはわずかに上方修正か?
必要な統計がほぼ出そろって、今週水曜日の9月8日に4~6月期GDP統計速報2次QEが内閣府より公表される予定となっています。若年層などへのワクチン接種がなかなか進まない中で、東京オリンピック・パラリンピックを強行開催し、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)パンデミックがまたまた拡大して、足元から先行きの経済がとても気にかかるところですが、取りあえず、シンクタンクなどによる2次QE予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、web 上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下の表の通りです。ヘッドラインの欄は私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しています。可能な範囲で、足元の4~6月期から先行きの景気動向について重視して拾おうとしています。緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が出たり解除されたり、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の動向は、ワクチン接種の行く方とともに、極めて不透明となっており、そういった影響も気にかかるところです。伝統的に、2次QEは法人企業統計のオマケで予想されることも少なくなく、ほとんどのシンクタンクで先行きについては取り上げていません。先行きについて明確に数字を上げて言及があるのは、みずほリサーチ&テクノロジーズと第一生命経済研の2機関だけでした。特に、前者のみずほリサーチ&テクノロジーズについては、リポートに詳細な解説があるので、ご興味ある向きは参照できるかと思います。いずれにせよ、詳細な情報にご興味ある向きは一番左の列の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで でクリックしてみましょう。本人が知らないうちにAcrobat Reader がインストールしてあってリポートが読めるかもしれません。
機関名 | 実質GDP成長率 (前期比年率) | ヘッドライン |
内閣府1次QE | +0.3% (+1.3%) | n.a. |
日本総研 | +0.3% (+1.4%) | 4~6月期の実質GDP(2次QE)は、設備投資が上方修正される見込み。その結果、成長率は前期比年率+1.4%(前期比+0.3%)と、1次QE(前期比年率+1.3%、前期比+0.3%)から小幅に上方修正される見込み。 |
大和総研 | +0.4% (+1.8%) | 2021年4-6月期GDP2次速報(9月8日公表予定)では、実質GDP成長率が前期比年率+1.8%と、1次速報(同+1.3%)から上方修正されると予想する。 |
みずほリサーチ&テクノロジーズ | +0.4% (+1.7%) | 7~9月期は、輸出や設備投資の増加基調が続く一方、デルタ型変異株の感染拡大を受けて個人消費が低迷。半導体の供給不足や東南アジアからの部品供給減も下押しし、0%近傍の弱い伸びを予想 |
ニッセイ基礎研 | +0.4% (+1.6%) | 9/8公表予定の21年4-6月期GDP2次速報では、実質GDPが前期比0.4%(前期比年率1.6%)となり、1次速報の前期比0.3%(前期比年率1.3%)から上方修正されると予想する。 |
第一生命経済研 | +0.4% (+1.5%) | 7-9月期も停滞感の強い状態が継続するとみられる。感染者数の急増と緊急事態宣言の影響を受け、8-9月の個人消費は下振れる可能性が高い。輸出や設備投資の増加が下支えになるものの、消費の落ち込みが響くことで、7-9月期のGDP成長率はゼロ近傍にとどまると現時点で予想している。 |
伊藤忠総研 | +0.3% (+1.0%) | 今後は、経済が正常化するにつれて雇用が拡大、労働時間が長期化し、労働需給はタイト化、賃金上昇圧力も高まって、人件費の上昇ペースは加速していくとみられる。こうした動きは、個人消費回復の追い風となろう。 |
三菱UFJリサーチ&コンサルティング | +0.5% (+2.0%) | 2021年4~6月期の実質GDP成長率(2次速報値)は、前期比+0.5%と1次速報値の同+0.3%から上方に修正される見込みである(年率換算では+1.3%から+2.0%に上方修正)。 |
三菱総研 | +0.6% (+2.3%) | 2021年4-6月期の実質GDP成長率は、季調済前期比+0.6%(年率+2.3%)と、1次速報値(同+0.3%(年率+1.3%))から上方修正を予測する。 |
伊藤忠総研だけを例外として、他のシンクタンクは押並べて1次QEから上方修正されると予想しています。基本的には、法人企業統計に従って設備投資が上方改定されるためです。ただ、景気認識として大きな修正は必要ないという点でも、ほぼほぼ一致しているように見受けました。また、4~6月期は一定のプラス成長を記録するとしても、明確な数字を上げていたみずほリサーチ&テクノロジーズと第一生命経済研の2機関は、7~9月期の成長率はゼロ近傍に低下すると見込んでいます。輸出や設備投資が経済を下支えするとしても、COVID-19パンデミックによる緊急事態宣言などにより消費が落ち込むという見方です。これについても、現時点で、エコノミストの間で一定のコンセンサスがあるような気がします。
最後に、下のグラフは、みずほリサーチ&テクノロジーズのリポートから引用しています。
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