プラスの続く法人企業景気予測調査から何が読み取れるか?
本日、財務省から10~12月期の法人企業景気予測調査が公表されています。統計のヘッドラインとなる大企業全産業の景況判断指数(BSI)は足元10~12月期が+9.6と2期連続のプラス、さらに、続く来年2022年1~3月期も+7.2でプラスが続く見込みです。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
10-12月の大企業景況感、プラス9.6 22年1-3月はプラス7.2
財務省と内閣府が9日発表した法人企業景気予測調査によると、10~12月期の大企業全産業の景況判断指数(BSI)はプラス9.6だった。2期連続プラス、前回調査の7~9月期はプラス3.3だった。先行き2022年1~3月期の見通しはプラス7.2だった。
10~12月期は大企業のうち製造業がプラス7.9で、非製造業はプラス10.4だった。中小企業の全産業はマイナス3.0だった。
2021年度の設備投資見通しは前年度比5.3%増だった。前回調査では6.6%増だった。
景況判断指数は「上昇」と答えた企業と「下降」と答えた企業の割合の差から算出する。
いつものように、よく取りまとめられています。続いて、法人企業景気予測調査のヘッドラインとなる大企業の景況判断BSIのグラフは下の通りです。重なって少し見にくいかもしれませんが、赤と水色の折れ線の色分けは凡例の通り、濃い赤のラインが実績で、水色のラインが先行き予測です。影をつけた部分は、景気後退期を示しています。

この統計のヘッドラインとなる大企業全産業の景況判断指数(BSI)で見ると、2020年4~6月期に、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)パンデミックに対応した緊急事態宣言によるロックダウンの影響を受けて、▲47.6の大きなマイナスを記録しています。昨年2020年後半はリバウンドしたのですが、今年2021年に入って、COVID-19の感染拡大とともに、1~3月期▲4.5、4~6月期▲4.7と、2期連続でマイナスに陥り、東京オリンピック・パラリンピックの強行開催の影響が出ています。ようやく、7~9月期に+3.3、そして、足元の10~12月期に+9.6と回復しています。ただし、先行きは、来年2022年1~3月期は+7.2、そして、4~6月期も+3.8と低下していくと見込まれていますが、これはこの統計のクセのようなものだと私は受け止めています。少なくとも、COVID-19のオミクロン変異株の先行きが不透明なだけに、その前段階では企業マインドが一息ついているものと私は推察しています。
統計のヘッドラインとなる景況判断BSI以外の注目点を上げると、従業員数判断BSIから見た雇用は大企業、中堅企業、中小企業ともに「不足気味」超で推移しており、人手不足がうかがえます。また、本年度2021年度の設備投資計画は+5.3%増と、前回調査の+6.6%増からやや下方修正されたものの、設備投資増の方向が示されています。製造業+5.4%増、非製造業+5.3%増とほとんど差はありません。もちろん、COVID-19の感染拡大の抑制に伴う景気回復期待も大きいのでしょうが、この統計のクセのようなものも含まれている可能性が十分あると私は考えています。
さて、来週12月13日に公表される予定の12月調査の日銀短観やいかに?
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