リクルートによる3月のアルバイト・パートと派遣スタッフの募集時平均時給やいかに?
来週火曜日の4月26日の雇用統計の公表を前に、ごく簡単に、リクルートによる3月のアルバイト・パートと派遣スタッフの募集時平均時給の調査結果を取り上げておきたいと思います。参照しているリポートは以下の通りです。計数は正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、以下の出典に直接当たって引用するようお願いします。

まず、いつものグラフは上の通りです。アルバイト・パートの時給の方は、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響などにより、停滞感ありながら底堅い印象で、前年同月比で見て、1月+0.9%増、2月+1.3%増の後、3月は+1.8%増となっています。ただし、昨年2020年9月に+2.6%増を記録してから、1年半ほど連続で伸び率が+2.0%を下回っています。他方、派遣スタッフの方は昨年2020年5月以降のデータが跳ねていたのですが、今年2021年5月からはそのリバウンドで元に戻っています。その後、昨年2021年12月にはとうとう▲0.5%減とマイナスになった後、今年2022年1月▲1.9%減、2月▲2.3%減、3月も▲2.4%減とマイナス幅を拡大しています。
まず、アルバイト・パートの平均時給の前年同月比上昇率は、繰り返しになりますが、3月には+1.8%を記録しています。人手不足がメディアで盛んに報じられていた一昨年2019年暮れから昨年2020年1~3月期のコロナ初期の+3%を超える伸び率から比べるとかなり低下してきている印象です。三大都市圏の3月度平均時給は前年同月より+1.8%、+19円増加の1,102円を記録しています。職種別では「営業系」(+115円、+8.7%)、「フード系」(+41円、+4.0%)、「事務系」(+34円、+2.9%)、「販売・サービス系」(+23円、+2.2%)、「製造・物流・清掃系」(+21円、+1.9%)、「専門職系」(+22円、+1.8%)、とすべての職種で増加を示しています。地域別でも関東・東海・関西のすべての地域でプラスとなっています。なお、すべての職種で、前年同月から+1.8%以上の伸びを示しているにもかかわらず、平均でも+1.8%増というのは、いわゆるシンプソン効果で、平均時給が低い職種の雇用が増加しているのだと推測しています。あるいは、何らかのバグがプログラムに入っている可能性も否定できません。
続いて、三大都市圏全体の派遣スタッフの平均時給は、2月は▲39円減少し、伸び率も▲2.3%減を記録しました。職種別では、「IT・技術系」(▲35円、▲1.6%)、「クリエイティブ系」(▲1円、▲0.1%)がマイナスを記録していますが、「オフィスワーク系」(+57円、+3.7%)、「営業・販売・サービス系」(+37円、+2.6%)、「医療介護・教育系」(+31円、+2.1%)、はプラスとなっています。派遣スタッフの5つのカテゴリを詳しく見ると、確かに、「IT・技術系」の時給だけが2,000円を超えていて、段違いに高いのは事実なのですが、「IT・技術系」の時給が前年同月比で▲35円減にとどまっている一方で、合計した派遣スタッフ全体の減少幅が▲41円であるのは、これもシンプソン効果なのかもしれませんが、何とも私には理解できません。これも、何らかのバグがプログラムに入っている可能性を排除できません。また、派遣スタッフの方はパート・アルバイトと違って地域別でも関東・東海・関西の3地域ともにマイナスを記録しています。
統計としての正確性は別に考えるとして、派遣スタッフはすでに時給上昇率がマイナスに転じ、アルバイト・パートも時給はジワジワと上昇幅を縮小し、非正規雇用のお給料はやや停滞し始めた気がします。3月のデータですので、どこまでウクライナ危機の影響が現れているかは不確かで、しかも、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染拡大防止のためのまん延防止等重点措置も3月21日まで解除されていませんでしたから、こんなものなのかもしれません。雇用については典型的には失業率などで景気動向に遅行するケースが少なくないとはいえ、人口動態から見た人手不足も解消されているわけではありません。それにもかかわらず、非正規雇用の賃金動向がやや停滞しているのは、私には謎です。
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