ご寄贈いただいた『現代アメリカ政治経済入門』(ミネルヴァ書房) を読む!!!
ご寄贈いただいた河﨑信樹・河音琢郎・藤木剛康[編著]『現代アメリカ政治経済入門』(ミネルヴァ書房) を往復の新幹線で読みました。3人の編著者のうちの1人が、私の勤務する大学の学部長だったりします。なお、この編著者は3人とも関西にある大学の研究者なのですが、チャプターごとの著者の中には関西圏以外の研究者も入っていたりします。出版社からして学術書なのですが、明確に「社会科学系学部の2~3回生を対象」とされていますので、通常のビジネスパーソンにもそう難しくなく読みこなせるのではないかと思います。3部構成であり、経済、政治・政策、国際関係の順となっています。
実は、私は平成元年1989年版でまだ当時存在していた『世界経済白書』を役所で、担当課のアメリカ班長として執筆しています。その準備でもないのですが、白書作成の直前には米国の中央銀行である連邦準備制度理事会(FED)のリサーチ・アシスタントもごく短期間ながら経験していたりします。ですから、30年余り前には霞が関の狭い社会では米国経済のオーソリティと見なされていたのかもしれません。
特に、私が田舎の大学に勤務していることもあって、私の知る限り、こういった米国の政治経済に関する解説書はとても貴重といえます。例えば、三菱総研によるIMD「世界競争力年鑑2021」の解説によれば、世界64か国を対象とした競争力のランキングで、日本は真ん中へんの総合31位である一方で、個別項目での日本の順位がラストの64位となっているクラスター項目は、「企業の意思決定の迅速性」、「国際基準から見た中小企業の効率性」、「管理職の国際経験」、「高齢化」、「対内直接投資ストック(対GDP比)」の5項目となっています。あれほど強く指摘される「財政赤字(対GDP比)」ですら59位にとどまっているにもかかわらず、「管理職の国際経験」は64か国中の64位とドンジリだったりするわけで、実は、私の見る限り、大学教員でも企業経営者とご同樣、ないしかなり近い、という気がしなくもないのですが、それは別としても、繰り返しになるものの、留学や海外勤務は誰でも経験できるわけではありませんから、こういった米国の政治経済に関する解説書は国際経験を補うためにも貴重といえます。
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