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2022年1月18日 (火)

日銀「展望リポート」の物価に関するリスクは上下にバランスと評価!!!

昨日から開催されていた日銀金融政策決定会合が終了し、「展望リポート」が公表されています。報道などでは、気候変動対応の新制度が注目されていますが、金融政策決定会合の本旨である金融政策では、短期金利を▲0.1%、長期金利の指標になる10年物国債利回りを0%程度に誘導する長短金利操作=イールドカーブ・コントロールの維持を決定しています。加えて、私は経済見通しにより興味があります。ということで、2021~2023年度の政策委員の大勢見通しのテーブルを引用すると以下の通りです。なお、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で、引用元である日銀の「展望リポート」からお願いします。

  実質GDP消費者物価指数
(除く生鮮食品)
 2021年度+2.7 ~ +2.9
<+2.8>
0.0 ~ +0.1
< 0.0>
 10月時点の見通し+3.0 ~ +3.6
<+3.4>
0.0 ~ +0.2
< 0.0>
 2022年度+3.3 ~ +4.1
<+3.8>
+1.0 ~ +1.2
<+1.1>
 10月時点の見通し+2.7 ~ +3.0
<+2.9>
+0.8 ~ +1.0
<+0.9>
 2023年度+1.0 ~ +1.4
<+1.1>
+1.0 ~ +1.3
<+1.1>
 10月時点の見通し+1.2 ~ +1.4
<+1.3>
+0.9 ~ +1.2
<+1.0>

見れば明らかな通り、足元の2021年度については成長率見通しも、物価見通しも、小幅ながら引き下げられています。この背景には、足元での新型コロナウィルス感染症(COVID-19)のオミクロン変異株の感染拡大の経済的な負の効果がある一方で、海外、というか、国際商品市況における石油などの資源価格の上昇があります。日銀が公表している企業物価指数のヘッドラインとなる国内物価上昇率が2021年11~12月の統計では+10%近い上昇を記録していることは広く報じられている通りです。来年度2022年度になれば、消費者物価指数(CPI)への波及も起こることから、生鮮食品を除くコアCPIも一定の上昇率に達すると見込まれています。いつも、このブログで指摘してるように、金融政策よりも資源価格の方が国内物価への影響が大きいわけですから、金融政策当局の舵取りもタイヘンです。また、政策委員の経済・物価見通しとリスク評価のグラフを引用すると以下の通りであり、少し前までリスクは下方にあったように記憶していますが、昨年半ばからは、ほぼほぼリスクはニュートラルといえます。「展望リポート」でも、物価見通しについて、これまで「下振れリスクの方が大きい」としていたのですが、本日公表のリポートから「概ね上下にバランスしている」と修正しています。ついつい、見通しに注意を向けがちなのですが、こういったリスク評価も私は重要だと考えています。

photo

私自身も、先行き経済や物価の見通しについては、基本的に、日銀と同じ方向感覚を共有しており、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響が終息すれば、所得と需要の好循環が復活する可能性が十分あると考えています。しかし、最大のリスクは政府要因です。すなわち、大前提となるコロナ終息なんですが、コロナ終息の意思も能力もまったくなかった前政権よりは、現在の岸田内閣は少しマシではないかと期待するものの、3回目のブースター接種が先進各国の中で大幅に遅れているわけですし、すべからく、いろんな経済見通しがCOVID-19次第となっているので、何とも不透明です。

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