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2021年10月12日 (火)

上昇率を高める企業物価指数(PPI)の先行きをどう見るか?

本日、日銀から9月の企業物価 (PPI) が公表されています。ヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は+6.3%まで上昇幅が拡大しました。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を手短に引用すると以下の通りです。

9月の企業物価指数、前年比6.3%上昇 前月比0.3%上昇
日銀が12日発表した9月の国内企業物価指数(2015年平均=100)は106.4で前年同月比で6.3%上昇、前月比で0.3%上昇だった。市場予想の中心は前年比5.9%上昇だった。
円ベースで輸出物価は前年比11.0%上昇、前月比で0.3%上昇した。輸入物価は前年比31.3%上昇、前月比で1.1%上昇した。

とてもコンパクトに取りまとめられています。続いて、企業物価(PPI)上昇率のグラフは下の通りです。上のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率を、下は需要段階別の上昇率を、それぞれプロットしています。また、影を付けた部分は景気後退期であり、2020年5月を直近の景気の谷として暫定的にこのブログのローカルルールで同定しています。

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このところ、消費者物価指数(CPI)でみても、本日公表の企業物価指数(PPI)でみても、いずれも、順調に足元で物価が下げ止まりつつあると私は評価しています。引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスではPPIのヘッドラインとなる国内物価の前年同月比で+5.9%の上昇と予想されていましたからやや上振れた印象です。国際商品市況における石油をはじめとする資源価格の上昇に起因するとはいえ、このところ、順調に物価上昇率が拡大しています。もっとも、この動きが一巡すれば上昇率で計測した物価も元に戻ることは覚悟せねばなりません。ということで、国内物価について品目別で前年同月比を少し詳しく見ると、木材・木製品が+48.3%、石油・石炭製品が+32.4%、非鉄金属が+27.0%、鉄鋼+17.8%、化学製品+12.7%などが2ケタ上昇となっています。ただし、これら品目の上昇幅拡大の背景にある原油価格の前年同月比上昇率は、今年2021年5月の+238.8%をピークに、6月+173.2%、7月+102.8%、8月+68.6%と来て、最新の9月統計では+63.3%ですから、前年同月比上昇率で見ればピークアウトに向かっている印象を私は持っています。繰り返しになりますが、基本的に、国際商品市況における石油ほかの1次産品をはじめとして、中国などの新興国における景気回復に伴って、基礎的な資源価格の上昇が背景にあると考えるべきです。つまり、必ずしも日本ではなく世界のほかの国の景気回復により、我が国の物価が上昇幅を拡大している、というわけなのかもしれません。

なお、昨夜、ノーベル経済学賞の受賞者が明らかにされています。以下の3人です。

  • David Card, University of California, Berkeley for his empirical contributions to labour economics
  • Joshua D. Angrist, Massachusetts Institute of Technology (MIT) and Guido W. Imbens, Stanford University for their methodological contributions to the analysis of causal relationships

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