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2022年4月25日 (月)

+1%強の上昇率が続く企業向けサービス価格指数(SPPI)をどう見るか?

本日、日銀から3月の企業向けサービス価格指数 (SPPI)が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、ヘッドラインSPPIの前年同月比上昇率は+1.3%を記録し、変動の大きな国際運輸を除く平均も+0.9%の上昇を示しています。サービス物価指数ですので、国際商品市況における石油をはじめとする資源はモノであって含まれていませんが、こういった資源価格の上昇がジワジワと波及している印象です。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を手短に引用すると以下の通りです。

3月の企業向けサービス価格、前年比1.3%上昇 前月比0.9%上昇
日銀が25日発表した3月の企業向けサービス価格指数(2015年平均=100)は106.7だった。前年同月比では1.3%上昇、前月比では0.9%上昇だった。

極端なまでにコンパクトに取りまとめられた記事だという気がします。続いて、企業向けサービス物価指数(SPPI)のグラフは下の通りです。上のパネルはヘッドラインのサービス物価(SPPI)上昇率及び変動の大きな国際運輸を除くコアSPPI上昇率とともに、企業物価(PPI)の国内物価上昇率もプロットしてあり、下のパネルは日銀の公表資料の1枚目のグラフをマネして、国内価格のとサービス価格のそれぞれの指数水準をそのままプロットしています。企業向けサービス物価指数(SPPI)が着実に上昇トレンドにあるのが見て取れます。影を付けた部分は、日銀公表資料にはありませんが、景気後退期を示しています。

photo

上のグラフで見ても明らかな通り、企業向けサービス価格指数(SPPI)の前年同月比上昇率の最近の推移は、昨年2021年4月にはその前年2020年の新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響の反動もあって、+1.0%の上昇となった後、本日公表された今年2022年3月統計まで12か月連続で+1%以上の上昇率を続けています。前年同月比プラスも2021年3月から13か月連続です。基本的には、石油をはじめとする資源価格の上昇がサービス価格にも波及したコストプッシュが要因と私は考えています。もちろん、みずほ総研などが呼ぶような「中国需要」、すなわち、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染拡大の落ち着きとともに、新興国や途上国での景気回復に伴う資源需要の拡大に加えて、ウクライナ危機の影響もあります。もう少し詳しく、SPPIの大類別に基づく3月統計のヘッドライン上昇率+1.3%への寄与度で見ると、石油価格の影響が強い運輸・郵便が+0.49%、土木建築サービスや宿泊サービスなどの諸サービスが+0.37%、リース・レンタルが+0.11%、景気に敏感なテレビ広告をはじめとする広告が+0.10%、などとなっています。また、寄与度ではなく大類別の系列の前年同月比上昇率で見ても、特に、運輸・郵便は+3.1%の上昇となったのは、燃料価格の上昇に加え、石炭や穀物などの輸送がロシア・ウクライナから代替地に切り替わった影響もあると指摘されています。不動産も「まん延防止等重点措置」の解除でスーパーなどの売上げが増えて賃料が伸びたことから、+2.0%の上昇となっています。広告はテレビ広告の+5.4%や新聞広告の+2.6%をはじめとして、広告全体で+1.9%の上昇を示しています。諸サービスの+1.0%の中の宿泊サービスが+12.8%の上昇率を示しているのは、「まん延防止等重点措置」の期間が長かったものの、3月下旬にはレジャー需要の回復があったといわれています。要するに、資源価格のコストプッシュだけでなく、国内需要面からもサービス価格は上昇基調にあると考えていいのかもしれません。

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