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2022年4月22日 (金)

来月公表の4月の消費者物価指数(CPI)はとうとう+2%に達するか?

本日、総務省統計局から3月の消費者物価指数 (CPI) が公表されています。CPIのうち生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPI上昇率は、季節調整していない原系列の統計で見て前年同月比で+0.8%を記録しています。物価上昇は7か月連続です。ただし、エネルギー価格の高騰に伴うプラスですので、生鮮食品とエネルギーを除く総合で定義されるコアコアCPI上昇率は逆に▲0.7%の下落を記録しています。コチラは、2021年4月から11か月連続のマイナスです。逆に、エネルギーを含めたヘッドラインCPIは+0.9%の上昇を示しています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

3月の全国消費者物価、0.8%上昇 上昇は7カ月連続
総務省が22日発表した3月の全国消費者物価指数(CPI、2020年=100)は、生鮮食品を除く総合指数が100.9と前年同月比0.8%上昇した。上昇は7カ月連続。QUICKがまとめた市場予想の中央値も0.8%上昇だった。
生鮮食品とエネルギーを除く総合のCPIは99.5と、0.7%下落した。生鮮食品を含む総合は1.2%上昇した。
併せて発表した21年度平均のCPIは、生鮮食品を除く総合が99.9となり、20年度に比べ0.1%上昇した。

いつものように、よく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、消費者物価(CPI)上昇率のグラフは下の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIと生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPI、それぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフはコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。寄与度はエネルギーと生鮮食品とサービスとコア財の4分割です。加えて、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1ケタの指数を基に私の方で算出しています。丸めずに有効数字桁数の大きい指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。統計局の公表数値を入手したい向きには、総務省統計局のサイトから引用することをオススメします。

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まず、引用した記事にもあるように、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは+0.8%の予想でしたので、ジャストミートしたといえます。基本的に、エネルギー価格の上昇と政策要因に近い携帯電話通信料の下落の差し引きで決まってきている部分が大きく、加えて、これも政策要因ながら、昨年2021年12月統計までは「GoToトラベル」事業停止によって宿泊料の上昇がありましたが、今年1月統計からはこの効果は剥落しています。第1要因のエネルギー価格が前年同月比で+20.58%の上昇を記録して、ヘッドラインCPIの上昇率に対して+1.46%の寄与を示している一方で、マイナス寄与の項目を見ると、第2要因の通信料(携帯電話)が前年同月比▲52.7%の下落で、▲1.42%の寄与となっています。ついでに、第3要因の宿泊料は2021年12月統計では+44.0%の上昇でヘッドラインCPI上昇率に対して+0.29%の寄与度でしたが、本日公表の3月統計では上昇率が+5.6%、寄与度が+0.05%に大きく縮小しています。要するに、エネルギー価格の上昇と政策要因に近い携帯電話通信料の下落のバランスに加えて、エネルギー価格の上昇が経済全体に波及する効果もあり、さらに、人手不足の影響などもあって、全体としてのコアCPI上昇率としてはプラスという結果となったと私は受け止めています。特に、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)のオミクロン型変異株の感染拡大で懸念されるサービス業の価格動向についてもマイナスに寄与しているのでしょうが、上のグラフでサービスのマイナス寄与が大きく見えるのは、携帯電話通信料の影響が大きいと私は受け止めています。

日本以外の欧米先進国では、かなりインフレが進んでいます。例えば、総務省統計局の「消費者物価指数」の月報参考表で3月最新月の主要先進国の消費者物価指数上昇率を見ると、米国が+8.5%、英国が+7.0%、ドイツが+7.3%、フランスでも+4.5%となっています。いくつかの先進国の中央銀行が金融政策の引締めモードに入ったのも理解できるところです。他方、我が国だけはまだヘッドラインCPI上昇率で+1.2%と+1%を少し超えたくらいです。しかし、携帯電話通信料引下げの寄与度▲1.4%余りが4月統計からは剥落しますから、4月のCPI上昇率は確実に+2%を超えます。おそらく、メディアは大騒ぎすることと思います。でも、冷静に考えれば、2013年に日銀と政府の間でインフレ目標+2%の合意ができているわけですから、この+2%というのは政策的に目標としてきた物価上昇です。その点は忘れるべきではありません。

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