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2022年8月 3日 (水)

「経済財政白書」第3章を読む!!!

3日目、「経済財政白書」を取り上げる最後は、第3章に着目したいと思います。第3章では投資が分析されています。これで、一応、「経済財政白書」については終結としておきます。

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まず、上のグラフは、「経済財政白書」 p.205 第3-1-9図 デジタル化の進捗度と売上高の関係 を引用しています。投資の中でもDX=デジタル・トランスフォーメーションへの投資を分析しようと試みています。これも見れば明らかなのですが、デジタル化上位企業は下位企業に比べて売上の伸びが大きい、ないし、売上の減少幅が小さい、という結果が示されています。ただし、因果関係の方向には一定の注意が必要です。すなわち、デジタル化が進捗した企業ほど同業他社対比で業績が好調である、という因果関係なのか、逆に、業績が好調であることがデジタル化の進捗を促進している、という方向なのか、それほど厳密な因果分析は行われていないような気がします。

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続いて、上のグラフは、「経済財政白書」 p.220 第3-2-7図 電源構成の推移 を引用しています。投資の目的には最初に取り上げたDXとともに脱炭素化投資も大きな流れとなっています。しかし、我が国の場合、石炭火力発電がまだ大きな割合を占めるとともに、最近時点でもまだ増加を示しています。当然のように、再生可能エネルギーへの転換も進んでいません。こういった電源構成を見極めつつ、必要な投資が行われるような政策措置が必要です。そして、「経済財政白書」 p.219 で「安全性の確保を前提とした原子力発電の持続的な活用の検討を進めることも重要」、とシラッと主張していますが、安全性の前提となる地震や津波は予想し難く、私は原子力の利用を科学的見地から進めるのはとても難しいと感じています。

以上。3日間に渡って、極めて大雑把ながら、本年度2022年度の「経済財政白書」を概観してみました。私の見方に合致する部分、そうでない部分、いろいろとありますが、今年も可能な範囲で後期の演習などで取り上げるつもりです。

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