リクルートによる4月のアルバイト・パートと派遣スタッフの募集時平均時給やいかに?
来週火曜日5月31日の雇用統計の公表を前に、ごく簡単に、リクルートによる4月のアルバイト・パートと派遣スタッフの募集時平均時給の調査結果を取り上げておきたいと思います。参照しているリポートは以下の通りです。計数は正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、以下の出典に直接当たって引用するようお願いします。

まず、いつものグラフは上の通りです。アルバイト・パートの時給の方は、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響ありながら底堅い印象で、前年同月比で見て、1月+1.1%増、2月+1.5%増、3月+1.6%増の後、4月も+1.5%増となっています。ただし、2020年1~4月のコロナ直前ないし初期には+3%を超える伸びを示したこともありましたので、やや物足りない気もしますが、時給を見れば、昨年2021年年央から1,100円を上回る水準が続いており、かなり堅調な動きを示しています。他方、派遣スタッフの方は今年2022年1月+1.1%増、2月+1.4%増の後、3月は▲0.1%減とマイナスを記録したものの、4月統計では+1.3%増となっています。
まず、アルバイト・パートの平均時給の前年同月比上昇率は、繰り返しになりますが、4月には+1.5%、+17円増加の1,120円を記録しています。職種別では、「営業系」(+68円、+5.5%)、「専門職系」(+50円、+3.9%)、「フード系」(+37円、+3.6%)、「事務系」(+42円、+3.5%)、「製造・物流・清掃系」(+24円、+2.2%)、「販売・サービス系」(+19円、+1.8%)、とすべての職種で増加を示しています。地域別でも関東・東海・関西のすべての地域でプラスとなっています。なお、すべての職種で、前年同月から+1.8%以上の伸びを示しているにもかかわらず、平均で+1.5%増というのは、いわゆるシンプソン効果で、平均時給が低い職種の雇用が増加しているのだと推測しています。あるいは、何らかのバグがプログラムに入っている可能性も否定できません。
続いて、三大都市圏全体の派遣スタッフの平均時給は、4月は+21円増加し、伸び率も+1.3%増を記録しました。職種別では、「オフィスワーク系」(+49円、+3.2%)、「製造・物流・清掃系」(+40円、+3.1%)、「医療介護・教育系」(+37円、+2.6%)、「営業・販売・サービス系」(+28円、+2.0%)、「クリエイティブ系」(+16円、+0.9%)、はプラスとなっている一方で、「IT・技術系」(▲29円、▲1.3%)だけがマイナスを記録しています。派遣スタッフの6つのカテゴリを詳しく見ると、「IT・技術系」の時給だけが2,000円を超えていて、段違いに高くなっていて、全体の平均を押し下げています。なお、地域別には、東海だけがマイナスで、関東と関西はプラスを記録しています。
基本的に、アルバイト・パートも派遣スタッフもお給料は堅調であり、まん延防止等重点措置の解除後の順調な景気回復に伴う人手不足の広がりを感じさせる内容となっています。ただし、最後に、この4月統計から、リクルートによれば、「今回の調査より集計対象の求人を拡大するとともに、昨今増加している職種小分類を増やすなどリニューアルしています。」ということのようです。先月のこの統計を取り上げた際に、私からデータの動きが不自然で、「何らかのバグがプログラムに入っている可能性」を指摘しておきました。繰り返しになりますが、今月4月統計でも、特に、アルバイト・パートの時給は、6つのカテゴリーですべて+1.8%以上の前年同月比で伸びている一方で、全体の平均では+1.5%の伸びにとどまっています。これも繰り返しになりますが、平均時給の水準が低い職種の雇用が増加しているシンプソン効果だとは思うのですが、引き続き、統計としての信頼性には注意したいと思います。
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