予想を下回る大きなマイナスを記録した8月機械受注の先行きをどう見るか?
本日、内閣府から8月の機械受注が公表されています。統計のヘッドラインとなる変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注が、季節調整済みの系列で見て前月比+0.9%増の8597億円を示しています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じた記事を引用すると以下の通りです。
8月の機械受注、前月比2.4%減 市場予想は1.7%増
内閣府が13日発表した8月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の受注額(季節調整済み)は前月比2.4%減の8393億円だった。QUICKがまとめた民間予測の中央値は1.7%増だった。
製造業は13.4%減、非製造業は7.1%増だった。前年同月比での「船舶・電力を除く民需」受注額(原数値)は17.0%増だった。内閣府は基調判断を「持ち直しの動きに足踏みがみられる」に変更した。
機械受注は機械メーカー280社が受注した生産設備用機械の金額を集計した統計。受注した機械は6カ月ほど後に納入されて設備投資額に計上されるため、設備投資の先行きを示す指標となる。
いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、機械受注のグラフは下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影を付けた部分は景気後退期なんですが、このブログのローカルルールにより勝手に直近の2020年5月を景気の谷として暫定的に同定しています。

引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスによれば、船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注で見て、前月比で+1.7%増でしたので、実績の▲2.4%減は、レンジの下限▲0.4%も下回っていて、大きく下振れた印象があります。特に、3か月前の5月+7.8%増の後、6月▲1.5%減とリバウンド小さく、7月も+0.9%増の後の8月統計の▲2.4%減ですから、まあ、何と申しましょうかで、横ばい圏内から大きく下振れたわけではなく、先行きを悲観する必要も小さい、と私は考えています。上のグラフのうちの上のパネルの6か月後方移動平均の太線から見ても、横ばいないしややプラスと思います。ですから、引用した記事にあるように、統計作成官庁である内閣府が基調判断を「持ち直しの動きに足踏み」と半ノッチ引き下げるまでの必要があったかどうかはやや疑問です。加えて、業種別に見ても、製造業は前月比▲13.4%減に対して、非製造業は+7.1%ぞうですから、明らかに、半導体の供給制約による自動車生産の停滞の影響によるマイナスであり、我が国のリーディング産業のひとつである自動車の動向は気にかかりますが、現在の落ち込みは一時的なものであり、より少し長い目で見るとペントアップの挽回生産も含めて、増加に向かう可能性は十分あると私は考えています。
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