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2022年3月 3日 (木)

基調判断がさらに下方修正された2月の消費者態度指数をどう見るか?

本日、内閣府から2月の消費者態度指数が公表されています。前月から▲1.4ポイント低下の35.3を記録しています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じた記事を手短かに引用すると以下の通りです。

2月の消費者態度指数、1.4ポイント低下の35.3
内閣府が3日発表した2月の消費動向調査によると、消費者心理を示す一般世帯の消費者態度指数(季節調整値)は前月比1.4ポイント低下の35.3だった。
内閣府は消費者心理の基調判断を「足踏みがみられる」から「弱含んでいる」に下方修正した。
態度指数は消費者の「暮らし向き」など4項目について今後半年間の見通しを5段階評価で聞き、指数化したもの。全員が「良くなる」と回答すれば100に、「悪くなる」と答えれば「ゼロ」になる。

いつもの通り、よく取りまとめられている印象です。続いて、消費者態度指数のグラフは下の通りです。ピンクで示したやや薄い折れ線は訪問調査で実施され、最近時点のより濃い赤の折れ線は郵送調査で実施されています。影を付けた部分は景気後退期となっています。

photo

まず、消費者態度指数コンポーネントについて、前月差で見ると、「耐久消費財の買い時判断」が▲2.5ポイント低下し31.8、「暮らし向き」が▲1.4ポイント低下し35.4、「雇用環境」が▲0.8ポイント低下し35.9、「収入の増え方」が▲0.7ポイント低下し38.2と、すべてのコンポーネントが低下を記録しています。上のグラフを見ても明らかなように、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の新規感染者数が大きく減少していた昨年2021年10~12月期の時期から、今年2022年が明けて急降下で低下を示しています。従って、引用した記事にもある通り、統計作成官庁である内閣府でも基調判断を「足踏みがみられる」からさらに下方修正して「弱含んでいる」に変更しています。
おそらく、2月がCOVID-19のオミクロン型変異株の感染拡大のピークではなかったかという気がしますが、その後の新規感染者数もまだ現時点では高止まりしており、まだ、マインドが回復する段階にはないように私は受け止めています。ただし、前月から枕を並べて低下を示したとはいえ、消費者態度指数のコンポーネントを見ると、あくまで「ほかと比べて」という限定付きながら、収入や雇用環境の低下幅が小さいわけで、国民生活の基礎的な部分では底堅い印象も併せて伺えます。ただ、それにしては暮らし向きが悪化しているのはやや不思議な気もします。加えて、3月に入ってからロシアによるウクライナ侵攻の経済的影響として石油をはじめとする資源価格の高騰が進んでおり、おそらく、国民生活の実感としてはガソリン価格に集約されると思いますが、株式市場の動向とも合わせた形で、マインドにはネガな影響を及ぼすことは当然です。経済やマインドの先行きを考える場合、コロナとウクライナはともに重要なインパクトを有しているんですが、いずれもエコノミストには予想しがたい分野と私は考えています。

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