久しぶりにわずかながら上昇した4月の消費者態度指数をどう見るか?
本日、内閣府から4月の消費者態度指数が公表されています。前月から+0.2ポイント上昇し33.0を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
4月の消費者態度指数、前月比0.2ポイント上昇 コロナ対策緩和で「雇用環境」上向く
内閣府が2日発表した4月の消費動向調査によると、消費者心理を示す一般世帯(2人以上の世帯)の消費者態度指数(季節調整値)は、前月比0.2ポイント上昇の33.0だった。新型コロナウイルスの感染防止対策が緩和され、サービス業を中心に雇用が増えるとの見通しから「雇用環境」がプラスとなったことが寄与した。
指数を構成する4指標のうち「暮らし向き」「耐久消費財の買い時判断」「収入の増え方」はいずれもマイナスだった。緊迫が続くウクライナ情勢や生活関連用品の価格上昇が消費者マインドの重荷になっている。
内閣府は消費者心理についての基調判断を「弱い動きがみられる」で据え置いた。
1年後の物価見通し(2人以上の世帯が対象)では「上昇する」と答えた割合は、前月から0.9ポイント増えて93.7%(原数値)だった。比較可能な2013年4月以降で最も高い水準となった。
消費者態度指数は消費者の「暮らし向き」など4項目について、今後半年間の見通しを5段階評価で聞き、指数化したもの。全員が「良くなる」と回答すれば100に、「悪くなる」と回答すればゼロになる。
いつになく長い記事で、よく取りまとめられている印象です。続いて、消費者態度指数のグラフは下の通りです。ピンクで示したやや薄い折れ線は訪問調査で実施され、最近時点のより濃い赤の折れ線は郵送調査で実施されています。影を付けた部分は景気後退期となっています。

消費者態度指数の4項目のコンポーネントについて、前月差で見ると、「雇用環境」が+1.3ポイント上昇し36.1となったほかは、残りの3項目はすべて前月差マイナスでした。すなわち、「収入の増え方」が▲0.6ポイント低下し36.8、「暮らし向き」及び「耐久消費財の買い時判断」がともに▲0.1ポイント低下し、それぞれ31.2、27.7を記録しています。上のグラフを見ても明らかなように、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の新規感染者数が大きく減少していた昨年2021年10~12月期の時期から、今年2022年が明けて1~3月まで3か月連続で低下した後、4月統計で少しだけ上昇を示したとはいえ、わずかに前月差で+0.2ポイントです。従って、統計作成官庁である内閣府では基調判断を「弱い動きがみられる」で据え置いています。新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の新規感染者数はピークを過ぎて、3回目のワクチン接種=ブースター接種も順調に進んでいるようなのですが、他方で、ウクライナ危機が消費者心理に影を落としています。戦争被害が連日のように報じられて、悲惨なウクライナの現状に心痛めるとともに、身近なエネルギーや食料の価格を中心に、物価が目立ってが上昇を示しており、おそらく、購買力という意味も含めて、「収入の増え方」の前月差マイナスが大きくなっています。ただ、雇用環境の改善幅が大きいのは私は歓迎すべきと受け止めています。何度か繰り返しましたが、物価の上昇を受け入れられるような所得の増加が必要です。インフレの影響については、短期的にはマインドも含めて悪影響出る可能性は大いにありますし、食料価格は生活上の障害にもなりかねません。しかし、雇用の改善や財政支援も含めた所得増でカバーできるのであれば、長い目で見て、エネルギー価格の上昇により脱炭素化が進み、地球温暖化=気候変動の抑制には一定の効果が見込める可能性もあります。
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