帝国データバンク「『食品主要105社』価格改定動向調査」の結果やいかに?
やや旧聞に属する話題ながら、5月23日に帝国データバンクから「『食品主要105社』価格改定動向調査」の結果が明らかにされています。もちろん、pdfの全文リポートもアップされています。
エネルギーなどの資源価格に加えて食品価格も大きく上昇を示しており、内容量を減らして値段を据え置く「ステルス値上げ」や企業努力によるコストプッシュの吸収も限界に達し始めており、今年に入ってから食品価格の引上げが相次いでいます。この夏から秋にかけても、この傾向は継続しているようです。
まず、リポートから、2022年の食品値上げについて月別の値上げ品目数のグラフを引用すると上の通りです。1月から相当品目の食品価格の引上げが続いており、4月の年度始めで一段落し、5月の値上げ品目数は落ちましたが、6月以降も値上げが相次いでいます。上のグラフから明らかな通り、5月までの値上げ品目は4,770品目、そして、6月以降に予定されているのが3,615品目と、現時点で2022年中に予定されている食品値上げの累計品目数が8,385品目、平均値上げ率も12%に達しています。
続いて、リポートから、価格改定の食品について分野別に集計したグラフを引用すると上の通りです。ちょっと判りにくいのですが、例えば、「加工食品 2,909品目 ▶ 3,609品目 (43%)」とあるのは、先月調査時点までに今年度内の値上げ(実施済み+計画)品目が2,909判明していて、今月新たに判明したものを加えて3,909品目となり、そのため、加工食品が価格改定される食品の中で品目数の単純集計で43%を占める、という意味なのだろうと、私は読み取りました。同様に、調味料が1,702品目、酒類・飲料が1,188品目、などと続いています。
リポートでは、今年に入って食品価格が値上げされているのは、食用油と小麦粉、中でも、輸入小麦の政府売渡価格が前年比2割アップの水準が続いたことで、小麦粉を主原料とする食品の値上げが相次いで実施されたり、原料とする周辺商材にも影響が急速に波及したのではないか、と分析しています。ただ、分析はここまでで、対応策については言及ありません。まあ、仕方ないところかもしれません。これに関して、私は従来から価格上昇に対応した所得の増加を後押しする政策の必要性を主張しています。加えて、2019年10月に消費税率が8%から10%に引き上げられた際に食品については軽減税率が適用されたわけですから、8%品目の食品の消費税率を5%に戻すとか、あるいは、すべての消費税率を5%に戻すとか、消費税率を政策手段として用いる可能性も考慮すべきではないか、と思っています。もちろん、食品会社の3月期決算の数字はとても興味あるところです。燃料価格の上昇で総合商社が大きな利益を上げている点も忘れるべきではありません。
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