3月統計の景気ウオッチャーと消費者態度指数に見る消費者マインドやいかに?
本日、内閣府から3月の景気ウォッチャーと消費者態度指数が公表されています。各統計のヘッドラインを見ると、景気ウォッチャーでは季節調整済みの系列の現状判断DIが前月から+10.1ポイント上昇の47.8と改善し、先行き判断DIも+5.7ポイント上昇の50.1となっています。また、消費者態度指数は、前月から▲2.4ポイント低下し32.8を記録しています。まず、日経新聞のサイトから各統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。
3月の街角景気、現状判断指数は3カ月ぶり改善
内閣府が8日発表した3月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、街角の景気実感を示す現状判断指数(季節調整済み)は47.8で、前の月に比べて10.1ポイント上昇(改善)した。改善は3カ月ぶり。家計動向、企業動向、雇用関連が改善した。
2~3カ月後を占う先行き判断指数は50.1で、5.7ポイント上昇した。上昇は2カ月連続。家計動向、企業動向、雇用関連が改善した。
内閣府は現状の基調判断を「持ち直しに弱さがみられる」から「持ち直しの動きがみられる」に変更した。
3月の消費者態度指数、2.4ポイント低下の32.8
内閣府が8日発表した3月の消費動向調査によると、消費者心理を示す一般世帯の消費者態度指数(季節調整値)は前月比2.4ポイント低下の32.8だった。
内閣府は消費者心理の基調判断を「弱含んでいる」から「弱い動きがみられる」に下方修正した。
態度指数は消費者の「暮らし向き」など4項目について今後半年間の見通しを5段階評価で聞き、指数化したもの。全員が「良くなる」と回答すれば100に、「悪くなる」と答えれば「ゼロ」になる。
短いながら、よく取りまとめられている印象です。続いて、景気ウォッチャーのグラフは下の通りです。現状判断DIと先行き判断DIをプロットしており、色分けは凡例の通りです。影をつけた期間は景気後退期を示しています。
現状判断DIは昨年2021年12月まで上昇を示した後、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)のオミクロン型変異株の感染拡大などを背景に、今年2022年1月統計では大きく低下し、2月統計でも引き続き小幅に低下した後、本日公表の3月統計では大きく上昇しています。ただし、昨年2021年12月の水準にはまだ▲10近く下回っています。先行き判断DIも3月統計で上昇しています。現状判断DIも、先行き判断DIも、企業動向関連よりも家計動向関連が大きく上昇していますし、企業動向関連の内では製造業よりも非製造業の完全幅が大きくなっています。すなわち、軽く想像されるように、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染拡大のピークアウトないし鈍化に対応したマインドの改善と考えるべきです。ですから、足元で全国レベルの新規感染者数が再拡大しているとすれば、またまた逆コースでマインドが悪化する方向に向かうことは容易に想像できます。ですから、引用した記事にもあるように、統計作成官庁である内閣府では基調判断を「持ち直しの動きがみられる」に半ノッチ上方改定したのですが、いいのかね、という気はします。強くします。
続いて、消費者態度指数のグラフは下の通りです。ピンクで示したやや薄い折れ線は訪問調査で実施され、最近時点のより濃い赤の折れ線は郵送調査で実施されています。景気ウォッチャーのグラフと同じで、影を付けた部分は景気後退期となっています。何と、景気ウォッチャーが大きく改善したのに対して、消費者態度指数は逆に悪化、しかも、3か月連続の悪化です。景気ウォッチャーの回答者が、小売店やタクシー運転手などの消費者活動の対象となっている事業者であるのに対して、消費者態度指数は消費者に直接質問していますから、事業者の方が消費者のマインドを読み誤っている可能性はあります。ただ、事業者は売上などのハードデータを基に消費者のマインドというソフトデータを回答していますので、このあたりは複雑です。とはいえ、消費者態度指数のコンポーネントについて、前月差で見ると、「暮らし向き」が▲3.9ポイント低下し31.3、「耐久消費財の買い時判断」が▲3.7ポイント低下し27.8、「雇用環境」が▲1.2ポイント低下し34.8、「収入の増え方」が▲0.8ポイント低下し37.4と、すべてのコンポーネントが低下を記録しています。上のグラフを見ても明らかなように、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の新規感染者数が大きく減少していた昨年2021年10~12月期の時期から、今年2022年が明けて急降下で低下を示しています。従って、引用した記事にもある通り、統計作成官庁である内閣府でも基調判断を「弱含んでいる」からさらに下方修正して「弱い動きがみられる」に変更しています。
最後に、本日、財務省から2月の経常収支が公表されています。季節調整していない原系列で+1兆6,483億円の黒字を計上しています。グラフは上の通りです。青い折れ線グラフが経常収支の推移を示し、その内訳が積上げ棒グラフとなっています。季節調整をしていない原系列の統計で見て、2月統計では3か月ぶりの経常黒字を記録していますが、国際商品市況における資源価格の高騰などを受けて、貿易収支が▲1768億円の赤字、サービスと合わせて貿易・サービス収支が▲3803億円の赤字を計上しています。しかしながら、季節調整済みの系列ではまだ経常収支は+1兆円を超える黒字を維持しています。何度も繰り返しますが、ロシアのウクライナ侵攻などを受けて、国際商品市況で石油をはじめとする資源価格が値上がりしていますので、石油をはじめとする資源に乏しい日本では輸入額が増加するのは当然であり、消費や生産のために必要な輸入をためらう必要はまったくなく、貿易赤字は容認されるべきである、と私は考えています。
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