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2021年10月30日 (土)

今週の読書は大恐慌に学ぶ経済書のほか計2冊にとどまる!!!

今週の読書は、昨日取り上げた河﨑信樹・河音琢郎・藤木剛康[編著]『現代アメリカ政治経済入門』(ミネルヴァ書房)に加えて、恒例の本日土曜日では、米国の大恐慌時のエピソードを集めた経済書と新書の2冊だけでした。以下の通りです。それから、いつもお示ししている本年の読書の進行ですが、このブログで取り上げた新刊書だけで、1~3月期に56冊、4~6月も同じく56冊、7~9月で69冊と夏休みの時期があって少しペースアップし、さらに、先週までの10月分が17冊に、昨日・今日と取り上げた3冊を加えて、合計197冊になりました。年間予想の200冊を超えるのは時間の問題かと思います。

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まず、玉手義朗『大恐慌の勝者たち』(日経BP) です。著者は、外為ディーラーなどの経験のあるジャーナリストであり、TBSのデスクなどを務めていたりします。タイトル通り、本書では、1929年10月24日の暗黒の木曜日に始まる世界大恐慌においても、がっちり稼いだ投資家や事業家などのエピソードを、CASE1~12の12人紹介しています。最初は、ケネディ家の「王朝の創始者」ジョセフ P. ケネディであり、靴磨きの少年がお買い得の株の話をし始めたので、大暴落の前に手仕舞って損失を免れた、という余りにも有名なエピソードから始まります。ほかにも、バリュー株への投資、あるいは、事業会社ではホテル王ヒルトンや石油王ゲティ、映画のディズニー、はたまた、ケインズ的な政策を実践した日本の高橋是清などを取り上げています。ただ、最後の政策編では、高橋是清や米国のローズベルトなどとともにヒトラーが経済政策面で称賛されていて、しかも、大恐慌下では民主主義よりも独裁政権の方が恐慌脱出には効率的と取れる表現もあり、私はやや不愉快な気もしました。経済学を大学で教える身としても、下部構造といわれていても、経済が国民生活のすべてではありません。恐慌や不況克服には独裁制の方が好ましいかもしれませんが、たとえそうであっても、民主主義を選択するのが私の考え方である点は強く指摘しておきたいと思います。

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次に、いきなり最後で、塩田潮『解剖 日本維新の会』(平凡社新書) です。著者は、団塊の世代に属するノンフィクション作家であり、私は大昔の『霞が関が震えた日』に強く感銘した記憶があります。本書はタイトルそのままであり、総選挙まっただ中の日本維新の会について取りまとめています。この平凡社新書のシリーズでは青木理の『日本会議の正体』なんて、とても批判的な方向からのノンフィクションもあるのですが、本書については、事実を多く並べてはいるものの、基本的に、提灯持ちの方向であると私は考えています。例えば、最後のインタビューはすべて維新の会の関係者ばかりですし、インタビューアーの著者が維新の会の政策をホメていたりします。日本維新の会は、「大阪都構想」や地方自治体の改革志向が本質なのではなく、その成り立ちが大阪の自民党から分派したものであり、ハッキリと、政権与党の別働隊、あるいは、補完勢力と考えるべきです。読者は、本日取り上げた2冊はいずれも、それなりの批判的な精神をもって読み進む必要あるかもしれません。

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