帝国データバンクのリポート「原油価格の上昇が経済に与える影響」やいかに?
昨日1月24日に帝国データバンクから「原油価格の上昇が経済に与える影響」と第するリポートが明らかにされています。もちろん、pdfの全文リポートもアップされています。まず、帝国データバンクのサイトから調査結果を2点引用すると以下の通りです。
調査結果
- 原油価格が7年ぶりの水準に上昇、販売価格への転嫁が追い付かず
- 原油価格が2022年末までに100ドルへ上昇した場合、企業の経常利益が約1兆5530億円減少
帝国データバンクが毎月明らかにしている「TDB 景気動向調査」ではいくつかの指標を算出しており、その中に、仕入単価DIと販売単価DIというのがあります。下のグラフは販売単価DIを仕入れたんかDIで除して算出した価格添加の推移をプロットしています。この指標が1を超えると仕入れ価格以上に販売単価が上昇していることになり、その意味で、価格転嫁が進んでいるといえますが、逆に、1を割り込むと仕入れ価格ほどには販売価格に転嫁されていないということになります。

見れば明らかな通り、ガソリンスタンドにおける原油価格上昇のガソリン価格への転嫁率はおおむね90%台後半で推移していますが、それでも、全額を転嫁するには至っていません。ましてや、産業全体では、2021年中ほぼほぼ一貫して価格転嫁率が低下していました。そして、TDBマクロ経済予測モデルでシミュレーションした結果、もしも、2022年末に原油価格がCIF価格で1バレル当たり100ドルまで上昇すれば、燃料価格の上昇によるコスト負担の増加や家計の所得減少にともなう節約行動などにより、2022年度の民間企業の経常利益は▲1兆5530億円減少する、との試算結果も同時に示しています。
原油価格に関しては、日本はかなりの程度にプライス・テイカーの小国になりつつあります。ですから、政府として、原油価格に何らかの影響を及ぼそうとするのではなく、原油価格の上昇をスムーズに転嫁しデフレ脱却につなげる政策が必要と私は考えています。
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