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2022年7月 8日 (金)

先行き不安な景気ウォッチャーと資源高で黒字が大きく縮小した経常収支を考える!!!

本日、内閣府から6月の景気ウォッチャーが、また、財務省から5月の経常収支が、それぞれ、公表されています。各統計のヘッドラインを見ると、景気ウォッチャーでは、季節調整済みの系列の現状判断DIが前月から+2.6ポイント上昇の50.4と改善し、先行き判断DIも+0.2ポイント上昇の50.3となっています。また、経常収支では、季節調整していない原系列で+1284億円の黒字を計上しています。まず、景気ウォッチャーのグラフは下の通りです。現状判断DIと先行き判断DIをプロットしており、色分けは凡例の通りです。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

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現状判断DIは、ここ半年ほどを見れば、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染拡大にほぼ従う形で、やや荒っぽい動きを示しています。上のグラフの通りです。すなわち、昨年2021年12月まで上昇を示し、2021年12月には57.5に達した後、オミクロン型変異株の感染拡大などを背景に、今年2022年1月統計では前月差▲19.6ポイントと大きく低下して37.9の水準を記録し、2月統計でも37.7と引き続き低い水準で推移した後、3月統計では+10.1ポイント上昇の47.8と大きく上昇し、4月統計では+2.6ポイント上昇して50超の水準まで回復を示した後、5月統計でも+3.6ポイント続伸し、54.0を記録しています。しかし、足元の6月統計では▲1.1ポイント低下の52.9となっています。まだ水準はかなり高くて50を超えているとはいえ、6月の先行き判断DIが前月から▲4.9ポイント低下し、50を割り込んだ47.6を記録していますので、先行きについては不安が示された、と私は受け止めています。企業部門では昨年から業績の回復が著しい一方で、家計や消費者のサイドではインフレの影響で実質所得が目減りしています。この国民生活の軽視はずっと続いてきているのですが、何度も繰り返してきたように、そろそろ、インフレに見合った所得の増加がないと日本経済はサステイナビリティを失いかねないような気がして、私はとても怖い気がします。

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続いて、経常収支のグラフは上の通りです。青い折れ線グラフが経常収支の推移を示し、その内訳が積上げ棒グラフとなっています。季節調整をしていない原系列の統計で見て、5月統計では4か月連続で経常黒字を記録していますが、国際商品市況における資源価格の高騰などを受けて、貿易収支が▲1兆9512億円の赤字、サービスと合わせて貿易・サービス収支が▲2兆1097億円の赤字を計上しています。同時に、季節調整済みの系列でも経常収支は+82億円の黒字と、黒字幅が大きく縮小しています。何度も繰り返しますが、ロシアのウクライナ侵攻などを受けて、国際商品市況で石油をはじめとする資源価格が値上がりしていますので、資源に乏しい日本では輸入額が増加するのは当然であり、消費や生産のために必要な輸入をためらう必要はまったくなく、貿易赤字は何の問題もない、と私は考えています。

昼前に大きな銃撃事件が起こって、ニュースは経済指標なんか軽視されてしまって、銃撃事件一色になっています。言論を暴力で封殺するような動きは一切容認することが出来ません。私は短いながら、官房長官から第1次内閣のころは内閣官房勤務でした。もう10年余前のことです。当時の政策がよろしくなかったと考えるのでしたら、暴力ではなく民意で審判を下すべきです。犯罪行為があったのなら裁判で結論を得るべきです。
なお、今日は、日本時間の夜に米国雇用統計が公表される予定ですので、もうひとつ記事を書くつもりです。

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