8か月連続で上昇を記録した企業向けサービス価格指数(SPPI)をどう見るか?
本日、日銀から10月の企業向けサービス価格指数 (SPPI)が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、ヘッドラインSPPIの前年同月比上昇率は+1.0%を記録し、変動の大きな国際運輸を除く平均も+0.6%の上昇を示しています。国際商品市況における石油価格の上昇がジワジワと波及している印象です。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を手短に引用すると以下の通りです。
企業向けサービス価格1.0%上昇
日銀が25日発表した10月の企業向けサービス価格指数(2015年平均=100)は105.4で、前年同月比1.0%上昇した。前年比のプラスは8カ月連続。国際輸送の価格上昇や宿泊サービス価格の下げ幅縮小などが寄与し、2001年11月以来およそ20年ぶりの高水準だった。
恐ろしいほどコンパクトに取りまとめられた記事だという気がします。続いて、企業向けサービス物価指数(SPPI)のグラフは下の通りです。上のパネルはヘッドラインのサービス物価(SPPI)上昇率及び変動の大きな国際運輸を除くコアSPPI上昇率とともに、企業物価(PPI)の国内物価上昇率もプロットしてあり、下のパネルは日銀の公表資料の1枚目のグラフをマネして、国内価格のとサービス価格のそれぞれの指数水準をそのままプロットしています。企業向けサービス物価指数(SPPI)が着実に上昇トレンドにあるのが見て取れます。いずれも、影を付けた部分は景気後退期なんですが、このブログのローカルルールで直近の2020年5月を景気の谷として暫定的に同定しています。

上のグラフで見ても明らかな通り、企業向けサービス価格指数(SPPI)の前年同月比上昇率の最近の推移は、昨年の新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響により、石油価格が大きく下落した2020年5月の反動で、今年2021年5月に+1.5%を記録した後、6月+1.2%、7月+1.1%、8月+1.0%、9月+0.9%、そして、直近で統計が利用可能な10月には+1.0%の上昇となっています。8か月連続の上昇を記録しているわけです。基本的には、石油をはじめとする国際商品市況の上昇がサービス価格にも波及していると私は考えています。もちろん、昨年のCOVID-19による影響からの反動という面も残っています。もう少し詳しく、SPPIの大類別に基づく10月統計のヘッドライン上昇率+1.0%への寄与度で見ると、石油価格の影響が強い運輸・郵便が+0.42%、景気に敏感なテレビ広告をはじめとする広告が+0.29%、土木建築サービスなどの諸サービスが+0.16%、などとなっています。前年同月比上昇率でも、特に、広告はテレビ広告の+10.4%、インターネット広告+8.7%などをはじめとして広告全体で+6.1%の上昇を示しています。昨年のCOVID-19による経済への影響の反動が含まれているとはいえ、景気に敏感な広告の上昇率が高いのはひとつの特徴かと考えています。加えて、石油価格の影響を強く受ける運輸・郵便も+2.7%の上昇率です。
| 固定リンク
コメント