改善続く4月の景気ウォッチャーと黒字が拡大した3月の経常収支を見る!!!
本日、内閣府から4月の景気ウォッチャーが、また、財務省から3月の経常収支が、それぞれ、公表されています。各統計のヘッドラインを見ると、景気ウォッチャーでは、季節調整済みの系列の現状判断DIが前月から+2.6ポイント上昇の50.4と改善し、先行き判断DIも+0.2ポイント上昇の50.3となっています。また、経常収支では、季節調整していない原系列で+2兆5493億円の黒字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから各統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。
4月の街角景気、現状判断指数は2カ月連続改善
内閣府が12日発表した4月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、街角の景気実感を示す現状判断指数(季節調整済み)は50.4で、前の月に比べて2.6ポイント上昇(改善)した。改善は2カ月連続。家計動向、企業動向、雇用が改善した。
2~3カ月後を占う先行き判断指数は50.3で、0.2ポイント上昇した。上昇は3カ月連続。企業動向、雇用が改善した。
内閣府は現状の基調判断を「持ち直しの動きがみられる」に据え置いた。
3月の経常収支、2兆5493億円の黒字 民間予測は1兆7523億円の黒字
財務省が12日発表した3月の国際収支状況(速報)によると、海外との総合的な取引状況を示す経常収支は2兆5493億円の黒字だった。QUICKがまとめた民間予測の中央値は1兆7523億円の黒字だった。
貿易収支は1661億円の赤字、第1次所得収支は3兆2603億円の黒字だった。
短いながら、よく取りまとめられている印象です。続いて、景気ウォッチャーのグラフは下の通りです。現状判断DIと先行き判断DIをプロットしており、色分けは凡例の通りです。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

現状判断DIは、ここ半年ほどを見れば、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染拡大にほぼ従う形で、やや荒っぽい動きを示しています。上のグラフの通りです。すなわち、昨年2021年12月まで上昇を示し、2021年12月には57.5に達した後、オミクロン型変異株の感染拡大などを背景に、今年2022年1月統計では前月差▲19.6ポイントと大きく低下して37.9の水準を記録し、2月統計でも37.7と引き続き低い水準で推移した後、3月統計では+10.1ポイント上昇の47.8と大きく上昇し、さらに、本日公表の4月統計では+2.6ポイント上昇して50超の水準まで回復を示しています。ただし、昨年2021年12月の水準にはまだ▲7ポイントほどの差があります。先行き判断DIは現状判断DIほどの荒っぽい動きではないのですが、3月統計と4月統計では50の水準を超えています。他方で、家計動向関連と企業動向関連では、現状判断DIと先行き判断DIで少し違った傾向が見られます。すなわち、現状判断DIでは家計動向関連と企業動向関連に大きな差が見られないのですが、先行き判断DIでは家計動向関連が低下する一方で、企業動向関連は改善を示しています。製造業に対しては円安の影響、非製造業に対してはCOVID-19の感染抑制の影響、ではないかと受け止めています。すなわち、3月決算の企業の売上や利益などがぼちぼち公表され始めましたが、特に、電機や自動車、さらに、総合商社などでは円安による好業績が大きく報道されています。日経新聞の業績ニュースの一覧などを見れば歴然としています。非製造業についても、COVID-19感染抑制が、例えば、JR各社の「ゴールデンウィーク期間のご利用状況」を見れば、軒並み前年比倍増3倍増となっています。関西でいえば、JR西日本の「ゴールデンウィークのご利用状況について」では、山陽新幹線が前年度比286%、北陸新幹線269%、在来線特急290%などとなっています。同時に、2018年対比の数字も明らかにされており、もちろん、COVID-19前の水準にはまだまだ及びませんが、昨年からは大きく回復を示していることも確かです。他方で、家計や消費者のサイドではインフレの影響で実質所得が目減りしているわけです。この国民生活の軽視はずっと続いてきているのですが、何度も繰り返してきたように、そろそろ、インフレに見合った所得の増加がないと日本経済はサステイナビリティを失いかねないような気がして、私はとても怖い気がします。

続いて、経常収支のグラフは上の通りです。青い折れ線グラフが経常収支の推移を示し、その内訳が積上げ棒グラフとなっています。季節調整をしていない原系列の統計で見て、3月統計では2か月連続で経常黒字を記録していますが、国際商品市況における資源価格の高騰などを受けて、貿易収支が▲1661億円の赤字、サービスと合わせて貿易・サービス収支が▲2938億円の赤字を計上しています。しかしながら、季節調整済みの系列ではまだ経常収支は+1兆円を超える黒字を維持しています。何度も繰り返しますが、ロシアのウクライナ侵攻などを受けて、国際商品市況で石油をはじめとする資源価格が値上がりしていますので、資源に乏しい日本では輸入額が増加するのは当然であり、消費や生産のために必要な輸入をためらう必要はまったくなく、貿易赤字は何の問題もない、と私は考えています。
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