基調判断が「足踏み」に下方修正された9月の景気動向指数を考える!!!
本日、内閣府から9月の景気動向指数公表されています。CI先行指数が前月から▲1.6ポイント下降して99.7を示し、CI一致指数も前月から▲3.8ポイント下降して87.5を記録しています。まず、統計のヘッドラインを手短に報じる記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。
9月の景気一致指数、3.8ポイント低下 市場予想3.8ポイント低下
内閣府が8日発表した9月の景気動向指数(CI、2015年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比3.8ポイント低下の87.5となった。QUICKがまとめた市場予想の中央値は3.8ポイント低下だった。数カ月後の景気を示す先行指数は1.6ポイント低下の99.7だった。
内閣府は、一致指数の動きから機械的に求める景気の基調判断を「足踏み」と、前月の「改善」から変更した。
CIは指数を構成する経済指標の動きを統合して算出する。月ごとの景気変動の大きさやテンポを示す。
いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、景気動向指数のグラフは下の通りです。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しているんですが、直近の2020年5月を景気の谷として暫定的にこのブログのローカルルールで勝手に同定しています。

ということで、統計作成官庁である内閣府では、3月に基調判断を上方改定して、8月統計まで6か月連続で「改善」に据え置いた後、引用した記事にもあるように、本日公表の9月統計から「足踏み」に下方修正しています。明確に1ノッチ下げたわけです。基準がどうなっているかというと、「3か月後方移動平均が3か月連続して上昇していて、当月の前月差の符号がプラス」となっています。8月統計からすでに3か月後方移動平均がマイナスになっていたのですから、1か月前から「足踏み」ではなかったのか、と私は考えます。かなり機械的に判断を下すシステムですので、まさか、総選挙が近いので「改善」の看板を続けた、ということはないのだろうと私は考えています。
9月統計について、CI一致指数を詳しく見ると、マイナスの寄与が大きい順に、耐久消費財出荷指数、鉱工業用生産財出荷指数、輸出数量指数、生産指数(鉱工業)などの系列でマイナス寄与が大きくなっています。逆に、プラス寄与はトレンド成分で仮り置きしてある営業利益(全産業)のほかは、有効求人倍率だけしかありません。加えて、統計には反映されていないものの、生産や輸出については、半導体の供給制約とアジアにおける新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染拡大に伴う部品不足が自動車工業の先行きに影を落としています。我が国の基幹産業であるだけに今後の動向が懸念されます。
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