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2021年9月 7日 (火)

5か月連続で「拡大」続く景気動向指数の先行きをどう見るか?

本日、内閣府から7月の景気動向指数公表されています。CI先行指数が前月から▲0..5ポイント下降して104.1を示し、CI一致指数も前月から▲0.1ポイント下降して94.5を記録しています。まず、統計のヘッドラインを手短に報じる記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。

7月の景気一致指数、2カ月ぶり低下 半導体や部品不足響く
内閣府が7日発表した7月の景気動向指数(CI、2015年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比0.1ポイント低下の94.5となった。低下は2カ月ぶり。QUICKがまとめた市場予想の中央値と同じだった。世界的な半導体不足やアジアの新型コロナウイルス感染拡大に伴う部品不足で自動車生産が低調に推移し、指数を押し下げた。
一致指数を構成する10指標で公表済みの8指標のうち、5つがマイナス、3つがプラスに寄与した。自動車工業や電気・情報通信機械工業などが低下し「生産指数(鉱工業)」が2カ月ぶりに低下した。アジアや米国向けの輸出が減少し「輸出数量指数」も2カ月ぶりに低下した。一方、夏物衣料の好調で「商業販売額(小売業)」は上昇した。
一致指数の動きから機械的に求める基調判断は、景気拡張の可能性が高いことを示す「改善」で据え置いた。「改善」の判断は5カ月連続。
数カ月後の景気を示す先行指数は前月比0.5ポイント低下の104.1と、2カ月ぶりに低下した。無機・有機化学工業や電気・情報通信機械工業の出荷の伸びが低調で在庫率が上がり「鉱工業用生産財在庫率指数」が低下した。
景気の現状に数カ月遅れて動く遅行指数は前月比0.2ポイント低下の93.8で、2カ月ぶりに低下した。
CIは指数を構成する経済指標の動きを統合して算出する。月ごとの景気動向の大きさやテンポを表し、景気の現状を暫定的に示す。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、景気動向指数のグラフは下の通りです。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しているんですが、直近の2020年5月を景気の谷として暫定的にこのブログのローカルルールで勝手に同定しています。

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ということで、引用した記事にもあるように、統計作成官庁である内閣府では、3月に基調判断を上方改定して、今月も5か月連続で「改善」に据え置きとなっています。基準がどうなっているかというと、「3か月後方移動平均が3か月連続して上昇していて、当月の前月差の符号がプラス」ですから、後者の当月の前月差はマイナスに転化し、3か月後方移動平均も7月統計ではマイナスとなっているので、やや不思議な気もします。3か月後方移動平均がマイナスになっているのですから、「足踏み」ではないか、と私は考えます。ただし、あくまで「原則」であって、「足踏み」には加えて、「マイナス幅(1か月、2か月または3か月の累積)が1標準偏差分以上」という基準もありますので、マイナス幅がこの標準偏差まで達していないのであろうと考えています。
7月統計について、CI一致指数を詳しく見ると、マイナスの寄与が大きい順に、生産指数(鉱工業)、 輸出数量指数、商業販売額(卸売業)(前年同月比)などのマイナス寄与が大きくなっています。逆に、プラス寄与を見ると、 有効求人倍率(除学卒)、商業販売額(小売業)(前年同月比)、耐久消費財出荷指数が押し上げ要因となっています。すなわち、雇用については人口動態に従って人手不足が続いているようですが、それ以外は、輸出や輸出に牽引される生産が、相変わらず、景気のリード役となっている姿が浮かび上がります。そして、その生産については、半導体の供給制約とアジアにおける新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染拡大に伴う部品不足が自動車工業の先行きに影を落としています。我が国の基幹産業であるだけに今後の動向が注目されます。

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