3か月ぶりの前月比マイナスを記録した5月統計の機械受注をどう見るか?
本日、内閣府から5月の機械受注が公表されています。民間設備投資の先行指標であり、変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注が、季節調整済みの系列で見て前月比▲5.6%減の9088億円となっています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
5月の機械受注、前月比5.6%減 市場予想は5.3%減
内閣府が11日発表した5月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の受注額(季節調整済み)は前月比5.6%減の9088億円だった。QUICKがまとめた民間予測の中央値は5.3%減だった。
製造業は9.8%減、非製造業は4.1%減だった。前年同月比での「船舶・電力を除く民需」受注額(原数値)は7.4%増だった。内閣府は基調判断を「持ち直しの動きがみられる」で据え置いた。
機械受注は機械メーカー280社が受注した生産設備用機械の金額を集計した統計。受注した機械は6カ月ほど後に納入されて設備投資額に計上されるため、設備投資の先行きを示す指標となる。
包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。機械受注のグラフは下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影を付けた部分は景気後退期を示しています。

引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスによれば、船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注で見て、前月比で▲5.3%減の予想でしたし、実績の▲5.6%減はやや下振れた印象あるものの、まあ、想定の範囲内というところです。統計作成官庁である内閣府では基調判断を「持ち直しの動きがみられる」で据え置いています。今年に入って1~3月期のコア機械受注は前期比で▲3.6%減でしたし、4~6月期の見通しも▲8.1%減の2兆3,706億円と、さらに落ち込む予想であったのですが、実績では、3月統計の+7.1%増に続いて、4月統計でも+10.8%増を記録した後、5月統計にはさすがに反動減が出て▲5.6%減ですから、基調判断は基本的に正しいかのように私には見えます。5月統計では、季節調整済みの前月比で見て、製造業が▲9.8%減、船舶と電力を除く非製造業が▲4.1%減と、製造業のマイナス幅の方が大きくなっています。5月までは中国の上海でロックダウンが続いていたことが理由のひとつかと考えられますので、「こんなもん」という気もします。
最後に、機械受注や設備投資の先行きについては、引き続き、緩やかな増加を示すものと私は考えています。大きな理由のひとつは、7月1日に公表された6月調査の日銀短観における設備投資計画です。2021年度実績が下方修正されたリバウンドもあるのでしょうが、2022年度の設備投資計画はかなり強気だと私は受け止めています。
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