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2021年12月19日 (日)

年末年始休みの読書案内

昨年から大学の教員に再就職して、今年も経済に関する新書の年末年始の読書案内を学生諸君に差し上げています。すべて出版社のサイトからの引用ですが、今年は全部で10冊、以下の通りです。

年末年始休みの読書案内
  1. 吉川洋 『人口と日本経済: 長寿、イノベーション、経済成長』 (中公新書)
    (出版社のサイトから)
    人口減少が進み、働き手が減っていく日本。財政赤字は拡大の一途をたどり、地方は「消滅」の危機にある。もはや衰退は不可避ではないか――。そんな思い込みに対し、長く人口問題と格闘してきた経済学は「否」と答える。経済成長の鍵を握るのはイノベーションであり、日本が世界有数の長寿国であることこそチャンスなのだ。日本に蔓延する「人口減少ペシミズム(悲観論)」を排し、日本経済の本当の課題に迫る。
  2. 福田慎一 『21世紀の長期停滞論: 日本の「実感なき景気回復」を探る』 (平凡社新書)
    (出版社のサイトから)
    21世紀型の長期停滞は、本来の実力より低いGDP水準に加え、「低インフレ」「低金利」状態が長期にわたって続くという特徴を持つ。
    日本では、アベノミクス以降、雇用関連など力強い経済指標は存在するが、賃金の上昇は限定的で、物価上昇の足取りも依然として重い。さらに、少子高齢化や財政赤字の拡大など懸念が増す一方である。
    日々高まる経済の現状への閉塞感から脱却するためにも、その原因を丁寧に検証し、根本的な解決策を探る。
  3. 斎藤幸平 『人新世の「資本論」』 (集英社新書)
    (出版社のサイトから)
    人類の経済活動が地球を破壊する「人新世」=環境危機の時代。
    気候変動を放置すれば、この社会は野蛮状態に陥るだろう。
    それを阻止するには資本主義の際限なき利潤追求を止めなければならないが、資本主義を捨てた文明に繁栄などありうるのか。
    いや、危機の解決策はある。
    ヒントは、著者が発掘した晩期マルクスの思想の中に眠っていた。
    世界的に注目を浴びる俊英が、豊かな未来社会への道筋を具体的に描きだす!
  4. 宮崎勇ほか 『日本経済図説 第5版』 (岩波新書)
    (出版社のサイトから)
    経済発展の軌跡、国土と人口、産業構造、労働、金融、財政、国際収支、国民生活まで幅広く日本経済の実態を点検できる定番図説の改訂版。日銀の金融緩和策とアベノミクス、米中貿易戦争、パンデミック下で迫られるデジタルトランスフォーメーション、脱炭素化などの構造変革など、2013年の第4版以降の激変を加味した。
  5. 橘木俊詔 『日本の構造』 (講談社現代新書)
    (出版社のサイトから)
    ・男女間、役職者と一般社員、正規と非正規、大卒と高卒……、賃金格差は?
    ・なぜ日本の開廃業率は他国の3分の1しかないのか?
    ・高年収家庭は低年収家庭の3倍、学校外教育費に支出
    ・60代後半の就業率、男性は50%超、女性は30%超
    ・社会保障給付、高齢者・遺族への給付が51.2%
    ・なぜ日本では必要な人の10~20%しか生活保護を申請しないのか?
    ・資産額5億円以上は8.7万世帯
    ・東京の地方税収入は長崎県の2.3倍
    ・学力調査トップは秋田県と北陸3県……
    数字からいまの日本が浮かび上がる!
  6. 竹下隆一郎 『SDGsがひらくビジネス新時代』 (ちくま新書)
    (出版社のサイトから)
    SDGsの時代が始まっている。「働きがいも経済成長も」「ジェンダー平等を実現しよう」など一七の目標からなるSDGsに取り組む企業が増えてきた。消費者たちもSNSを通じて自らの価値観を積極的に発信し、企業はその声を無視できなくなっている。そして企業側も、SNSを通じて自らの社会的価値を発信するようになってきた。こうした流れは今、巨大なうねりとなって世界を変えようとしている。経営トップから「SDGs市民」まで幅広く取材し、現代社会が、そしてビジネスがどこへ向かおうとしているのか、鋭く考察。学生からビジネスパーソンまで必読の書!
