+5%超の上昇を続ける企業物価(PPI)の国内物価の先行きやいかん?
本日、日銀から8月の企業物価 (PPI) が公表されています。ヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は+5.6%を記録しています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を手短に引用すると以下の通りです。
8月の企業物価指数、前年比5.5%上昇 前月比横ばい
日銀が13日発表した8月の国内企業物価指数(2015年平均=100)は105.8で前年同月比で5.5%上昇、前月比で横ばいだった。市場予想の中心は前年比5.6%上昇だった。
円ベースで輸出物価は前年比10.9%上昇、前月比で0.2%下落した。輸入物価は前年比29.2%上昇、前月比で1.8%上昇した。
とてもコンパクトに取りまとめられています。続いて、企業物価(PPI)上昇率のグラフは下の通りです。上のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率を、下は需要段階別の上昇率を、それぞれプロットしています。また、影を付けた部分は景気後退期であり、2020年5月を直近の景気の谷として暫定的にこのブログのローカルルールで同定しています。

このところ、順調に足元で物価が下げ止まりつつあると私は評価しています。引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスではPPIのヘッドラインとなる国内物価の前年同月比で+5.6%の上昇と予想されていましたからほぼジャストミートした印象です。国際商品市況における石油をはじめとする資源価格の上昇に起因するとはいえ、このところ、順調に物価上昇率が拡大していると私は受け止めています。もっとも、この動きが一巡すれば上昇率で計測した物価も元に戻ることは覚悟せねばなりません。ということで、国内物価について品目別で前年同月比を少し詳しく見ると、木材・木製品が+40.4%、石油・石炭製品が+31.5%、非鉄金属が+28.0%、鉄鋼+13.1%、化学製品+12.2%などが2ケタ上昇となっています。ただし、鉄鋼と化学製品を除く類別については、直近で利用可能な8月統計の上昇率は前月7月統計を下回っており、前年同月比上昇率で見ればピークアウトしつつある印象を私は持っています。この点については、季節調整していない原系列の統計ながら、前月比が横ばいだったことから明らかであろうと思います。基本的に、国際商品市況における石油ほかの1次産品価格の上昇とともに、中国をはじめとする新興国における景気回復に伴って、基礎的な資源価格の上昇が背景にあると考えるべきです。

また、本日、財務省から7~9月期の法人企業景気予測調査が公表されています。統計のヘッドラインとなる大企業全産業の景況判断指数(BSI)は足元7~9月期で+3.3、続く10~12月期で+6.8でした。いつものグラフだけ、上の通りです。さて、10月1日に公表される予定の9月調査の日銀短観やいかに?
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