  7. 永濱利廣 『経済危機はいつまで続くか』 (平凡社新書)
    (出版社のサイトから)
    新型コロナウイルスによるパンデミックによって、世界経済はリーマン・ショックを超える危機に見舞われている。大国アメリカが矢継ぎ早に大規模な経済対策を打ち出したことで、各国の経済は落ち着きを取り戻しつつある。だが日本の場合は、消費増税に加え、オリンピックの延期で内需はより悪化しているのだ。コロナ禍によって落ち込んだ景気は、どのタイミングで回復するのか。
    過去のデータや事例を駆使しながら、世界と日本経済のその後を予測する。
  8. 坂本貴志 『統計で考える働き方の未来: 高齢者が働き続ける国へ』 (ちくま新書)
    (出版社のサイトから)
    年金はもらえるのか?貯金はもつのか? 「悠々自適な老後」はあるのか? それとも、生活していくために死ぬまで働かなければいけないのか? 現在、将来の生活や仕事に対し、多くの人が不安を抱いている。しかし、本当に未来をそんなに不安に思う必要などあるのだろうか?本書は、労働の実態、高齢化や格差など日本社会の現状、賃金や社会保障制度の変遷等を統計データから分析することで、これからの日本人の働き方を考える。働き方の未来像を知るのに必読の一冊。
  9. 岩田規久男 『「日本型格差社会」からの脱出』 (光文社新書)
    (出版社のサイトから)
    1990年代以降、日本では格差が広がり続けている。例えば、非正規社員の増加は賃金格差を招き、ひいてはその子供世代の格差も助長している。さらに、世代ごとに受給額が下がる年金制度は、最大6000万円超の世代間格差のみならず、相続する子供・孫世代の世代内格差の原因に。所得再分配政策は、高齢者への社会保障に偏っており、現役世代の格差縮小にはほとんど寄与していない。
    そして、こうした格差はすべて、戦後、世界で日本しか経験していない長期デフレが根本にあり、そういった意味で他国とは異なる「日本型格差」といえる特徴的な格差である。では、この「日本型格差」を縮小し、成長を取り戻すにはどうすればよいのか。本書では、日銀副総裁を務めた著者が具体的な政策とともに提言。より生きやすい日本の未来を模索する。
  10. 森永卓郎 『グローバル資本主義の終わりとガンディーの経済学』 (集英社インターナショナル新書)
    (出版社のサイトから)
    行きつく先は破壊的な事態が生じるハードランディング!
    これから我々が標榜するのは、人と地球を救う経済学だ。 大型で猛烈な台風が次々と日本を襲う最大の理由は地球温暖化で海面温度が上昇しているから。温暖化は待ったなしだ。
    国連サミットのSDGs(持続可能な開発目標)の目標は格差をなくし地球を守ることだが、世界はこの理念とは真逆の方向に進んでいる。
    そこに新型コロナウイルスのパンデミックが追い打ちをかけ、グローバル資本主義の限界が露呈した。
    これから世界を救うのはガンディーの経済学だ。それは環境問題に加え、貧困や格差もなくす「隣人を助ける」原理である。

何ら、ご参考まで。

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コメント

楽しみにしておりました。1と2は、昨年読ませていただきましたが、勉強になりました。今度は3,4あたりを読もうと思いますが、4は人気らしく待ち行列が100人です。大学生になった気分で読みます。

投稿: kincyan | 2021年12月22日 (水) 10時18分

そうですか。
私は3の『人新世の「資本論」』が人気かと思っていました。
それから、ついつい順番が遅くなっていますが、森永さんの10『ガンディーの経済学』もよかったです。

投稿: ポケモンおとうさん | 2021年12月22日 (水) 23時01分

すいません。図書館で人気は3のことでした。10も正月休みのあいだに読んでみます。こちらは、すぐに予約できました。

投稿: kincyan | 2021年12月23日 (木) 04時28分

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